機械処理式PBMの思い出とかの話【ぼく学】

この記事は定期ゲアドベントカレンダー・丙 の20日目です。

はじめに
こんにちは、青猫格子です。
以前こちらの記事でも書いた通り、定期更新ゲームに近しいジャンルのゲームとして、PBWやTRPGが挙げられることがあります。

ですが、個人的にはもっとさらに近いものがあり、これを知っている人なら定期ゲーを知らなくても例えれば通じると思っているジャンルのゲームがあります。それが機械処理式PBMです。

問題はこれを知っている人自体が(たぶん)少ない……
なので、定期ゲとPBMの参加経験者で重なってる層はかなり少ないのではと予想します。

後で描き直すかもしれない概念の図

この図はあくまでも私個人の感覚の図式です。なので人によっては全然違うと言われそうです。

機械処理式PBMとはまず何なのか&私の知ったきっかけ
機械処理式PBMはPBM(Play by Mail)というジャンルのゲームの中の一種です。
PBMは簡単に言うと郵便を介して遊ぶアナログゲーム全体を指し、
TRPGをPBMで遊ぶというのがかつて行われていました。
蓬莱学園などが有名ですね。
この記事などに詳しくあります。

この記事でも触れられていると思いますが、PBMの参加者は数千人にもなり、同じ世界を一定期間で共有します。
なのでTRPGがMORPG(卓ごとにGMがいてストーリーが別々になっている)であるのに対し、
PBMは一つの卓を共有しているMMORPGのようになってました。
もちろん、一人のGMが数千人を相手にできるわけないので、ゲーム全体を統括するGM(グランドマスター)の下にゲーム内の地域などの担当がいて、ゲームによっては更に細かい区分が……になっていきました。
ですが、これは運営を複雑化して続けるのが困難になったのだと思います。
そのため、全てを人が判定するのではなく、プログラムで代行させようという試みが行われるようになったようです。
その移り変わりの流れは私が実際に体験したわけではないのですが、今もPBWを運営しているトミーウォーカーさんのインタビューで推察されます。

私はどのタイミングで機械処理式PBMを知ったかというと、2001~2年の頃だと思います。
Find Outという雑誌の広告でPBMを知り、パンフレットを取り寄せました。
P.A.Sという会社の「ぼくらの学園アドベンチャー(ぼく学)」という作品でした。
私はそのゲームの二学期(第二期)に参加しました。
というわけで本題に入るまで長くなってしまいましたが、今回はそのぼく学を振り返るという話です。

以下はぼく学でのゲームの仕様です。他の会社のゲームはまた違うと思います。

ぼくらの学園アドベンチャー 2学期(2002年12月~2003年7月)

パンフレット

参加費(多分税込み)
キャラクター登録 3000円(2キャラ目以降1000円)
月会費 1200円×8
月刊誌 300円
サブアクトはがき 6回分3000円~(まとめ買いで割引あり)

こんな感じの費用がかかります。
キャラクター登録というのは現在のPBWだと大抵は無料なので馴染みがないですが、当時のPBMは機械処理だろうと人力処理だろうと大体はこのくらいかかってました。
何キャラ登録しようが値段は変わらないところと、割引になるところと、会社によって個性があります。
月会費は1回のシナリオ参加費と考えて良いです。複数キャラ登録したらその人数分かかります。
月刊誌は自分が参加した以外のゲーム全体の情報が載るので基本的にあったほうがいいです。
イラストなど投稿すると結構な割合で掲載されるので会員制同人誌みたいな楽しみもあります。
サブアクトはがきは「ぼく学」のサブストーリーに参加する費用です。

キャラクター作成
ぼく学はメインキャラクターにあたる「PC」とサブキャラにあたる「アート」(特殊能力が具現化したポケモンみたいなの)を作成して参加するシステムです。
PBWでも時々ある方式ですね。
キャラクター名などのパーソナルデータ、アートに関わる真名(属性みたいなもの)の他に、口調や一人称なども選択制になっており、選択肢の番号の中から選んで登録します。

