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【遊戯王マスターデュエル】環境デッキの簡単な紹介

はじめに

 友人へのデッキ紹介と環境デッキ研究を兼ねたほぼ独り言の備忘録なので悪しからず。各デッキのTierに関しては複数のサイトのリストを参考にしつつ独断と偏見で決めている。個人的にTierの数字は重要でなく大体「環境トップか否か」くらいわかればいいと思っているため細かいTierに関しては許してほしく思う。
 各デッキに関してデッキタイプ、面白さ、強みと弱点、そして作る場合の必要UR等の情報を列挙していく。一つ注釈としてデッキタイプの個人的な定義を述べたい。遊戯王はマナがないため基本的に全てのデッキがアグロであり分類が難しく、複数のデッキタイプに分類できるデッキも存在する。あくまでこの記事での定義であることには留意してほしい。
 「展開デッキ」はモンスターの大量展開を主軸とするデッキである。基本的に横展開を得意とするデッキのうち、そのコンボで相手を殺せるデッキでかつ盤面を捲られた際に巻き返しの難しいデッキを指す。コンボの目的が単なるアドの獲得にとどまる場合はミッドレンジに分類されることが多い。
 「ミッドレンジデッキ」は早期決着を狙わずに徐々にアドバンテージを溜めていきじんわりと有利を付けていき勝つデッキである。除去や妨害を駆使し相手のコンボの成立を邪魔しつつやりたいことを通していくのが勝ち筋となる。
 「コントロールデッキ」またはメタビートデッキは相手の行動を制限することで常に自分に有利な状況を作り出し追い詰めていくデッキを指す。ミッドレンジとの違いは永続系の効果や1ターン相手の行動を縛るカードなどを主軸とし、相手の行動に反応した妨害ではなくそもそも相手に何もさせないことを目標としているところである。しかしコントロールとミッドレンジの違いは非常に曖昧なため意見に相違が出やすい。またコントロールのうち特に相手の行動の一切をさせないことに注力したデッキを気絶の状態異常になぞらえてスタンと呼ぶ。罠型デッキ(いわゆる罠ビート)は次元障壁やスキルドレインなどのカードが入りがちなためこの記事においてはすべてコントロールに分類する。これは人によって罠デッキがミッドレンジにとどまるかコントロールになるかが変わるため一括で同じグループに入れておいた方が楽だからだ。
 以上の定義づけをもって紹介に移らせていただく。

追記1:2023/9/16に新環境に合わせアップデートした
追記2:2023/10/12に新制限に合わせアップデート
追記3:2023/11/10に新制限に合わせアップデート
追記4:2023/12/17に新環境及びDCでの感触に合わせアップデート
追記5:2024/01/20に新制限に合わせアップデート
追記6:2024/02/29にアップデート
追記7:2024/04/16にアップデート


