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藤竜也の愛のコリーダのなれの果ての人情喜劇

『高野(たかの)豆腐店の春』(2023年/日本)監督・脚本:三原光尋 出演:藤竜也、麻生久美子、中村久美、徳井優、日向丈、菅原大吉、桂やまと


尾道の小さな豆腐屋 父と出戻り娘の小さな幸せ
大豆を使い分け、こだわりの豆腐を作る頑固な職人高野辰雄と出戻り娘の春。彼女は父の豆腐を全国に売り込もうとするが、辰雄は迷惑顔だ。逆に春の将来を案じ、商店街の仲間と彼女の再婚相手を捜す。主演の藤と麻生の名演技が心に迫る、爽やかなホームドラマ。

だいたい予想できてしまう人情映画なのですが、今まで観てこなかったのに急に観たいと思ったのは、藤竜也が賞を取ったというツイートがあったからでした。割りとミーハーです。

そう言えばこの人大島渚『愛のコリーダ』にも出ていて、凄いと思ったけど今ではAVでは当たり前になっているから時代というものは怖ろしいものです。

普通に頑固オヤジを演じていますけど、山田洋次監督が描くような家族人情喜劇です。お年寄りでも安心して見られる。その分過激さはないです。当たり前か?

場所が尾道で、小津映画も連想したのは笠智衆の演技に近い感じだったからだろうか?なんとなくとぼけた感じの味のある。それで娘の結婚問題と老いらくの恋を絡ませた二つの線が絡み合うという。

広島の原爆問題や戦争時の生き方も絡んでいて重厚な喜劇という感じがします。喜劇なのに重いとはどういうことなんだと思いますが、観ている分には軽い喜劇です。監督がそういう時代もあって今の日本があるんだという主張ですかね。そいうヒューマニズム的なところは山田洋次監督に近いと思ったのでした。それ以上でもそれ以下でもないですね。

ただ藤竜也のときどき『仁義なき戦い』のヒロシマのヤクザのようなセリフが出てくるのが面白いというか、そういうなれの果てみたいな頑固オヤジを演じています。それと尾道という共同体の懐かしさとか。けっこう面倒くさい人々を描いているのですが。

だから娘との間にいろいろ齟齬が出来るというわけです。そこで涙ポロポロとなる。人情家族映画のパターンですかね。

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