メインストーリー
月会費で参加する部分です。6つくらいのストーリーが全8回進行するので好きなのに1つ参加します。
参加方法はメインアクトはがきに選択肢の番号、キャラクターコメント(自由に書ける意気込みのようなもの)あと一緒に参加するキャラクターの番号などを書きます。
一緒に参加する相手がいない場合はNPCを呼ぶこともできました。
行動を送ると必ず機械処理の結果が帰ってきて、活躍した場合はテラー(マスター)の書くテイル(リプレイ)に登場します。
PASは独自用語が多い(プレイングはアクトでプレイヤーはパッセンジャー、スタッフはクルーというなど)ので面倒なので以降は一般的な通称で書きます。

サブストーリー
機械処理の結果だけ帰ってくるものです。毎回20位あるので好きなだけ(費用の許す限り)参加できます。
1つストーリーに参加するとサブアクトはがきを1枚消費する形です。
1人で事件に挑んだりNPCやアートと交流するものや、PL同士でチームを組んで実習(バトル)を行うものなど色々あります。

メインの行動を送ると返ってくるもの
リプレイと次回のストーリー選択肢が載ってるアドベンチャーファイルと機械処理の個別結果が届きます。

メイン結果は用紙が青、サブは黄色だった

個別結果はこんな感じです。個人情報(※)が見えないよう一部切り抜きです。
クリックで拡大できます。

※個人情報
自分の名前住所以外に、「今回PCが出会った人」という他のPCのデータとそのプレイヤーの住所が載っています。時代を感じさせますね。
出会った人とはおそらく同じシナリオに参加してた他のPCです。
同じシナリオを選ぶ人が連絡を取り、「一緒にパーティを組もう」などの交流がしやすいようにこのようなシステムがあったのだと思います。

上の方に自分の個人情報とPCが出会った人の住所がある。

今回試しにリプレイの「個別に変換されたと予想する部分」に色付けしてみました。
あくまで「予想」なので実際は違うかもしれません。

「南原 くるす」は私のPC、「コーネリアス」がアートです。PCのセリフや、アートがPCをなんて呼ぶかなどが最初のキャラクター登録のデータに基づいて変換されているわけですね。
機械処理というのは要するにそういう「予め用意したリプレイをPCの個別データに置き換える」という部分が通常(プレイング来てから書く)のPBMリプレイと大きな違いです。

サブストーリーの一場面

プログラム的な戦闘がある回もありましたが3ターン程度であまり重視されてないのが定期ゲと結構違うところです。
おそらく同じ選択肢やサブストーリーでも、戦闘結果や性格などのデータでストーリーが分岐していたのではないかと思いますが、そこは他の人と結果を読み比べてみないとわからない部分です。

まとめ
という感じで「ぼく学」がどんなゲームだったか軽くまとめてみました。
なにしろ私は初めてのPBM参加だったため、どういう交流をしていいのかわからない部分も大きく、ずっとソロ参加してたせいか、メインストーリーのリプレイに登場することはありませんでした。
それでも個別の結果やサブストーリーは読めるし、月刊誌にイラストを投稿して載ったのもいい思い出です。

こういう機械処理式結果は、PBMが郵便からウェブのPBWに移ると見かけなくなってしまいました。
というのも現在のPBWがほとんどクラウドゲート(テラネッツ)さんとトミーウォーカーさんから分岐している運営であり(フロンティアワークスさんはまた別ですが)、そこで「1人のマスターがリプレイを書きやすい8人前後」のシナリオを基本単位としてPBWを設計し、これが普及していったため、機械処理で大勢を判定する必要があまりなくなっていった……ということなのだと思います。

現代のPBWに残ってる機械処理っぽいのはこういう定期ゲライクな戦闘コンテンツ
イラストは『第六猟兵』(C)青猫/リタ様・RAW様/トミーウォーカー

それはそれでいいと思うのですが、「小説っぽい結果を個別データで置き換える」ゲームというのは定期更新ゲームでもシステムとしてうまく利用したら面白いゲームが作れるのではないかな……と時々考えています。
ただ機械処理PBM自体を知っている人が現在ではあまりに少ないのではないか……と思っていたのでまずは周知するためにこうした記事を書いてみました。
また何か思い出したら追記するかもしれません。
長くなってしまいましたがここまで読んでくださりありがとうございました。


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