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ネオン街のおみくじ 【夜光おみくじ】

男は憤っていた。
意気揚々とやってきたネオン街の飲み屋で、ぼったくられてしまったと憤っているのだ。

男は不愉快なこの街から早く離れたかった。しかし、ふと足を止めた店の前にネオンサインで「おみくじ」と書かれている。男はおみくじを引くのが好きだった。

怪しく光る文字の横には、貯金箱のような物があり「1回1000円。お金をいれたらボタンを押して」と書かれている。
男はすでに大金を失っていて、今更いくら無くなろうが構わなかった。男は千円札を貯金箱に押し込むとボタンを押した。
すると、貯金箱の横のドアから女が現れた。
「イレタノ?ホント?」
変な訛りで女が聞く。男は返事をしなかった。
「マ、イイカ」
女はジャージのポケットから、小さく折られた紙を取り出し、男に握らせると言った。
「光レバ大キチ。光ラナカッタラ、キチ」

女が去ると、男は紙を開いた。
中には下手な字で「凶」と書かれていた。
銀色で書かれたその文字は、ネオンの光を反射して不気味に光った。



[完]


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