原体剣舞連
　　（mental sketch modified）

　　　dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah
こんや異装（いさう）のげん月のした
鶏（とり）の黒尾を頭巾（づきん）にかざり
片刃（かたは）の太刀をひらめかす
原体（はらたい）村の舞手（をどりこ）たちよ
鴾（とき）いろのはるの樹液（じゆえき）を
アルペン農の辛酸（しんさん）に投げ
生（せい）しののめの草いろの火を
高原の風とひかりにさゝげ
菩提樹皮（まだかは）と縄とをまとふ
気圏の戦士わが朋（とも）たちよ
青らみわたる
気かうきをふかみ
楢と椈（ぶな）とのうれひをあつめ
蛇紋山地（じやもんさんち）に篝（かがり）をかかげ
ひのきの髪をうちゆすり
まるめろの匂のそらに
あたらしい星雲を燃せ
　　　dah-dah-sko-dah-dah
肌膚（きふ）を腐植と土にけづらせ
筋骨はつめたい炭酸に粗（あら）び
月月（つきづき）に日光と風とを焦慮し
敬虔に年を累（かさ）ねた師父（しふ）たちよ
こんや銀河と森とのまつり
准（じゆん）平原の天末線（てんまつせん）に
さらにも強く鼓を鳴らし
うす月の雲をどよませ

九相図小町
　
sakura sara sara sakura saku
ここは地球
小町は八重の桜
八重の着物は十二単
華やかな色は褪せ肉体は腐る
sakura sara sara sakura saku
ここは水星
雨に流され川に流され
しかし、肉体は清められはしない
肉体は膨張し破裂する
sakura sara sara sakura saku
ここは土星
土から湧き出る蛆虫どもよ
屍を食いつくせ
男は所詮蛆虫だった
sakura sara sara sakura saku
ここは金星
閻魔大王の前に差し出す
お札と歌の数々
滅びはしない名声と歌は
sakura sara sara sakura saku
ここは火星
火炎地獄の業火には
青く燃える罪の色
燃えきらない欲望さ
sakura sara sara sakura saku
ここは木星
卒塔婆で叩かれ
杭を打たれ
不死身の身体、意固地に咲く
sakura sara sara sakura saku
ここは天王星
天命に輝く小町の星は
織姫よりも輝いて
彦星を誘惑するさ
sakura sara sara sakura saku
ここは海王星
竜宮の姫となり
浦島太郎を招いて
陸上の噂に涙する
sakura sara sara sakura saku
ここは闇の星
血の沼ずぶずぶ沈みゆく
黒髪だけが浮かびゆく
泥沼に咲く闇の花
sakura sara sara sakura saku