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#ネタバレ 映画 「ザ・ロード」

「ザ・ロード」
運命のドアは後ろで開く
2010-08-05 10:00さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

冒頭、子供が産まれることを楽しみにしていた両親は、ある夜、突然の世界異変に気づきました。現実は夢見ていた未来ではなく、後ろから、ひそかに忍び寄って来たのです。

中盤、敵に襲われた父と子。拳銃で狙いをつけた敵の1人に「後ろを向くな」と言いました。後ろを振り返れば、表情からでも異常が仲間に伝わってしまい、すぐに逆襲されてしまいます。怖い、怖い。

最後、行き止まりの浜辺で独りになってしまった子供。そこへ近づく武装した男一人。絶体絶命か…。いや、味方でした。男は父子を後ろから、つけてきたのです。仲間にするために。

男には優しそうな妻らしき女性と、子供、それに犬もいました。男は言いました。「君には二つの道がある。ここに残るか、俺たちと一緒に来るか」。

主人公の父と子は絶望の世界で、一生懸命に前だけを見て、他人に心を閉ざし、ひたすら暖かい南を目指して歩いてきました。そこに有るかもしれないユートピアを探して。

この「前進あるのみ」はアメリカ人のメンタリティーなのでしょう。しかし、そこに居たのは、追いはぎ、だけで、ほかには何も無く、探していた本当の暖かい世界は、すぐ後ろに在ったのでした。

ベートーベンの「運命」を持ち出すまでも無く、人生において運命の扉は、突然、予期せぬ時に、後ろ側で開くのです。人はそれに驚愕しながらも、扉に吸い込まれて行くしかありません。

話は違いますが、かつて「ずっと貴方が好きでした」というTVドラマがありました。私もそんな人を振り返って探したくなりました。いないでしょうけど。

★★★★


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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