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物流の主導権

今回は物流の主導権について話したいと思います。

私は物流業者からメーカーへ転職しているのですが、転職理由の一つとして、物流の主導権がありました。

物流はメーカーが主導して行うべきと考えています。
なぜなら物流は出荷計画時に、何度も繰り返される輸送のコストが決まってしまうからです。

それでは物流の主導権について詳しく解説していきます。

コンテナに収まらない貨物


私が物流業者で海貨の営業をしていた時です。
倉庫から予定のコンテナに貨物が入らないと連絡を受けました。

現場に行き貨物を確認すると、パッと見でギリギリ入りそうだけどと思いながら、説明を受けると、貨物の天井に10cmほどの高さの小さな部品が付いていて、わずか2-3cmほど高さオーバーしていました。

その部品もビスで簡単に取り外し出来ます。お客様に連絡して部品を外してもらえれば予定通り出荷出来ますよと伝えました。

ところが返ってきた答えは、「コンテナをオープントップに変えてくれ」でした。コレだけで輸送費は倍増します。勿体ないなーと思いながらも、コンテナを変更をして出荷しました。

製品としての荷姿が代わるので、販売先との調整が必要になり、間に合わないと言うのが理由で、状況は理解出来ます。しかし事前に少し調整していればと、悔やまれます。

輸送が計画されていない


程度の差はありますが、多くの荷主で明らかに輸送の計画が事前にされていない貨物があります。大半のコンテナの中身は、半分以上は空いていて、空気を運んでいます

製品の特性状やむを得ないもの(重量、形状によるデッドスペースなど)もありますが、そうでないものも多いように思います。

梱包がコンテナに満載できるサイズでは無いのです。中途半端にしか積めないサイズの梱包がデッドスペースを生み、コンテナ本数を増やしていきます。

削減が難しい梱包


最近では輸送を意識した梱包も増えてきましたが、それでも輸送度外視の梱包は多くあります。理由はダメージです。一度でもシッピングダメージでクレームを受けると、梱包を厳重に行いたくなるものです。出荷して破損のために再発送では商売になりませんので、梱包が大袈裟になる傾向にあります。

また輸送・梱包業者ともに、梱包を小さくするモチベーションが働かない構造にあります。梱包の小型化は梱包費、輸送費ともに削減されるため、荷主としてはハッピーなのですが、輸送・梱包業者は売り上げが下がるので自ら削減しようと提案する会社はほとんどありません。あるとすれば契約変更や更新の時くらいでしょう。

輸送の主導はメーカーが行うべき


ではどうすればいいか?
輸送の主導はメーカーが行うべきと考えています。

製品出荷の計画時点で輸送方法、それにあった適切な梱包を設計すれば物流費は大幅に削減できます。輸送を意識して製品荷姿を決めればいいのです。当然、ダメージを想定し、かつ過剰にならない製品保護も検討が必要です。

時には製造工程、荷姿の変更も検討すべきです。一体に組み上がった製品をあえて分解して梱包することも必要です。説明書などのドキュメント類も変更しないといけません。これは輸送・梱包業者では出来ません。メーカーが行わないといけない仕事です。

輸送や梱包を丸投げした時点で、物流コスト削減のチャンスを失っていると言ってもいいでしょう。

どの様に梱包し、どの様に運ぶかを、計画段階からメーカー自ら考える。これが物流費削減のカギです。

まとめ


上手くコンテナに積載出来ない貨物を見るたびに、メーカーで物流を管理すべきという想いは強くなりました。
実際にメーカーで働いてみると、想像通り梱包は頑丈、堅牢で、ダメージには屈しないものばかりで、費用も非常に立派なものでした。

出荷の計画段階で梱包レス・ミニマム化とコンテナへの積載調整を行うと、輸送見積もりは何分の1に削減出来ます。

これが何年も繰り返されるかと考えると効果は非常に大きいです。輸送費が大きいなら専属のスタッフを増やす事も可能でしょう。

また今回はメーカーにスポットを当てていますが、商社などでも、積極的に輸送、梱包についてメーカーと話あった方がいいと思います。梱包改善を繰り返すうちに標準的な梱包仕様が固まり、別の製品にも応用が効いたりします。

「物流は専門業者さんにお任せ」ではなく、物流を自ら考え、一緒に改善するつもりで、継続的な物流費の削減を目指してはいかがでしょうか?

以上、今回はここまで。
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