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指導者人生に多大なる影響を与えた出来事

その時ガミさんは言った。

これは自分の指導に対して大きな影響を与えた、学生時代の出来事。
無性にこの話を書いてみたくなったので、書いてみる。

当時私は大学院生だった。
修士の2年間、私は大学サッカー部の学生フィジカルコーチ として活動していた。

タイミングを同じくしてGKコーチのガミさんも。
ガミさんがプロから引退してすぐだったと思う。

学生よりかなり年上のガミさんは、アニキ気質でGK陣からすぐに慕われた。
つい最近までプロだったわけだから、GK陣からしたら最高のお手本だった。

陽気なムードメーカーで、いつも歌を歌ってるような人だった。
当時はケツメイシの「さくら」をひたすら熱唱していた。

ガミさんはGKグループのマネジメントが秀逸だった。
GK軍団の練習はいつでも明るく活気に溢れていた。

もちろん試合に出れるのは1人なわけで、メンバーに入れるのも2人なわけで。
そんな中でも、出る選手を他の選手が後押ししている印象だった。

ガミさんの練習は外から見ても面白そうなものが多かった。
当時自分はわかっていなかったが、感覚へのアプローチも非常に多かった。

(感覚について気になる方は別のnoteをどうぞ)

当時GKは隔年で推薦枠のGKを獲得していた。
つまり、常に4学年に2人推薦枠のGKがいるということになる。

なので基本的に、その2人がメンバーに入る。

そんな中、事件は起こった。

推薦組のGKが2人とも負傷離脱という状況になってしまったのだ。

監督は、スタッフルームでガミさんに言った。

「キーパーどうすんだ、ガミ!!」

いやほんと、どうするんだろう。
私もハラハラしながらガミさんを注目していた。

そこでガミさんが発した言葉がこれだった。

「は?シモでいいじゃん。」

ガミさんは何の問題もないと言わんばかりの表情で言い放った。
「何言ってんの?」って感じで笑。

「は?シモ?」

監督は訝しげな表情で言った。

いや本当、全く同じことを思った。

「(嘘でしょ。。)」

その場にいる全員がそう思ったのでは笑。

なぜか。
シモは到底リーグに出れるレベルではないという認識だったから。

推薦組のGKは、プロになるか進学するかで選んで来ているレベル。
そんな中でシモは上背も低く技術的にも推薦組とのレベル差は明らか。

私の指導者人生の中でも、ゴールキックを味方の後頭部に直撃させたキーパーはシモくらい。

そんな感じです。いくら何でも無理だろうと。

そしてガミさんはいつものように口笛を吹きながら帰っていった。

その週末、本当にシモは試合に出た。

「大丈夫なのか、、。」

そして試合が始まる。

シュートが容赦なく飛んできた。

「パシーン!」

身軽な跳躍で、シュートを見事に防いで見せた。

「え?」

シモは活躍した。

そう、シモは上手くなっていたのだ。
周囲の想像を絶するほどに。

そしてガミさんはわかっていた。
ガミさんはベンチで涼しい顔で「ほらね。心配ないんだって。」

うわぁ、すげー!!めちゃかっこいい!!

この時のインパクトは今なお私の脳裏に鮮明に焼きついている。
そもそも人は練習でこんなに上手くなるんだ!って笑。

指導者って面白い!!

今の自分は当時のガミさんよりも上の年齢なわけだが、今もあの時のガミさんの影を追いかけているのである。

フィジカル界のガミさんを目指して。

さ、練習考えよ。

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