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青野りえ『PASTORAL』セルフ・ライナーノーツ 〜アルバム制作秘話

ソロアルバム『PASTORAL』がCDとしてリリースされた2017年10月18日の発売日から毎日1曲ずつ、私のウェブサイトでセルフ・ライナーノーツをしたためていたのですが、先日の再配信スタートにあたり少し加筆したものをこちらにも載せたいと思います。

まず今夜はアルバム全体について。

数年前から関美彦さんのライブに時々ゲストヴォーカルで呼んでいただいて、関さんの曲を歌ったりするなかで、昔から私が表現したかった世界観がぴたりとハマるような感覚がありました。
関さんのプロデュースで、関さんバンドの演奏で青野が歌ったら、間違いなく良いものになるだろうな、という確信がありつつ企画を温めていたところ、ちょうどTWEEDEESの打ち上げでギターの山之内さんと関さんの話をしたのを機に、トントン拍子でそれが実現する運びとなりました。

最初の打合せで関さんに提案したコンセプトは、
「シティポップの決定版をつくりたい」の一言。
‘70年代のユーミンや大貫妙子さん、吉田美奈子さんといった、ティン・パン・アレーをバックに歌う大好きな女史の皆さんのイメージで私は話したつもりだったのですが、関さんはシティポップをもっと現代的なジャンルと捉えたようで、それはそれで面白いなと思ったので、敢えて細かいことは言わずに関さんの思うままに作ってもらえたらと思いました。結果それで間違ってなかったと思います。
多くを語らずとも、好きなものは滲み出てくるものだし、今この時代につくり出される音だということが大事。

「パストラル」というタイトルについて。
田園詩や羊飼いのライフスタイル等を意味する、ちょっと曖昧でふわふわした言葉。
シティとは対照的で、あれ?と思われるかもしれません。
東京湾岸を舞台に恋に暮らしに奔走する、とある女のこころに通り抜ける風、パストラルの自由さとロマンチックな精神性というニュアンスで捉えていただけたらと思います。

恋のはじまりと終わり。
女の弱さと強さの両方を。
東京砂漠をおひとりさまでも強く生き抜く大人の女賛歌。

みたいなテーマも歌詞に込めました。
今回のジャケットは自分でデザインしたのですが、このテーマに合うものができたと思います。
素敵な写真を撮ってくださったのは小木曽威夫さんです。

ところでこのアルバムのタイトル、当初は「ゆりかもめ」の予定でした。
東京湾をさまよい揺られるカモメに女の姿を重ねて、というのと、単純に「ゆりかもめ」という5文字の日本語の響きが美しいと思って、いつかソロアルバムをつくるならこのタイトルに、と密かに温めていたのですが。
関さんにはどうしても受けつけない言葉だったようで、長い話し合いの末、今回は100歩譲ることになりました。

こちらのリンクからお聴きいただけます↓


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