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2021年~30年の10年で、日本を活性化させる起死回生の秘策? ~経産省への大胆な期待~

こんにちは。
青山社中広報担当の佐藤です!

今回は毎月配信している朝比奈一郎(あさひな いちろう)のメルマガに
記載した論考を掲載します。

2021年~30年の10年で、日本を活性化させる起死回生の秘策?
~経産省への大胆な期待~

【1.経産省の人たちとの再交流】

「先輩、10周年おめでとうございます。コロナという想定外の事態もあり、一年、本当に激動でした。この一年を振り返って、是非飲みましょう。」

同じ課で机を並べたこともある経産省後輩のサービス政策課長(教育産業室長)から、秋頃に連絡をもらって密を避けて小人数で飲んだのが12月頭だが、この師走(12月)は、特に経産省時代の仲間とやり取りをすることが多かった。

そのほか、私が経産省を辞める際に、「朝比奈君の想いは分かるが、今じゃないだろう」と、林先生の「今でしょ」(今や、古いですね・・)の逆を行く感じで、3回くらい飲みに連れ出して頂き引き留めてくださった当時の人事企画官(現在は官房総務課長)からも「10周年おめでとう。久しぶりに意見交換しよう。」と、ご連絡頂いて、こちらも密を避けつつ、ご一緒させて頂いた。また、今月は、私が通産省(当時)の1年生だった際に、直上の係長としてご指導いただいた先輩(現在は博覧会推進室長)からも、「10周年おめでとう。万博についての相談もある。青山社中行くよ。」と有難くもご連絡頂いて、打合せをさせて頂いたりした。

その他、12月20日の日曜には、理事を務めている日本GR協会(官民連携を促進する会。理事長は元横須賀市長の吉田さん)が主宰するGRサミット(オンライン)で、「霞が関、官民連携、DX」のテーマの下、私がモデレーターを務めるセッションに、経産省同期で民間企業のDX促進策を担当する情報技術利用促進課長や、経産省後輩の内閣官房デジタル改革関連法案準備室企画官にご登壇頂いた。結果的に無報酬となり、デジタル改革の最前線で多忙な二人には負担でしかないものの、登壇を打診したらすぐに快諾して頂き、当日はもちろん、事前準備も含めて色々と意見交換させて頂いた。

経産省を「脱藩」した私ではあるが、お陰様で多くの元同僚にお声かけを頂き、ご厚意には感謝しかない。ここにはまだ明確には書けないが、日本を活性化させるためのプロジェクトも、様々な形でご一緒させて頂きはじめている。坂本龍馬は、最後は恩讐を超えて、一時は険悪な関係にあった彼の脱藩元の土佐藩や、特に藩の参政(藩の宰相的地位)の後藤象二郎らと協力しつつ、日本の活性化のために「大政奉還」を成し遂げるわけだが、龍馬になぞらえるのはやや乱暴・不謹慎であることを承知で書けば、気分だけは、経産省と共に、何か大胆なことを仕掛けたいという想いで満ちている。

【2.日本や霞が関を取り巻く現状】

各種の経産官僚との意見交換で感じることは、「やはり、個々の能力はとても高く、退潮にある日本ではあるが、何とかしようと、時にデジタル化の局面で、時に教育の局面で、時に万博の推進で、時に環境対策で(菅さんの実質CO2ゼロ発言に関して、経産省もかなり尽力したことが分かった)、それぞれに物凄く頑張られている」ということだ。改めて敬意を表したい。

ただ、デジタル化、教育、環境対策など、いずれも、一般論としてマクロに見れば、「諸外国に比べて遅れ(はじめ)てしまっているところを追いつこうとしている」という感じがぬぐえない。必死に世界最先端へのキャッチ・アップを図ろうとはしているが、大きくゲームを塗り替える、ところまで進めるのは容易ではないという感じも同時に強く持った。

マクロな政策が重要であることは論を待たないが、政策を繰り出すというのは、スポーツなどに例えれば、あくまで、監督として指揮をとったり、フロントで報酬などを工夫したり、或いは、応援席から栄養ドリンクやタオルを渡したり、吹奏楽団や応援団的に檄を飛ばしたり、という行為であり、肝心な選手、即ち、デジタル関連企業や環境エネルギー関連企業、教育関係者・企業などが、強くないと、これはもうどうしようもない。

