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スタートアップ創業して2年間CxOやってみた話

こんにちは、自動運転EVをつくるTuring(チューリング)株式会社で共同創業者CTOをやっている青木俊介です。

Turingという会社を創業して2年が経ちました。この記事では「ディープテック系スタートアップを2年やってみて感じたこと・学んだことやって良かったこと」を中心に書いていこうと思います

自己紹介・会社紹介しておくと、Turingという会社は「AIによる完全自動運転の実現」「EV車両の量産」を掲げて「We overtake Tesla(テスラを超える)」を合言葉にしているスタートアップ企業です。創業2021年8月。

合言葉はWe Overtake Telsa
Androidも触れるよ!


最近だと完全自動運転を実現するためのマルチモーダルモデルの開発に力を入れていたり、東京モーターショーの後継であるジャパンモビリティショーへの出展が決まっていたりします。すごい!はやい!



…と、会社の宣伝と自慢はここまでにして本題を書いていきます。
スタートアップCxOとして感じたこと・学んだこと・やって良かったこと」を3つ。

学んだこと①:錦の御旗は勇気をくれる

突然なんですが、僕結構日本史とか中国史とか好きなんです。
日本史の権力闘争の場面ではしばしば「錦の御旗」「朝敵」という単語が出てきます。織田信長は朝廷(天皇)を動かして甲斐・武田家を「朝敵」認定した後に攻め滅ぼしたり、最近(?)だと幕末の薩長勢力が「錦の御旗(天皇家の軍旗)」を掲げて幕府軍を打ち滅ぼしたりしています。自分たちが朝廷側だと意気揚々、朝廷の敵に認定されると意気消沈なわけです

これって、現代の価値観からすると理解するの難しいんですよね。だって普段の生活で錦の御旗なんて見ないし、「あいつは朝敵だー!」とか言われるより「あいつ気持ち悪いな!」と言われる方が100倍落ち込みます

じゃあこの「錦の御旗」がなにかというと、みんなの心を突き動かす正義・大義名分なんだなと最近感じています


実はTuringという会社を共同創業する時、参画するみんな(まだ見ぬ構成員+自分たち)は何に人生の時間をbetしたいだろう、どんなことに心を燃やせるだろう、どこに戦う意義を見出すだろう、ということを悶々と考えていました。さらに言うと自分より優秀な人に参画してほしい。そんなことを考えて、「toC向けの完全自動運転を実現しよう」「自動運転車を量産して日本の産業・雇用を創ろう」という正義の旗をTuringでは掲げています。完全自動運転ってやっぱり誰の目から見ても必要だし、人間が運転するより絶対的に安全な世界が完全自動運転でつくれると思うわけです。

この正義の旗・錦の御旗にこだわりまくったのは当初の想定以上に良かったなと感じていて、実際に自分よりかなり優秀だったり経験豊富な人が参画してくれて、毎日楽しく働けています(毎日楽しく働ける環境、サイコー!)

学んだこと②:決断は前進、巻き戻しさえも前進

スタートアップはゼロから創るものなので、決断・行動しないと前進しません。この決断の質と量をあげていかないと会社が無茶苦茶になってしまいます。
創業当初こそ色んな議論をCxO陣・社内全体でやっていたものの、最近は「巻き戻しできるなら一旦Go」という方針を全社で取っています。決断して進んだものの困難にぶつかって巻き戻すということは、「少なくともその経路に困難が存在する」ということは学べるわけです


…ということを最近考えながら「CTO Night and Day」というイベントに参加してみたところ、Amazonでは「1-way door/2-way door」という考え方 があることを知りました。
さすがジェフ・ベゾス、俺たちの2歩3歩前を進んでいる

超簡易的に書いておくと、決断は1-way doorと2-way doorに分けられることができ、1-way doorは一方通行のドア。こちらのドアは1度開けると元に戻れない。このため慎重に検討して決断する必要があります。一方で2-way doorは1度開けても戻ってこれるから素早く判断しましょう、みたいなポリシーみたいです。

ちなみにCTO Night and Dayは「各社CEO・COOは社交の場があって横のつながりがあるのにCTOにそういうのないの、もったいなくない?」みたいなモチベーションで開催されています。開発組織作りとかベンチャーあるあるの話が共有できて、すごく勉強になるイベントでした。


学んだこと③:人間はすごい、人間から学ぼう

急に化け物が書きましたーみたいなサブタイトルになってしまったけど、やっぱり人間はすごいです。人間は真理に近い

この社会に生きている人間は結構頑張っていて、いろんな課題を解いています。スタートアップをやっていると直面する課題のほとんどが初見の課題に見えるんだけど、地球上の誰かがすでに解いている、みたいなことが良くあります。組織開発・人材採用の課題も、予算設定・資金計画の課題も、適切な人にアクセスし、適切な情報さえゲットすれば独自手法を開発しなくても突破できる(はず)。


話が少し変わるけど、
僕はちょっと前までアメリカの大学で研究活動をしていて、大学院のコースワークでロボティックスの授業に潜っていたことがあります。授業の最終課題では、ロボットアームを使ってオレオを分ける制御ソフトウェアをチームで書いて提出するんですが、これがまぁー大変です

ロボットがオレオを分けてくれる最先端ロボットHERB

制御ソフトウェアを過去書いたことのあるティーチングアシスタントが手取り足取り教えてくれはするものの、オレオが粉々になっちゃったりオレオが取れなかったりオレオが粉々になっちゃったり。人間はオレオくらいなら簡単に分けれるので人間はやっぱりすごい!(そもそもオレオくらい分けずに一口で食えよ、というのは置いといて。)

で、このプロジェクトやっている時にチームメイトと発見したんですが、人間は徐々に力を入れながらオレオを分解します。そもそも1つ1つのオレオが持っている吸着力(?)にも差異があるので、この細かい調整を人間は指の力と感覚でしているわけです。人間すごい!

人間は真理、ということでTuringの完全自動運転システムも、「人間は良い目ではなく良い頭で運転している。良いセンサではなく良いAIをつくろう」という技術方針を取っています。
これも実は創業の時から「クルマの運転ってさ、4歳児にできるんだっけ?」「ヘビとかウサギの知能で運転できるんだっけ?」という会話を積み重ねて導き出しています。自動車の運転には結構な知能レベルが必要、とはいえ最近のAI技術の進展から逆算しても2030年には達成できるはずだと見立てています

良いセンサではなく良いAI


さいごに

スタートアップ・ベンチャーのことは創業前からある程度勉強してきたつもりでしたが、外で見ているのと中で戦うのは大違いでした。特に創業期はメンバー全員が会社に対してownershipを持たなきゃいけない本当にタフな期間ですし(Turingは現在進行形でタフな期間が続いています)、会社のフェーズがどんどん変わっていくので色んな事を学んで実践していかないとCxOでさえもバリュー出せません。バリュー、出していきたい。

ちなみに創業から2年経ったしnoteでも書くかーと思っていたら社員のいのいちさんの方が先に書いていました。
こちらも合わせて読んでください


最後に、Turing社はまだまだ創業期・組織拡大期なので少しでも興味あれば僕のTwitterとかにDMください。
たくさん学びの機会がある良い会社だと思います!


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