【考察】まだ明かされていない美桜の血筋とは

青野くんに触りたいから死にたい の考察です。

美桜、そしてその家系についてはまだ明かされていない謎が多い。ホラー好きで頭の冴えるチームのブレーン的存在、そして不登校、という分かりやすいキャラ設定があるが、そのキャラ設定故その他の要素が目立たなくされているのではないだろうか。

【考察】 
美桜も希美のように力を持った家系

根拠①青野くんは美桜に生理的嫌悪感を抱いている

まず、黒青野が美桜の電話をいつも切らせたがることは優里も気づいている。
しかしこれは、優里が「あの世側」に踏み込んでいる時に「こちら側」との繋がりを断つため電話を切らせようとしていると推測すれば自然だ。
しかし、黒青野ではなく、青野くんが美桜に嫌悪感を抱いている。
電話で話していた際「なんで堀江さんの声は嫌な感じがするんだろう」と感じている。
その前に話した際は「堀江さんはマジでいい人だな」と言っているため、性格には好意的だ。
つまり、生まれつきの「声」=「血筋」に嫌悪感を抱いていること。これは考察ではなく事実だ。

根拠②黒青野は美桜を異常なまでに敵視している

物語の序盤、黒青野と思われる人物が優里に成りすまして美桜の家を訪れた。
「憑依の秘密等を解き明かす邪魔な存在」のため攻撃しにいったと考えるのが自然だ。
しかし、その後優里達が体育倉庫に閉じ込められた際の、藤本と黒青野の会話に疑問が残る。

Q「堀江さんちで何をしたんだ」
A「訪ねた」
Q「何のために?」
A「入るため」

この会話の後、優里は”自分の中”に黒青野を入れてしまう。

一見、黒青野の回答は「”家に”入るため」という意味に聞こえる。
しかし実際は「”美桜の中に”入るため」だったのではないだろうか。

「刈谷れす。中に入れてくららい。」

黒青野は一言も「家に」とは言っていないのだ。
更に、最初に藤本に憑依した際も、藤本は「(保健室に)勝手に入れば」と発言したものを「(中に)勝手に入れば」という意味に置き換わってしまった。

黒青野が美桜を訪れた頃はまだ四つ首様の話も始まっておらず、美桜は一度訪ねてきた優里と憑依のルールについて軽く話しただけだった。それだけで美桜の中に入ろうとする黒青野の行動力は、やはり美桜の血筋が脅威だからだと考えられるのではないだろうか。

根拠③美桜の家の歴史

美桜の血筋を考えるに当たって、その家系を見るのは必須となるだろう。
現在美桜の家系についてわかっていることを整理する。
・祖母と同居している
・祖母は棚石小学校出身の地元民で、祖母の父(美桜のひいおじいちゃん)の時から同じ家に住んでいる
・従兄弟の堀江春希は、苗字が同じことから離婚等してない限り「美桜の父親の男兄弟の息子」である。

美桜の家の外観を見てみる。
美桜の家は花の咲いた細い私道を歩いた先に玄関がある。
この間取りは江戸時代の「間口税」対策と考えることもできる。
間口税とは江戸時代、住んでいる家の「敷地の広さ」ではなく「公道に面している広さ」に対して税金をとるといった制度。玄関を道に面して造ると税金が高いので、細い道の先に玄関を作った。
京都が中心だったようだが、関東でも歴史ある家だとこのような間取りは今も見られる。
美桜の家はひいおじいちゃんの時に「建て替えた」家であるが、土地自体は相当古くから美桜の家の物なのではないだろうか。

また、美桜の祖母はずっと実家に住んでいる。祖母の世代だと結婚したら夫婦で暮らすか、夫側の家族と住むのが一般的だろう。
そんな中、祖母は夫を自分の実家に住まわせて暮らしてきたのだ。(所謂マスオさん状態)
それほどまでに、この家はこの町において歴史がある家系で、「その土地を守る」意義があるのかもしれない。

根拠④美桜が家から出られない理由

ところで、青野くんは美桜の従兄弟に対しては「緩くて優しそうな先生」ととても好意的だった。同じ血筋にもかかわらず従兄弟に不快感は感じてないようだ。
美桜と従兄弟の血筋以外の違いで思い当たるのは、「住んでいる場所」である。

根拠③で美桜の家はかなり歴史のある可能性について触れた。それと、美桜が家の外に出られないことは偶然なのだろうか。
美桜が家から出られないことから、何か事件があるたびに美桜の家は度々「中継ポイント」となってきた。山で優里が「あちら側」に行ってしまった際も電話を通じて話せた。
不思議なのは、同じ「こちら側」にいるはずの藤本には「あちら側」の優里の声はスピーカーで繋いでも聞こえない。
いつも、どちらの声も聞こえるのは美桜だけなのだ。
これは、美桜の家、更に言うと「土地」が特殊だからなのではないだろうか。
「堀江」という苗字は2文字とも「陸地に水を貯めた場所」という意味だ。
四つ首様編の滝壺と意味合いが似ている。
水の中は「神域」なのだ。

最新刊で希美が「街全体に見張られてる感じがする」と言っている。
優里と青野くんの誕生日の関係等から、この街の異変は青野くんが幽霊になる前から始まっていたと判明し始めている。
美桜が学校に行けない理由は明らかになっていないが、精神的な理由以外に、街の異変が強くなってきて「神域」である自分の土地から出られなくなったのではないだろうか。

この作品に於いて「異世界への入り口」を表す「花」が、美桜の玄関へ続く道にはいつも咲き乱れている。そしてその道から先へ美桜は出られないのだ。

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