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習作、1段落で完結する物語、性描写等が苦手な方は #エロくない  やつをどうぞ。Follow me, please! フィクションです。実在の人物や団体、出来事などとは一切無関係で… もっと読む
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#蕎麦屋

バランタイン

 特別ではないことが特別、オレにとってはそんな蕎麦屋だった。飲食店というのはつくづく難しいもので、食べ物だけではなく、空間とか接遇とか、そういうものもお店の評価に大きく影響してくる。その店も、始めの頃は禁煙と公式ページにも書いてあったのがなんだかいつの間にかなし崩し的に喫煙可になっていたり、狭い店なので混んでいると入れなかったり、花番さんが機嫌が悪いのかちょっと怖かったり、客がいないと蕎麦職人がどっかに言ってしまってたりとか、とにかくいろいろとあったが、それでも、後になってみ

昼下がりの蕎麦屋

 女々しいのはいつだって男だ。男の恋愛は名前をつけて保存、女の恋愛は上書き保存。よくそんなことを言ったりもする。とにかく、過去の恋人のことをウジウジといつまでも思い出したりしているのは、いつだって男の側だ。いつまでも別れた恋人のことを考えていたって仕方がないし、もう駄目だと思って別れを決意したのは他ならぬ自分自身なんだから、どんなにそう自分に言い聞かせていても、ちょっとでも精神が弱っていたりすると、別れてもう半年以上が経つというのにも関わらず、オレはいまだにさゆりのことを思い