特に環境エネルギー分野などは、分散型の自然エネルギーの普及が進めば進むほど、太陽光パネルも、風力発電の風車も、もはや日本企業に競争力がない。三菱重工や日立がタービンなどで存在感を持っている石炭や石油の発電所の世界とは違う。オペレーションの方も、新エネの世界で存在感を持てるオペレーターは日本には見当たらない。アーステッド(旧ドン・エナジー)など、欧州勢等の独壇場だ。いい選手をスカウトして育成しなければ、戦略を工夫したり栄養ドリンクを用意したりしたところで、国内外で全く勝負にならず、再生可能エネルギーが普及して、日本のエネルギー関連産業は滅びました、となりかねない。

そして、更に悪いことには、こうした危機的事態に早めに対応するべく、これ以上政策面で頑張ろうにも、霞が関官僚は、国会対応など、既にやることが多い中で、人数は増えず、仕事もロジスティクス中心で専門性も高まらず、厳しい状況で奮闘しているのが現状だ。新事態に取り組むどころではない。実は、今月は、別の経産省同期から、「特にCO2削減に際して、新エネルギー関係でどうにも人が足りないので、自治体との将来連携も見据えて、新年度から、朝比奈が知っている自治体から人を送ってはもらえないか」という相談も受けている(一人は、私のあっせんで某自治体からの派遣に目途が立ちつつあるが、まだ足りない模様。もし、このメルマガをお読みの自治体の方で、資源エネルギー庁に人を出すことも検討は出来る、という奇特な向きがあれば是非ご連絡頂きたい。もちろん、選別・他候補者との比較もあるので、関心があれば即採用というわけではない旨、ご承知おき頂きたい)。

私も、ワークライフバランス社(WLB社)の小室さんの呼びかけによる霞が関の働き方改善の署名運動にも発起人として参加しており、12月頭の河野太郎行革担当大臣への署名提出・意見交換にも参加してきたところであるが、これ以上、官僚を長時間働かせるのはもう限界であろう。つまり、霞が関運営側の目線で言えば、「個々人の業務時間は減らさざるを得ない、しかし、行革の流れもあって、採用人数は増やせない、そういう中、個々人の優秀さは減りつつある(若い世代は、一般論として優秀層が、あまり官僚を選ばなくなっている)」、という三重苦にあるわけだ。


【3.経産省への期待/起死回生?の秘策】

では、一体どうすれば良いのだろうか?
退潮にある日本を立て直すため、わが国を活性化させていくため、霞が関は、特に成長戦略の実質的司令塔である経済産業省は、どんな手を打つべきであろうか。

これはもう、一言で言えば、「肉を切らせて骨を断つ」みたいな覚悟が必要であろう。つまり、多少、マクロな政策は犠牲にしても、世界を相手に、打って出て行くような「選手」を多数つくらないことには始まらないということだ。監督・コーチ・応援団を幾ら強化しても、仕方がない。そこは犠牲にして、選手を育成しなければならない。

こう書くと「そんなこと言ったって、今回の大学研究支援の10兆円ファンドもそうだが、ベンチャー育成策その他、プレイヤーを強化する政策だってこれまで、散々やってきているだろう。一体どうやって、世界に羽ばたく「プレイヤー」を作れるというのか」という反論が飛んできそうだ。全くその通りだと思う。

ただ、まだ経産省がやっていない策がある。それは、自らの職員を信じて、手挙げ方式で、世界に伍すことのできる企業となることを目指して、デジタル、環境エネルギー、教育その他、好きな分野での起業を促させることだ。マクロな政策づくりより、ミクロな起業。つまり、優秀とされる経産省の職員が、「安全地帯」で政策を作るのではなく、自らリスクをとって起業することを慫慂するわけである。

こう書くと、敗戦直前の「特攻隊」を想起する方もいるかもしれない。やれ米国のGAFAMだ、中国のBATHだと、世界の巨大情報企業を前に、一人一人を起業に送り出すのは、あたかも巨艦に特攻させるような絶望的作戦に聞こえるかもしれない。しかし、もちろん、強制的に役所を辞めさせるわけではなく(そもそも法的に無理)、あくまでメンバーを選びつつ起業を「勧めて」みるだけに過ぎず、断る権利もある。しかも、起業して失敗しても、本当に死ぬわけではない。まだ「巨艦」がいない分野で戦うのも一手だ。最近は、一度役所を辞めた者が戻るケースも散見でき、仮に起業を途中で断念して戻る場合には、むしろ、ずっと役所にい続けるよりいい勉強になって更に役所で活躍できるかもしれない。

