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「ムーラン・ルージュ」はなぜ傑作か

去年観た映画の中で一番好きだったかもしれない。
夏に舞台化された。
サティーン役、私の大好きな望海風斗さん。
もちろん観に行った。
今年も公演あるよ!

今回は映画「ムーラン・ルージュ」の良さについて語る。
ムーランは風車、ルージュは赤。
赤い風車が特徴的な娼館を舞台にした物語。
一番人気の娼婦サティーン(ニコール・キッドマン) と
小説家志望の若者クリスチャン(ユアン・マクレガー) による
純愛が軸になっている。
クリスチャンが歌うまイケメンすぎてびっくりする。
こんな歌うまいうえにイケメンって存在するんだ?

以下ストーリー詳細。
「愛することと、 愛する人から愛されることが人生における最上の喜び」
そう考えている主人公クリスチャンには恋愛経験がない!
そんなクリスチャンが出会うことになるのは高級娼婦サティーンだ。
勘違いが重なり二人は惹かれ合うようになる。
(二人が恋に落ちた時のデュエットがElton John - Your Song
舞台版でも本当に感動的だった。
洋楽 和訳 Elton John - Your Song (youtube.com)
→ユアン・マクレガー版見つけた!
Moulin Rouge! - Your Song (Ft. Ewan McGregor) (1080p) (youtube.com)

クリスチャンはサティーンを主役に舞台脚本を書くことになる。
舞台はインドで、サティーンは「日陰の花」と呼ばれる美女役。
美女を巡って大金持ちと無一文のシタール奏者が三角関係に陥る。
美女はお金ではなく愛(シタール奏者)を選ぶ。
……ところがこの舞台、上演にはどうしてもお金がかかる。
サティーンのパトロンとなってくれる公爵は
「舞台に出資する代わりにサティーンと寝たい」と言う。
こうしてクリスチャンの物語はクリスチャンの現実に結び付くのだった。

サティーンにとっては仕事だとわかっていても
嫉妬に引き裂かれそうになるクリスチャン。
クリスチャンへの気持ちが強くなり仕事をこなせなくなるサティーン。
二人は強い気持ちで結ばれては外的要因で引き離される。
その上にサティーンは重度の結核を患っていた。

舞台の日、舞台裏にクリスチャンが潜入したことで
現実と物語は完全に混ざり合う。
日陰の花(サティーン)を大金持ち(パトロンの公爵)と
シタール奏者(クリスチャン)が取り合う。
日陰の花(サティーン)はシタール奏者(クリスチャン)とカップルになり、
幕は下りる。
舞台は大成功!

ところがサティーンは結核で瀕死。
幕が下りると「私たちの物語を書いて」とクリスチャンに言い残し、
絶命する。

ここでフィルムは最初の場面に戻る。
タイプライターに向き合うクリスチャン。
そして打つ。[The end.]と。
つまり、この「ムーラン・ルージュ」という物語そのものが、
クリスチャンが書いた小説だったのだ!

初恋の人を失った悲しみに打ちひしがれたクリスチャンが、
サティーンのいない世界を生きていくために紡ぎ出した物語。
それが小説「ムーラン・ルージュ」だった。

上手すぎる。
こういう入れ子構造の物語大好きなんだけど三重構造は予想してなかった。
小説で読みたいよ。
ないなら私書くから~~~!!!って思う。
名作ミュージカルのノベライズ全部やりたいよ本当に。

クリスチャンを見ていると「小説の書き方ってこうだよね」 と思う。
クリスチャンには
「愛することと、 愛する人から愛されることが人生における最上の喜び」
という信念があって、これを作品の核にしている。
そして自分の経験を骨組みにして肉付けして、
「ほとんど自分の分身みたいなもの」をつくりあげる。
高く評価される小説ってそういうものだと思うし、
きっと最後の場面のクリスチャンはもう「無名の小説家志望」ではない。

「ムーラン・ルージュ」はサティーンとクリスチャンの悲恋物語でありながら、クリスチャンの小説家としての成功物語だ。
この構成の上手さこそ「ムーラン・ルージュ」が傑作である最大の理由だと思う。

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