とも子

会えない時間の中で
会えない日々の中で
人はその会えない辛さの中で
そのいたみを忘れるかのように
その会えない誰かの面影を封印し

そして別の誰かで
埋め合わせてしまえる
ものなのだろうか

埋め合わせてしまえるのだ
それが生きるということで
あるかのように
あたかも生理現象で
あるかのように
人はそれが出来てしまうのだ

そして見事に
ぼくはきみを忘れ
別の人を好きになり、生きてゆく
生きるとはそういう
残酷なことであると
自覚しつつ、苛まれつつ
それでも生きてゆくのだ

やがて
すべてを忘れた頃
ぼくの中で封印された
きみの面影が
きみの面影は

冬の或る日
雪となって大地に舞い落ち
とけてゆくだろう
無意識のうちに
とけてゆくことを願い祈る
ぼくの前で
しずかにしずかに
とけていってくれるだろう
あたかも雪とは
そのために降るかのように

それでもいつかふっと
思い出す時
いたみがよみがえる時
きみもぼくも
何も悪くはない
会えなかった時、
会えなかった日々こそが
わるいのだ
ただそれだけが
わるかったのだと

思わせてくれ

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