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「原体験から始まる」 AJINOMOTO Dialogue for the Future 海士町編を通じて学んだこと

「サステナビリティって一体なんだろう?」

そんなことを思いながら、味の素のサステナビリティ諮問委員会に2年ほど関わらせてもらいました。味の素の経営陣や有識者と共に、味の素社や世の中の課題を元に、これからの世の中やサステナビリティをテーマを議論する会議です。

そこでの縁が繋がり、味の素の若手社員向けの体験型研修「AJINOMOTO Dialogue for the Future(ADF)」の企画に発展しました。MATCHAが企画づくりに関わっています。

サステナビリティという言葉が独り歩きしているけれど、その言葉の意味を全国の現場を通じて体感したほうがいいのでは?という所から始まりました。対象は未来の味の素社を担う若手社員の方です。そこに外部の若手経営者も入り、地域の視点、若手経営者の視点を交え、未来に向けて対話をしようというもの。


第1回は渋谷のTRUNK HOTELにて開催しました。詳細はこちらのnoteに載っているので是非。


第2回は島根県隠岐の島海士町にて

第2回は、島根県海士町で行いました。Entoのみなさんを中心に共創し実施しました。2泊3日だったのですが、終始晴れていて気持ちが良かったです。

体験型研修の最初のスタートは、海士町の某所にて。裸足が気持ちよかった。
山の上からの景色から、山から海への栄養が循環している話を聞く
みなさん、真剣に聞いていました
翌朝は、海辺の掃除を実施
隠岐牛の現場を知る
島前高校の高校生との対話
夜は海士町恒例のスナックにて
最後は円になって、振り返りを行う

海士町では山の頂上付近で、裸足になって深呼吸や対話の時間を過ごしたり、海辺でゴミ掃除をしたり、隠岐牛農家さんに話を聞きにいきました。島前高校の高校生との対話もハッと點せられることが多かったです。

島根県隠岐の島海士町とは、2019年に行ったのが最初のきっかけでした。まさかこういう形で行くとは思わなかったです。


印象に残った5つのこと

2泊3日の滞在で自分の中で印象に残ったことを5つほど書きまとめてみます。

1.海でのゴミ掃除を通じて感じたプラスチック問題

印象的だったことの一つに、海でのゴミ掃除がありました。その中のゴミには、自分たちが普段使っているペットボトルの元となっているプラスチックの丸い塊が数えきれないものあり、それらを魚が食べて、そのプラスチックを食べたものが人間が食べている….そういった悪い循環が生まれていることを肌で感じました。

ある参加者は、際限のないゴミやプラスチックの量を見て「絶望を感じた」とも言っていました。ペットボトルの消費を減らすことで、何かがすぐ変わるとは思えない自分もいました。

いわゆる環境問題を映像や耳だけで聞くのではなく、自分の肌で感じることの重さ。強烈な原体験で触れた課題があるからこそ、意志を持った事業アイディアが生まれると思いました。


2.ストーリーによる高付加価値化と経済的な持続性

隠岐牛農家さんに話を聞いたときの話です。具体的な数字までは書かないですが、一頭育てるコストとリスク、それに対する販売価格がマッチしていないように感じました。ただ、現状の市場環境では、その価格にせざるをえないです。

人は機能的なものだけで、物事を消費しているわけではないです。その商品に対する背景のストーリーをしっかりと言語化して、世の中に届けることで、消費者としても高い価値を感じるようにし、担い手も持続的に事業を取り組めるような環境を作る必要があると思いました。


3.「たまたま」を大切にする

「風と土と」の阿部さん、味の素専務取締役の佐々木さん、Ento代表の青山さんとお話しました。そこで、阿部さんがうまく言っている人の同じ口癖は「たまたま」らしいと言っていたのが印象に残っています。たまたまあの人と出会ったことで、たまたまこういう行動を取ったことが今につながるということってあります。海士町との縁も、元はと言えばとある方のランチが縁でした。

大事なのは、その生まれた「たまたま」をどう大切にするか?という意識なんだろうと思います。縁を切らさないと言葉がありますが、人と長く付き合うことで、その「たまたま」が重なり、人生が太くなる感じがしました。


4.意志と余白

「海士町の良さはなんですか?」

そう、参加者の方から聞かれた時に、浮かんだ言葉は「意志と余白」でした。ある人に、これをやりたいという強烈な意志がある。その意志があるだけではだめで、そのビジョンを掲げた上で「自分はこれができません。手伝って下さい。」という弱さをさらけ出すこと、いわば余白があることで、多くの人の関わりが生まれると思っています。

海士町の中心物の1人であるEntoの青山さんは「何か一緒にやれたらいいですね。」という言葉を会うたびに投げかけてくれます。その言葉が積み重なり、時間が経つことで、海士町に新しい何かが生まれてくるんでしょう。


5.今、自分は何を感じているか?

この3日間で一番使われていた言葉なんだろう?と考えると、それは「今、何を感じていますか?」という問いでした。

日常に忙殺されていると、自分自身が何を感じているか?についておざなりになってしまうことがある。忙しさで目の前の物事が自動で過ぎ去ってしまって、気付きが減ってしまう。

自分の感覚に気づき、それを言葉にし、相手に伝えられるかは、リーダーとして物事を推し進めていく上でとても大切です。大人になるにつれて、自分の感情に気付きにくくなったり、言葉にしづらくなるもの。そうなると、本来持っているエネルギーが発揮しきれなくなってしまう。

忙しい時だからこそ、今は自分は何を感じているか?を忘れないようにしたいと思える海士町での対話の時間でした。


原体験から始まる

あっという間の3日間だったと同時に、もう2ヶ月ほど時間が経っていることに驚いています。当日に、体と頭は疲れているけれど、心は疲れていないです。と言ったのをぼんやりと思い出しました。

「原体験にこそ価値がある」

自分の人生で、一番大切な言葉です。人は、人から見聞きしたものではなく、自分自身が体験したものに強く動かされます。そして、それは言葉に発したときにも大きな違いを生みます。

原体験を軸として動いている人は、自律的に動けるし、何より周りを動かすんですよね。そこで生まれた流れが渦になり、結果として、世の中を動かしていくんだろうと信じています。

海士町での一人ひとりの原体験から新しい何かが始まり、それが結果として、日本や味の素の未来に遠からず繋がったらいいなと思います。


関連リンク

NHKにも取り上げて頂きました。冒頭の映像で自分も少しだけでます。

今回のプロジェクトの公式のnoteのレポートです。

最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。