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【小説】『この世界で、「特別」な僕らは生きていく。』ープロローグ1ー⌇あおの展覧会#2

ご覧いただきありがとうございます!!

企画「あおの展覧会」のなかで、小説を書いてみることにしましたっ📖ᝰ✍🏻 ́-
小説は過去に何度か書いたことがあるんですけど……
長編を書きたくなってプロットを作ると、起承転結の起承をすっ飛ばして転結を早く書きたくなり、途中で起承を書くのに飽きてやめる、ということを何度繰り返したことか笑
何度か短編も書いたことがあり、それもなんとか完成させてました(  *¯꒳¯*)てへ

そんな飽き性の私ですが、頑張って長めの小説を書いていきます…!
テーマは「普通とは何か」と「セクシュアル」についてです。
少しデリケートな話題かもしれませんが、私なりの意見・伝えたいことを込めて丁寧に描いていければなと思います。
もともと作文として書きたいと思っていた内容なのですが、同時に小説も書きたいと思っていたので、それなら小説で伝えることに挑戦してみようと一念発起しました笑
見出しの画像は、内容を想像しながら自分で描きました!(。-𖥦-。)ドヤ

超初心者&気持ちが早まって途中で内容すっ飛ばすかもしれない(絶対あかんやつw)&新しい話を更新する頻度は不定期かつ低めだと思いますが、ぜひ広い心でご覧いただけると嬉しいです( ..›ᴗ‹..)





私の先の見えない真っ暗な世界に現れたのは、君だった。
優しい瞳と柔らかい黒髪、いつも私を守ってくれる強い心を持っていた。朗らかなのに決してぶれない芯があり、みんなの星のような人。
いつしか君は、かけがえのない存在になった。他の誰でもない君という存在が、私に生きる力をくれた。
そんな君に私は恋を──しなかった。
ごめんね。

𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄

ひらひらと桜が舞い落ちる。
その美しい光景に、私は思わず目を細めた。
「あれからもう二年になるんだよね……」
私の言葉に返事をするかのように優しく風が吹いて、桜の花びらが弧を描く。色とりどりの花もかわいらしく揺れる。私がずっと見たかった、“普通”の春の景色だ。
「あっ、さゆいたーー!!」
完全に一人の世界に入っていた私は、聞きなれた明るい声にはっと現実に引き戻された。同時に軽やかに駆ける音が近づいてくる。
「もうっ紗由!15時に紗由の家で勉強会するって約束したじゃん!なのにさぁ、家行っても紗由いないんだもん。おばさんに聞いたら裏の公園にいるんじゃないって教えてくれたから良かったけどさぁ、おばさんの当てが外れてたら探し回らなくちゃならないとこだったよ!」
そう一息で言って、肩で息をする彼女の名前は真耶。ちょっぴりむず痒いけど、私の親友だ。私にはもったいないくらいの、最高の友達だ。
「ごめん!桜の木を見てたら時間忘れてたみたい」
「いいよ〜けどほんと、紗由は桜が好きだね。まぁ、ちゃんと紗由が公園にいて会えたから良かったけどさ!」
「桜は真耶との思い出だからね。ていうか、私が家にいなかったらわざわざ探さなくても家で待っててくれたらいいんだよ?」
「んぐ……!で、でも紗由と一秒でも早く会いたいし!」
「ふふっ、ありがとね」
真耶は素直で、友達思いで、天真爛漫な女の子。その明るさから周りの人たちを思わず笑顔にしてしまう、誰からも好かれるみんなの憧れ。正真正銘、私のヒーローだった。そんな彼女が私の親友でいてくれるなんて、奇跡のようなことだと日々常に感じている。
そして、今こんな穏やかな日々を過ごせていることを、私は真耶に本当に感謝している。
二年前、真耶に出会う前までは考えられなかった。こんな明るい未来がもう一度来ることを。暗い暗闇で彷徨いながら、一生私は生きていくのだと思っていた。
あの日のことを今でも昨日のことのように覚えている。あの日、ああやって声をかけてくれなければ私は……。
「さゆ?……さゆ!紗由ってば!」
肩を軽くゆすられて、真耶に呼びかけられていたことに気づく。いけない、こうやっていつの間にか一人の世界に入ってしまうことは私の悪い癖だ。この癖は2年前からずっと変わっていない。
「……あ、ごめん!どした?」
「あはは、またぼーっとしてたよ。紗由の家戻ろ?私春休み明けの実力テストまでにワーク終わらなそうでやばいんだから!」
「ふふ、おっけー戻ろっか」
「紗由も手伝ってね!」
「自分でやらないと力つかないよ〜?」
私は座っていたベンチから笑いながら立ち上がって、真耶に一歩遅れて歩き出した。
数歩進んでからそっと、大きく包み込むような柔らかいピンクで染まる木を振り返る。
ふたたび春の風が、私と真耶の間を吹き抜けた。相変わらず春の風は優しくて、暖かくて気持ちがいい。
「紗由ーどうしたの早く行こー?」
その風はほんの少し、私・村神紗由と親友の山中真耶との間に壁を作り出したように見えた。

私と真耶の関係性は紛れもなく、「親友」だ。

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