『激怒』(2021/日本)監督:高橋ヨシキ　出演:川瀬陽太/小林竜樹/奥野瑛太/彩木あや/森羅万象

解説／あらすじ
中年の刑事・深間には、一旦激怒すると見境なく暴力を振るってしまうという悪癖があった。かつてはその暴力を活かして街から暴力団を一掃した功労者と讃えられたこともあったが、度重なる不祥事に加え、大立ち回りで死者まで出してしまった責任を問われ、海外の治療施設へと送られることになる。数年後、治療半ばにして日本に呼び戻された深間は、見知った街の雰囲気が一変してしまったことに気づく。行きつけだった猥雑な店はなくなり、親しくしていた飲み仲間や、面倒をみていた不良たちの姿もない。一方、町内会のメンバーで結成された自警団は「安心・安全」のスローガンを掲げて高圧的な「パトロール」を繰り返している。一体、この街に何が起きているのか？　深間の中に、久しく忘れていた怒りの炎がゆらめき始める…。

カルト映画好みの高橋ヨシキ監督らしさは出ているスプラッター風刺映画か。富士見町という日本のどこかにありそうな町の浄化の権力者とはみ出し者の刑事との対決。自警団が出てきて町を統治していく風刺劇。

ただ血みどろのシーンが多いので鑑賞者を選ぶかも。カルト系映画が好きな人は楽しめると思う。鈴木清順の初期の頃のような手作り感かな。川瀬陽太の感情を爆発させる刑事。女子との関係がいまいち娘なのかよくわからんかったが、敵味方が戯画的に描かれている。

今ある怒りを映画で表現したという映画で、ただそれによってカタルシスを得られるかというとそうでもなかった。刑事が変に強すぎるからかな。ハリウッドだったらダーティ・ハリーだったんだろうけど。