私が住むべき場所はここだ！

不動産屋Kさんに案内されて、内覧したい物件に向かった。
家主さんがご在宅なので、人が住んだ時のリアルな感じやマンションや周辺環境の雑感も聞けた。
お部屋自体は、メリットもあればデメリットもある。非常に悩ましいところだった。

一番気になったところは、日当たりが悪いところだ。
お部屋を後にし、日当たりがよければ……とぼやく私に、Kさんは「どうしてもそこが引っかかるのでしたら、やめた方がいいかもしれません」と背中を押さずに冷静なアドバイスをくださった。信頼度爆上がりである。

一旦、話をまとめるためにマンションのロビーへと。
ゆったりと時間が流れる広々としたロビーの、使い込まれてるけどなんか高そうなソファに座って一息吐いた時にふと浮かんだ感情があった。

「帰りたくないな」

このマンション、やけに落ち着く。
というか、町自体のホーム感がすごい。
海は見えないけど潮風のお陰で海の気配がするし、全体的に治安が良さそう。（池袋より治安が悪い場所なんて数えるほどしかないかもしれないが）
マンションには必要な設備が一通り揃っているし、周辺環境がいい。

我が家にするならここだ。
その後、いろいろと調べたところ、別のお部屋も売りに出ていることが判明。
何とかそのお部屋を内覧させて頂いたところ、前に見たお部屋よりも明るかった。
前のお部屋にないデメリットもあったが、背に腹は代えられない。自宅にいる時間が長いので、少しでも明るいおうちがいい。
それに、そのお部屋はなんだか居心地がよくて落ち着くのだ。

私はKさんに言った。
「ここに住みたいです！」

家を買おうと思い立ってから約一カ月半、私は爆速でマイホームを決めてしまった。

個人事業主は住宅ローンが組めるのか。

私の意志は決まった。
だが、一括で払えるほどの資産はない。
Kさんに丁寧なアドバイスを頂き、物件価格の半額を頭金とした。
会社員などならばもう少し抑えるのだろうが、私は事情が違う。何の保証もないソロの個人事業主なのだ。ここは全力で行きたい。

そんなこんなで複数の金融機関に事前審査をしてもらったところ、なんと、全て通ってしまったのだ。
あのガードが堅いというネット銀行ですら火の玉ストレートで通過である。
ただ、ネット銀行は金利が低いものの、実店舗がないのでローン初心者には難易度が高い。
私は常日頃から大変お世話になっているメインバンクたるメガバンクに本審査をお願いすることにした。メインバンクなので支払いも楽だし、常連客なので手取り足取り教えてくれるだろう。

余談だが、複数のメガバンクから「うちの方が安くなります！」と低い金利を提示され、ちょっとしたモテ期を味わった。
小説家なんてギャンブラーみたいなもので真っ当な仕事ではないと思っていたのだが、メガバンクに認められたことでちゃんとした仕事をしているように思えてきた。
まあ、職業云々ではなく、頭金が大きく3年に亘ってちゃんとした収入があったからなのだが……。

そう言えば、個人事業主で住宅ローンを組む方は気を付けて頂きたい。
私は過去3年分の確定申告書の提出を求められた。
3年間、ある程度安定している（ように見える）収入があると、審査が通りやすいものと思われる。
取引先も気にしているかな？と思う部分はあったが、そこは審査をする行員さんにしかわからない。

そして、本審査を申請してから約二週間。
無事に審査を通過したのである。
個人事業主、ソロで住宅ローンが組めた！！！やったーーー！！！

世はまさに低金利時代というのもあったが、「個人事業主は住宅ローンが組めない」というのは都市伝説であることがわかった。住宅ローンも組めればクレジットカードも作れるのだ。

ただし、現在は金利が低い状態で、将来的に金利が上がる可能性がある。
なので、ギリギリの状態で物件を購入すると、金利が上昇した時に払えなくなる可能性があるのを頭に入れておくといいだろう。

節目の誕生日プレゼントは住宅（抵当権付）

金銭的な問題は解決し、いざ契約。
ここまで辿り着くのに紆余曲折ありつつも（色々と端折っている）、実に爆速だった。
梅雨頃に家を買うことを決意し、秋の始めには家を買っていた。
ちょっと遅くなったが、自分にビッグな誕生日プレゼントを用意できてよかった。ただし抵当権がついているので、ローンが払えなくなったら取り上げられてしまうが。

また、Kさんには本っっ当にお世話になった。
最初から最後まで過不足ない良い仕事をしてくださり、とても気持ちよく家を買えた。バキバキに使い込まれた鞄を信用して良かったと思う。
またご縁があったら、是非とも頼りたい。

購入したおうちは早速、壁紙と天井をリフォームした。
どうぶつの森をはじめとしたリフォームできるゲームをやりまくるくらい、私はリフォームがしたかったのだ。
部屋を自分好みにできるなんて、なんと贅沢なことだろう。
他にもいろいろと弄らなくてはいけないところがあるが、時間をかけてゆっくりやろう。
なにせ、2年契約の賃貸ではないのだ。時間はいくらでもある。

新居に入る頃には実用的な筋肉がそれなりについて、ダンボールの山を一日で片付けるほどのパワーを発揮した。
新居に入って数日で自転車を買い、風となって海まで走った。
高い建物がほとんどなく、青空がよく見えて日差しが温かく、運動には最適な街だ。
私はこの町で、もっと筋肉をつけることだろう。
その先に何が待っているのか、今からとても楽しみだ。