現状のTier 1及び近い将来Tier1になると思われるデッキ

スネークアイ

①の効果を二度見した。サーチ対象が50体近くいるらしい。ちなみに名前の由来は緑のソフトではなく「エクセルシオール」

 スネークアイはモンスターを永続魔法扱いとして場に出したり引っ込めたりするユニークなミッド寄りの展開デッキである。レベル1の炎族を基調としてワラワラと展開を行いながらも、手札や墓地にリソースをためることで中長期にわたって戦い続けることができるのが魅力だ。スネークアイ自体はEXデッキにテーマ内モンスターがいないが、基本的にはリンク召喚を主として戦いつつ、シンクロやエクシーズもできる柔軟性を持つ。このデッキの魅力は途切れないリソースで場が空にならないしぶとさと、様々な型を運用できる発展性の高さだろう。
 スネークアイの強みは初動の太さとできることの多さである。スネークアイ自体の初動はさることながら、ディアベルスターに密接に関わるテーマということもあってあちらの出張セットの恩恵を100%享受できるために非常に初動が厚い。妨害の質もかなり高く、単純な壁の多さもさることながら、アポロウーサによるモンスター効果無効や賜炎の咎姫の墓地からの妨害、ディアベルスター経由での万能無効など、妨害が散っているのが強力だ。妨害数自体はさほど多くないが、そのあまりにも太いリソースから1ターンキルされることは多くなく、毎ターン妨害を構えていれば大抵相手が先に疲弊して終わる。さらにドロール&ロックバードや原始生命態ニビルといった手札誘発にそれなりの耐性を持つのも初動の太さに拍車をかける。できることの多さはデッキの核たるスネークアイ・エクセルのサーチ範囲の広さに起因するところが大きい。炎属性・レベル1モンスターならなんでもサーチが可能なため、倶利伽羅天童やジェット・シンクロンなどのテーマとは関係のないカードを持って来れる。ジェット・シンクロンは原罪宝スネークアイからも持って来れるため、他の初動が通ったならばシンクロ展開が可能となる。相手ターンに展開ができることを活かし、I:Pマスカレーナやジェットシンクロンから出せるフォーミュラ・シンクロンなどを経由すれば展開が無限に伸びていく。レベル1であることを活かし、LL-アセンブリー・ナイチンゲールからダウナード・マジシャンを経由し、天霆號ーアーゼウスを出すことで後攻力を底上げすることも可能だ。他にもクシャトリラ・ユニコーンの出張やマジシャンズ・ソウルズを入れた型など、フレキシビリティの塊なのが本当に強力である。
 このデッキの弱点はスネークアイ・エクセルへの依存度の高さと墓地利用の阻害である。篝火がまだMDに実装されていない現在、スネークアイはその展開、妨害、そして上振れ展開をエクセルのサーチに非常に頼っており、そこを止められると結構キツイことが多々ある。無論蛇眼の炎鱗がいるためエクセル止めれば安心というわけではないが、それでもマストカウンターとしてそこそこ大きな弱点を晒していると言っていい。また、展開の方法が墓地に送ることをコストとしていたり墓地からの特殊召喚が多いため、ディメンション・アトラクターやマクロコスモスなどの墓地メタがかなり刺さってしまう。アトラクター1枚だけで即死することはないにせよ、形勢が大きく不利になってしまうのは否めない。採用する出張セットはこの2点をどう克服するかに重きをおくことになる。ちなみに前者の問題は篝火の実装で大きく改善されることとなる。
 このデッキは割と高価である。テーマ内URが蛇眼の炎龍2枚、蛇眼の炎鱗2〜3枚、黒魔女ディアベルスター3枚、“罪宝狩りの悪魔“3枚、原罪宝スネークアイ2〜3枚と多く、さらにEXデッキが汎用カードの塊であるため、さらにURが嵩む。篝火もURであり、非常に高価なデッキになってしまった。
 3月のDCでは上位10名のうち半数以上が使用していたほど活躍し、そのパワーを存分に見せつける結果となった。特にクシャトリラを出張させた構築が活躍し、ユニコーンが規制される原因になってしまった。とはいえ本体に何の規制も入らなかったどころか篝火の実装で強化されており、圧倒的tier1としてしばらくは活躍するだろうか。

RーACE

書いてあること3度見したカード

 RーACEは脅威の魔法罠4枚セット効果をもつRーACEタービュランスを筆頭に、ターンごとにアドを稼ぎ物量でゆっくり押しつぶしていく、汎用リンクを利用するミッドレンジである。特別救助隊をモチーフにした躍動感あふれるイラストと教科書通りの典型的なミッドレンジが好きな人はハマるだろう。
 このデッキの強みは妨害の択の広さとアドの取り方のえげつなさにある。タービュランスの効果は単純に+4アドであり、直接のセットなので灰流うららも効かない(そこまでの展開には効く)。4枚のセットカードで展開と妨害を行い、さらに手札の戦士族RーACEモンスターでさらなる展開をしていき、リソース差で圧倒していくことができる。また、後攻を取らされたとしてもインパルスによる効果封じや相手ターンでの展開などでかなり対応の幅が広い。単なる先攻番長にはない強みは大きな魅力だ。さらに炎属性と機械族という割と恵まれたステータスを活かし、賜炎の咎姫や幻獣機アウローラドンなどといった強力なリンクモンスターを利用できるのもえらい。タービュランスを出すだけなら特殊召喚をほとんど行わず、手札次第で増殖するGにチェーンして出せるため、かなり誘発受けがいいのも特徴だ。誘発を撃たれなかった際の上振れ展開としてアウローラドンからシンクロを行ったり、誘発をそこに吸わせることもできるため、選択肢の多いデッキと言える。EXは全て自由枠な関係上、超融合で後攻まくりの択を取れるのもおきい。
 弱点としてはマストカウンターのわかりやすさと事故率だろう。このデッキはハイドラントとタービュランスに頼り切っており、ハイドラントをあの手この手で守らねばならない上、タービュランスを無効化されてしまうとリソースを得る手段が一気に減ってしまう。タービュランスを守る手段として、デコードトーカーやスプライトエルフのリンク先に置く、などがあるが、これらの展開は特殊召喚を重ねなければならず、せっかくの増殖するGとニビル受けをドブに捨てることとなる。また、妨害を魔法罠にかなり頼っているため、ハーピィの羽根箒や拮抗勝負などの雑な全体除去に黙らされてしまうことも多い。さらにこのデッキはEXデッキに頼らない代わりに、メインデッキに上級モンスターやハイドラントがいないとどうしようもないカードを多く採用しなければならず、たまにどうしようもない手札を引いてしまうことがある。罪宝ギミックで事故率を大幅に軽減できるが、ディアベルスターもポプルスも篝火も結局原罪宝を経由するため、ここに誘発を受けると止まってしまうことが多い。初動の数は多いが種類は多くない、という言い方ができるだろう。また、タービュランスの打点3000で処理できない大型モンスターの除去に手間取ることがある。後手プランはしっかり整えないといけないだろう。
 テーマ内URはハイドラント、タービュランス、EMERGENCY!、プルベンターの4種9枚である。さらにEXデッキが汎用の塊みたいな構築になるためそこそこ高いデッキになる。罪宝ギミックも相当にURが多いので、完成系を目指すならかなり重いデッキと言える。
 2月にはなんとEMERGENCY!とプリべンターよりも先にディアベルスター出張セットが来てしまったため、そこそこの強化を受けることとなった。EMERGENCY!ほどの初動ではないとはいえハイドラントへのアクセス手段が増えたのはこのデッキにとってかなり大きく、環境でそこそこ戦えるパワーを手に入れた。完全体になった暁には他の強豪を押しのけてトップに躍り出ることが予想される。
 4月にようやく残っていたカードが揃い、完全体になった。ランクマでも見かける機会は多く、対策が必要になってくる。予想通りしっかりと環境トップとしての立ち位置を確保しており、アウローラドン採用型や超融合搭載型などさまざまな研究がされている。ここからさらに構築が洗練されていくだろう。

