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病めるときも健やかなる時もそばにある曲

「#スキな3曲を熱く語る」というお題が目に止まりました。

noteで募集されているテーマにあまり参加することがなかったのですが、これを見た時、ちょうど一年前にこの道を通った夜昨日の事のように今はっきりと思い出す虎舞竜ではなく、ちょうど一年前に下書きしたnoteの事を思い出しました。

自分の好きな曲について記事を書こうとしたのですが、どれにしようか、何曲書こうかと迷ってしまい、イントロダクションで1年下書き熟成させてしまっていた記事の事です。

“3曲”いうルールが設けられる事で潔く選べるという、何とも自由を謳歌できない自分に不甲斐無さを感じつつ、せっかくなので下書きの続きを、テーマに沿って書くことにしました。



小学生の頃、姉の影響を受けて海外の音楽ランキング番組を好んで見ていました。多種多様なアーティストのPVに映るファッション、メイク、映像演出がとても刺激的で、春には熊がのそのそと村へ降りてくるような田舎で、広い世界の一部に触れ、ときめくような気持ちでした。

特に興味を持ったのが、シンディ・ローパーと、カルチャークラブです。
彼らのいでたちは、ド派手なメイクをしてド派手な衣装に身を包み、ヘアスタイルはピンク色の髪に片方だけ剃り込み、カラフルなエクステといった、おおよそ普通と言われるスタイルからは程遠いものでした。当時その混沌とした魅力を整理できないまま、それでも私はそれらに取り憑かれるようにして、ビデオテープに録画したPVを何度も何度も繰り返し見ていました。

時は80年代、スマホもパソコンも当然インターネットも日常生活にない時代に、唯一の動画メディアだったテレビを通じて知る彼らには、「このド田舎で、この人たちを好きだと公に言ってはいけないんじゃないか」と思わせる奇抜さがありました。

そしてその数年後、私はBO GUMBOS(ボ・ガンボス)というバンドに出会いました。心臓が止まるほど強烈に、鮮烈に、ド派手に、かっこいい。今でも唯一無二の魅力を持つバンドだと思っています。彼らがテレビで『魚ごっこ』を歌う姿を見て、日本人なのに、シンティ・ローパーやカルチャークラブに負けないほどのパンチ力じゃないか、と驚いたのが第一印象です。

ボーカルのどんとが亡くなったのが2000年。人生で好きだったアーティストが亡くなった最初の経験でした。これまで発表された曲はずっと聴き続ける事が出来るけれど、この先どんとが作って歌う新しい曲には、もう出会えないのだと思うと信じられませんでした。

最初の1曲は、そんなBO GUMBOSが残した沢山のユニークで素敵な曲の中から、『夢の中』を選びました。

彼らの曲にはあまり難しい言葉が出てきません。
『夢の中』も、簡単な幾つかのフレーズが繰り返されるだけの構成になっていますが、とてつもない力強さを持っています。遠回しな言葉を使わない事で、どんとの想う人生観のようなものがストレートに伝わってくるような気がします。

この曲を歌っているどんとを見ていると、いつだって心が震えますが、初めての方はビジュアルが怖くて震えるかもしれません。


ハナレグミがライブでカバーしていてとても素晴らしいので、そちらもご紹介しておきたいと思います。

▽刺激強めのオリジナル。ヒョウ柄好き大阪のオバチャンもチーター並の足の速さで逃げ出すほどの派手な衣裳。リリース音源と2箇所ほど、歌詞を変えて歌ってるけどそれもまたいい。



▽ハナレグミが歌うとまた違ったカッコ良さ。魅力的な声がこの曲に驚くほどマッチしている。


2曲目は、フジファブリックの『茜色の夕日』です。

ボーカルの志村正彦氏が亡くなったのが2009年。美しく儚げで、それでいて強く芯のある歌声がとても好きです。カリスマ性があるってこういう人のことを言うのかな、何か次元が違う世界の住人のような、不思議な魅力を感じます。

この曲は、ただ淡々と事象が語られ、それによって沸き起こる感情がシンプルな言葉で表現されていて、まるで子どもの頃に描いた絵日記のようです。


この曲を聞くたびに頭の中にある風景が浮かんで、それは自分が体験した事なのか、それとも曲の中で語られている風景なのかがわからず、
境界線が曖昧になりますが、なぜか心が共感してしまいます。

人々の普遍的な感情を刺激して胸を打つような、そんな一曲だと感じています。


▽とにもかくにも美しくて、カッコよくて、可愛くて、素敵で、触れられない尊さがある。男性と女性が同座しているような色っぽさ。


3曲名は、中村一義氏の『ハレルヤ』です。
これまでの人生で唯一、ライブ後に出待ちをするほど好きだったアーティストで、彼がソロから100sというバンドを結成した直後まで熱狂的なファンでした。少し離れてしまっている今も、やはり彼の作った曲というのは特別です。2009年までに発表しているソロ時代とバンド時代のほぼ全ての曲は、歌詞を見ずに歌えるレベルで好き。今で言う推しというやつでしょうか。

歌詞はダブル・ミーニングや言葉あそびが多用されていて、そこに彼の哲学や思想が込められています。全体として鋭いメッセージ性を持ち、それらに救われてきた人が沢山いるんじゃないかと想像しています。どれも特別すぎて本当は1曲選べないんですが、残り1枠なのでパッと頭に浮かんだ曲にしました。『犬と猫』も、『ジュビリー』も、『希望』も、『ももとせ』も、あれもこれもいいけどなー!


▽この人の曲にはいつも自分と世界のための祈りが込められている。若くしてどうしてそこまで達観できたのかと不思議だけどそれが天才たる所以。


これらの曲は、「この曲を聴いたら、あの当時を思い出す」とか「あの恋を思い出す」とか「あの人を思い出す」といった自分の人生の一幕に紐づいた、思い出としての曲という類ものではなく、これまでの長い間、そしてこの先もずっと思い出にはならない、傍にあり続ける曲、という視点で選びました。


それにしても、まだまだ好きな曲あるな。3曲って何の縛りでしたか。


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