鑑賞録 #30 「ハズビン・ホテルへようこそ シーズン1 第7話:Hello Rosie!」
⚠️注意⚠️
本稿はHazbin Hotel 1x7の感想ですが、作中で描写される「CANNIBAL TOWN」から派生して食人・カニバリズムについて触れています。
グロ画像は一切ありませんが苦手な方は読まないでください。
冒頭のホテル内会議。
他のキャラクターが喋っているのもそっちのけで、キーキーに目をキラキラさせるサー・ペンシャスに大変共感しつつ二人を注視していた。
HBのオズやストラスもそうだがメインの顔と連動して変化する部分(オズは両側の牛と羊、ストラスはもう一対の目、ペンシャスは帽子)があると本心って感じがしてすごく可愛らしい。
動物でいうとしっぽや耳のようなものだろうか。
任意の動きもするが、建前を表すような仕様には(動物自体が)なっていないから「本心」の象徴のようで微笑ましくなる。
その点インプたちのしっぽはどちらかというと手足のような働きが目立つので本心感は薄いかな。
それから、Vivが猫を飼っているからなのかは分からないが、猫の描写がちゃんと猫らしくて本当に可愛い。
Vivに関しては日本に旅行に来た時もずっと動物関連の場所に行っていたから、猫じゃなくても解像度高く描けるのかもしれない。
特にフクロウカフェのフクロウたちや奈良の鹿たちとのふれあいではブリッツが馬を見ている時を彷彿とさせるリアクションをしていたので、ストラスやアラスターにしっかりフィードバックされているのかも。
冒頭の会議でのキーキーも初めは近くにおらずハスクの発言中にソファに登ってきて、ペンシャスの後ろにいたがいつの間にか膝に移動するという細かな猫っぽいシーンが入っている。
CANNIBAL TOWN
人喰い街だなんて、私の大好きなハンニバル・レクターのアイデンティティーが一部埋もれてしまいそうな街である。
別の記事でも引用したが、CANNIBAL繋がりで1曲貼っておきたい。
よく聴いていた当時には気が付かなかったがしっかりJeffrey Dahmerを引用している。
さて、店にやってきたアラスターを見つけたロージーが、
と「あんた今までどこで何してたんよ〜〜〜」みたいな大歓迎の仕方をしているが、つい数話前(1x3)のオーバーロード会議で隣に座っていたことはノーカン?
会議冒頭でカミラがアラスターに話しかけていたから気づかないはずがないし、単なる脚本ミスだろうか。ちょっと気になった。
それにしても、ロージーがナイスキャラすぎて大好き。
ノリはちょっと違うけど、お店に来たお客さんへの対応を見るに、上沼恵美子さん的なご意見番っぷりなのがすごく好ましい。
ずっとマイペースに喋ってる感じはミムジーと同じだが、ミムジーはちょっと……いやかなり腹立つのなんでなんだろう?😂
CANNIBAL TOWNの色合いがすごく可愛い。
ロージーの趣味を反映させたようでもあるが、街の人たちもいい感じに赤みや紫みのある装いですごくおしゃれ……
こんな街に住みたいけど目が疲れるかな……あと死んだら即ご近所さんに食い物にされる怖さもあるか。
余談:CANNIBAL the HANNIBAL
余談と書いたが私好みの話題なので一番長い項目になっている。
HH以外に興味のない方は飛ばしてほしい。
ハンニバル・レクターのアイデンティティーがどうのと言ったが、当人からしたらアイデンティティーも何も、人と動物の区別などなく「食べる」という行為以外のなにものでもないと思う。
CANNIBAL TOWNの住人もおそらく一緒なのだろう。
食人行為自体は現代社会でほとんど見なくなっただけで食事・儀式・征服行為の選択肢の一つとして普通に存在していた社会があったというし。
ハンニバル・レクターといえばの"EAT THE RUDE"は選定基準の一つであって「無礼な者だけを食べる」わけではないが、CANNIBAL TOWNの無秩序な食人行為とはやはり一線を画した美学のもとに捕食していることは間違いない。
その辺に転がっている死体を拾ってきて食べるということはしないし、自分の手で狩って、きちんと調理してから口に運んでいる。ときたま攻撃の一環として相手の肉体に対して歯を立てることはあるが、それ自体を食事として機能させているシーンはない。
彼は被食者に対して人間としては凄まじく尊厳を貶めるような扱いをするが、その一方で食材としてはこれ以上ないほど丁重に扱っているというのも面白い点である。
