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彼女もまた「27クラブ」に入会してしまった

『AMY エイミー』(イギリス/2015)監督アシフ・カパディア 出演エイミー・ワインハウス

解説/あらすじ
2011年に27歳で急逝した歌姫、エイミー・ワインハウスの姿を、『アイルトン・セナ〜音速の彼方へ』のアシフ・カパディアが捉えたドキュメンタリー。第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞に輝いた話題作!

今年見た映画の中でベスト10かもしれないエイミー・ワインハウスというシンガーを知って良かった。エイミー・ワインハウスは、イギリスミドルセックス州エンフィールドにユダヤ人の両親の元に生まれる。十代から歌手を目指してデモ・テープをレコード会社に送る。この夢見る少女時代が一番幸せだったのかもしれない。類稀な彼女の歌唱力は、『フランク』でデビューするとあっという間にイギリスでトップスターに。ビリー・ホリデイを思わせるブルース・フィーリングやジャニス・ジョップリのような骨太のヴォーカルなのだが一気にスターダムに上り詰めた為に彼女の人生を狂わせた。彼女もまた「27クラブ」と言われる27歳で歌人生を全うした。(2016/08/27)

Amy Winehouse"Frank" やっぱこのアルバムが最高。エイミー・ワインハウスという歌姫が自ら歌うことによって生きていたドキュメント。彼女の歌が誰にもまして切実に人生=生きることを感じさせる。

全英で有名になると次は全米だということになり、アメリカでも大ヒットアルバムとなった2006年のアルバム『バック・トゥ・ブラック』。しかし、大スターの宿命なのか、大舞台は彼女に緊張とプレッシャーを強いた。酒とドラッグというジャニス・ジョップリンを追うような人生でもあった。

アメリカでも反社会的なスターはスケープゴートにされるのは、パパラッチのフラッシュを観た時に、何かのセレモニーでもあるかのように一人の人間が追い掛け回される。父親が家族を捨てたとことへの愛の渇望が駄目男に惹きつけられたのだろうな。ドラッグと共に。母親の存在の希薄さ。

グラミー賞のシーンで派手な父親と反対に母親が地味すぎて。エイミーが最初のマネジャーのニックの髪の毛を気に入ってなかったら、イギリスで活動して、ライブハウスでジャズを歌うことはなかった。ニックは憎めない奴だったが、エイミーが愛したのは別の男だった。女性スターを食い物にするような男だった。

グラミー賞を受賞した「リハブ」はリハビリ施設へ入所した自身の体験を元に書いた曲で彼女の復活を印象付けたが、すでに心身ボロボロな状態になっていた。

トニー・ベネットとのデュエットは映画でも象徴的なシーンとなっていた。良き父親トニー・ベネットの85歳の誕生日を祝う愛に傷ついた娘。「ボディ・アンド・ソウル」を歌う二人の姿が夢の世界。



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