役所全体としての政策ではなく、例えば、〇〇年入省者などが、同期同士の語らいの中で、「俺たちは(私の入省時と異なり、最近は女性も多いので「私たちは」の方が正確だが)、日本を活性化させるため、例えば同期50名中(私の同期は37名だが、今は少し増えている)、半分の25人が一挙に別々に起業しよう。一部は、「一緒に」ということでも良い。安全なところから、「もっとチャレンジしましょう」と指導したり、補助制度を作ったりするだけではもう、日本の反転攻勢は難しい。自分たちでリスクを取りに行こう。10年経ったら、半分くらいはつぶれているかもしれないが、その場合は、起業に成功して伸びている仲間が、必要に応じて、雇用などで救いの手を差し出そう。あくまで、世界に伍せることが目的で、小さく成功することにとどまらず、外貨を稼いで日本を食わせるつもりで頑張ろう!」などと、仲間内で語らって決断しても良いかもしれない。

こうした思い切った策(経産官僚の集団起業策)は、日本社会に多大なるインパクトをもたらすと思うが、どうだろうか。私は衒いではなく、率直に、自分などは、多くの優秀な経産官僚の中では、よくいる一人に過ぎないと感じている。特に、ビジネス・稼ぐというゲームの中では、さほど優秀なプレイヤーだとは思わない。そんな私でも、何とか起業して10年やってきているが、経産省には、ビジネスで勝つという意味では、もっと優秀な人たちが数多いる。皆、勇気もバイタリティもある。何十人という単位で起業したら、それなりに成功する者も出てくる直観がある。省の施策として、或いは同期の決意・総意として、こうした方針を打ち出したら、意外に多くの優秀な若手経産官僚が日本を立て直すための起死回生の勝負に出るような気がする。

経産省を飛び出した起業家には、東大エッジキャピタルの事実上の創設者であり、現在トップを務める郷治友孝氏もいる。私も一つ上の先輩である郷治氏を良く存じ上げているが、きっと各起業に関して、こうした大義があれば、ボランタリーに親身に相談に乗ってくれることであろう。私も霞が関を飛び出して10年が経ち、多くのVCなどとの交流もある。紹介・お繋ぎは容易だ。青山社中としても、自らが色々な形で関与する案件について資金を集めるクラウドファンドの会社を2021年に起業するという案も検討しているところだ(地域活性・街づくりなどに関心の強い元役人の方などに社長になってもらえないかと模索している。関心のある方は是非ご連絡頂ければ幸いです)。この仕組みも活用できそうな気がする。

これまで霞が関最強と言われてきた財務省からは、私の良く知る知人だけでも3名がいずれもマッキンゼー経由で起業し、現在、大成功を収めている。先月、別件で2度ほど会い、今月は一緒に飲もうとしてお誘いした(残念ながら先約があって振られてしまったが)同期の岡田君は、アストロスケールという宇宙ゴミを除去することをミッションとする会社を立ち上げ、日本のみならず世界でも高い評価を受けている。ビジネス的にも社会的意義的にも、各賞を、それこそ「受賞しまくって」いる。

22日に一緒に飲もうとしたら、何と「その日が上場日」ということで、これまた断られてしまった柴山さんは、少し後輩の財務省出身者であるが、ウェルスナビというAIを活用した資産運用会社を立ち上げて、預かり資産が既に3000億円に達するなど大成功をおさめている。二人の会社は、以下の9月時点のベンチャーの時価総額ランキングで、それぞれ、10位と20位につけているが、社会的意義や、グローバル性などを加えると更に評価が高いであろう。

やはり同期の金田君は、財務省勤務の後、当時としては最年少でマッキンゼーのパートナーまで上り詰めたが、約10年前に、「中国で日本を展開する」とばかりに単身、中国に渡り、ローソンやベネッセ、無印良品の中国展開をサポートし、ビッグデータ分析などで小売を支援する優良企業となっている。日本人数名(一人は青山社中リーダー塾出身者)で、中国人約150名と共に歩み、日本の優れた商品・サービスの普及に努め、現地で大活躍している。

財務省と経産省は、霞が関では、特に時の政権のコントロールタワーとしての主導権争いなどでよく、切磋琢磨していると言われる。そうした政策面での「内輪」な争いではなく、どちらの省の出身者から、世界に羽ばたく、社会的意義も高い企業を数多く生み出したか、みたいな争いが起これば、それはとても面白いことになると感じている。

この私の「秘策」は、ややぶっ飛び過ぎていることを認めるに吝かではないが、2021年、面白いドラマが生まれるようなアッと驚く秘策を、経産省には期待したい。

筆頭代表・CEO
朝比奈一郎

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2019年5月末から青山社中で働く広報担当のnote。青山社中は「世界に誇れ、世界で戦える日本(日本活性化)」を目指す会社として、リーダー育成、政策支援、地域活性化、グローバル展開など様々な活動を行っています。このnoteでは新人の広報担当者目線で様々な発信をしていきます。