アンソニー・ホプキンスのハンニバル・レクターは食材を育てることはしなかったように思うが、マッツ・ミケルセンのハンニバル・レクターは食材の質を上げるために「食材に食べさせる食事」までコントロールする描写があり、これがものすごく恐怖を掻き立てていた。
ヘンゼルとグレーテルの魔女のように「檻に入れて太らせる」のではない。彼は友人として接し、美味しい食事を提供するだけ。
目的は肉の量を増やすことではなく肉の"質"を良くすること。
そして笑顔で食卓を囲んでいる最中に、自分が「食材としての質を高められている」ことにうっすら勘づいてしまうという、身体の芯から凍てつくほどの恐ろしさが描かれたりするのである。
人間は動物に対して普通に「美味しくするために〇〇を飼料にして育てる」ということをしているが、これが人間同士で行われると一気にグロテスクに感じられて怖い。
人間同士で食肉と見做し合うことを心底禁忌に感じているからかもしれないが、前述の引用に鑑みると文化的な刷り込み・矯正があればこそ成り立っている可能性もある。
逆に言えば文化的な刷り込みが「食人」を是としていたなら我々は抵抗なく人間を食べられる可能性もあるということだ。
ただし、これも引用文のとおり「意思疎通の有無」が大きく影響するとすれば、少なくとも同じ言語を話し、感情面で共感しあうような相手を捕食対象とは見做しづらいと思う。
自然界では「あいつそろそろ弱ってきてんな、食っちまうか」みたいな生態が存在するらしいが、人間の知性がある上で弱ってきた知人を(飢餓状態でもないのに)積極的に食そうとは思わない、と信じたい。
ちなみにハンニバル・レクター作品および猟奇殺人の心理に対して興味があるだけで、食人そのものに興味があるわけではないし、グロが大好物なわけでもない。
ハンニバル・レクター作品を好きだというとたまに「じゃあグリーン・インフェルノ観た?」とか「SAW好き?」と尋ねられることがあるが、どっちも観ていないしスプラッタは好まない。普通に怖くて観ていられない。
いや、人間の肉って美味しいの?という興味はある。
美食家のトップオブトップといっても過言ではないハンニバル・レクターが好み、それなりにリスクを冒してまで材料を入手して食べているのだから、その価値がある美味しさなんだよね?という視点だ。
もっとも名越康文先生の分析では「美味しいから」だけではないようだが。
⚠️下の動画(リンクの再生開始箇所は02:01、ハンニバル・レクター関連の言及は02:01〜10:59)全体でゲーム「リトルナイトメア」の重大なネタバレが含まれます。
自分の肉を自分で食べることは犯罪ではないようだから確かめることは不可能ではないが、私にそんな根性はない。他者の肉も食べたいとは思わない。
美味しいかどうかを知りたいだけだ。
人間由来の培養肉というのも技術的には存在するが、一般に手を出せるものではないし、培養された肉を生の状態で見たら「やっぱグロくて無理かも」と感じて食べられない可能性もある。
一生そんな状況に直面することはないだろうが、私は自分の細胞を元に作られた培養肉を目の前に出された時に「食べられない」と判断する感性なのだろうか。調理済みのものが出てきたら食べられるだろうか。
たまに爪を齧ったりささくれを齧ったりしている人を見るが、あれと何が違うの?みたいな気持ちにもなる。
それでなくとも口内の細胞はターンオーバーによって剥がれ落ちて喉の方に流れていくだろうし、厳密には肉とは到底呼べない程度の極めて微小な欠片を食べていることにはなる。
ヴァギーとカミラ
カミラがかっこよすぎる。
ヴァギーはカミラとの問答のなかで天使を殺す方法を知らないと言っていたけど、自分の目を潰したのは天使の武器(リュートの剣)だったのだしせめて「天使を傷つける方法」としては考慮してもよかったかもしれないネ。
新しく生えてきた翼はエクソシストだった時と違って色合いが優しめだ。
現役の頃はほぼ白黒だったが、今はほとんどラインが分からないくらい薄くなっている。
これは天使じゃなくなったことに何か関係があるのだろうか。
翼は生えてきたけど天使の輪っかは再生していないし。
最終話に向けて準備
次話のvs.アダムに向けて、カミラ、人喰い街の協力をとりつけ、ホテルの住人たちも協力的で着々と準備が進むようだ。
最終話まで何回も観ているので複雑な気持ちもあるが、ホテル内での結束が強まっているのは本当に素敵だなと思う。
エンジェルも、ハスクも、ペンシャスも仲良し。
ニフティも幸せそう。
HHの1話ごとの感想はHBの続編が出るまでの間に……と思って始めたけど、HH1x8シーズンフィナーレ(の感想のターン)を目前に2月末以来HB公式からの続報はない。