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今さら聞けないビジネス用語解説「MaaS」

MaaSとは?

MaaSとは「Mobility as a Service」の略で、直訳するとサービスとしてのモビリティ(乗り物)」という意味の用語です。

そもそも電車やタクシーなど、自家用車以外の乗り物は、だいたいにおいてサービスであるはず。それなのになぜ改めてこのような言葉が生まれたのでしょう?

日本版MaaSを推進する国土交通省では、MaaSをこのように定義しています。

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。 ー日本版MaaSの推進

要約すると「複数の移動サービスを、組み合わせて、一括で利用するサービス」と言えそうです。

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国土交通省「日本版MaaSの推進」より、MaaSのイメージ図

MaaSの生まれた背景

MaaSが生まれたのは、北欧・フィンランド。フィンランドでは2014年に「ヘルシンキ市域内の自家用車を2025年までにゼロにする」ことが示され、公共交通機関の抜本的なシステム改善と利活用が求められることとなりました。

そこで生まれたのが、バス・タクシー・シェアカー・シェアサイクルなどを一括して利用できるアプリサービス「Whim」です。

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複数の交通手段を定額で利用できるフィンランドのMaaSアプリ「Whim」Whim公式HPより

Whimを利用したユーザーは、目的地までの最適な交通手段・ルートをアプリ上で調べ、そのままアプリで予約・決済を行った上で利用することができます。

利用は定額で購入したポイントを消費することで行なえます(※定額以外にポイントの都度購入も可能)。

日本でもGoogle MapやNavi Timeなどのアプリでルートの検索は出来ますが、そのままアプリ上で交通期間の予約やチケット購入が行えれば便利ですね。

なぜいまMaaSが注目されているの?

それではなぜ、いまそんなMaaSが注目されているのでしょう?

平成31年に国土交通省が公表した資料「日本版MaaSの実現に向けて」では、以下のような日本の地域公共交通の現状を示しています。

1. 地方部・都市部に共通した、地域公共交通の担い手・人材不足
少子高齢化にともない、公共交通機関の運転手などの人材が日本全国で不足しています。

担い手が減少しても成立するような、効率的な地域公共交通システムの構築が待ち望まれています。

2.地方部における交通事業者の赤字状況
都市への人口集中と地方部からの移動が原因となり、地方によっては公共交通ビジネスが成り立たなくなってきています。

こちらもやはり効率的で、人が少なくても維持が可能な交通システムが必要とされています。

3.都市部における渋滞問題
「2」と表裏の関係にある問題ですが、都市部では人口が集中している故に道路渋滞などがおきています。

この問題は、フィンランドのような自家用車を減らす取り組みや、既存の公共交通システムを効率化することで解決に向かうでしょう。

つまり、日本では地方・都市で内容に違いはありますが、全国的に地方公共交通の効率化・改善が求められる状況にあり、その解決策としてMaaSが注目されているわけです。

その他、効率的な移動が実現すれば、CO2の削減にもつながるため昨今流行しているSDGsの文脈にも合致しています。

社会の要請と世界的なトレンド、その2つによってMaaSに光があたっていると言えるでしょう。

MaaS施策ってどんなことをするの?

ひと口にMaaSと言っても、地域によって課題や現状の交通環境は様々。ここでは数あるMaaS施策の中から、一般的なものを取り上げます。

実際には地域の状況に合わせてこれらの施策を選び、接続していくことが必要になってきます。

1. データ形式の標準化と連携
バス・電車・タクシーなど、地域の交通を担う会社は交通手段によって異なることが多いはず。

複数の交通機関を連携させるためには、まずは各機関のデータを連動できるように形式を標準化させる必要があります。

2.ダイナミックプライシングの導入
特に観光地などでは、土日や休日、旅行シーズンなどに観光客が集中し、地域住民の生活を阻害するケースがあります。

そんなときに活用したいのがダイナミックプライシング。航空チケットのように、移動時期や購入タイミングによって価格を変動させれる値付け手法のこと。市域に入るための有料道路などでの活用が期待されています。

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日本版MaaSの実現に向けた最近の交通政策の動向について (関東運輸局) より

3.貨客混載サービス
旅客の輸送・物品の輸送を同じネットワークで行うのが「貨客混載」です。これまでは人とモノで異なる交通機関を用意しなければならなかったのが、これならば1ラインで済み、その分人員を節約することができます。

スイスやオーストリアなどの山岳地域では、ポストバスと呼ばれるバスで旅客と郵便物の両方を輸送しています。日本でも宮崎県で一般路線バスを利用した貨物の輸送が取り組まれているそうです。

参考:全国初、宮崎県西米良村にて佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸3社との村営バスによる貨客混載を3月23日から開始します (ヤマト運輸)

4.シェアリングサービスの活用
電動シェアサイクルなどのシェアリングサービスも、地域の交通課題を解決するサービスという意味ではMaaSと呼ぶことができます。

移動者が自分の力で、かつ快適に移動できる手段を利用することで、人員不足解消につながります。

5.新たな輸送サービスの開発・実証
人が少なくてもorいなくても運用できる交通手段があれば、担い手不足は大幅に改善されます。

そのような新たな輸送サービス・システムの最たる例が自動運転車。

まだ実用化・普及にまでは至っていませんが、日本でも全国で自動運転の実証実験が行われています。

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日本版MaaSの実現に向けた最近の交通政策の動向について (関東運輸局) より

地域の課題をビジネスチャンスに変えていこう

高齢化・人口減少の進む地方ほど、公共交通の課題を抱えています。しかし、課題が多い地域こそMaaSなどの新たな取組のニーズが高く、ビジネスチャンスも隠れています。

地域の課題をビジネスチャンスと読み替えて、新たな産業を生み出していきましょう!

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