Tier 2

超重武者

「令和のサーキュラー」っていう評価を見たがサーキュラーも令和である。本質的には「令和のモンキーボード」が一番しっくりくる

 超重武者はシンクロ召喚をメインとしたゴリッゴリの展開デッキである。墓地に魔法・罠が無いことを条件に強力な効果を連打し、手札の減らない超展開で相手を圧倒していく「不動のデュエル」がうりだ。もともとアニメARC-Vで登場していた超重武者だったが、インドミナブルプライドにて最強の新規をもらったことにより権現坂もビックリなデッキに仕上がった。難易度としては展開がそこそこ複雑なのと、妨害を受けた際に即死しないようしするためにそこそこ頭を使うことを要求される。展開を通せば勝ちといえるほどの制圧力が魅力だ。
 このデッキの強みは何といっても1枚初動の強さである。超重武者はワカU‐4、イワトオシ、バイ‐Q 、ダイ‐8など様々な初動を持ち、どこから入っても相手が死ぬような盤面を築ける、在りし日のアダマシアを思わせる制圧力がある。展開できすぎて複数の先攻ワンキルルートまで存在し、特に重爆撃禽ボム・フェネクスを使用する型はメインデッキにほとんど余計なカードが入らず、「展開が通れば勝ち(物理)」という比喩を超えた強さを見せつける。また、先攻ワンキルせずともバロネスやレギュラス、サベージといった無効札からナチュビ、超雷龍などの封殺札まで出てくる状態で、なぜかまだ生きているスプライト・エルフで対象耐性まで与えられるという盤面はそう簡単に突破できるものではなく、よっぽどの後攻特化デッキでもなければまず捲れはしない。さらにサルト‐Bが相手ターンに魔法・罠を割れることを活かして相手ターンにアーティファクト‐デスサイズを出すというコンボも可能であり、ラビュリンスでもない限りはかなりの影響を受ける封殺コンボも可能である。これはイワトオシに名称ターン1がないのがすべての元凶であり、これをフィールドに出しては墓地に叩き落すことで何度もサーチすることができる。フィールドから墓地に送られればいいので魔法・罠ゾーンからでもよく、セリオンズ”キング”レギュラスで釣り上げることでも場に出すことができる。手札に来れば来るほどサーチできるので、被っても痛くないどころか積極的にかぶってほしいまであるのが強力だ。筆者はこないだランクマでイワトオシにイワトオシ2体装備されて腰を抜かした
 このデッキの弱点は致命的なまでのドロール&ロックバード受けの悪さである。サーチの連打がデッキの肝であるからしてドロバは非常に痛く、墓地に魔法罠があるとデッキが機能停止する影響で指名者カードを採用できないため、対策カードを積みづらいのが痛い。一応ガンマや禁止令などで対策できなくはないが、ガンマは場にモンスターが出るまで待つことでケアでき、禁止令は後攻でかなり弱いのが痛い。特に禁止令は破壊され墓地に送られてしまえばデッキが機能不全を起こしかねず、非常に危険である。また、一枚初動は強力だが、二枚初動で目を見張るものがないため、展開が一本道になりやすく、後攻で妨害を超えられない場合が割と多々ある。さらにフルモン(デッキのすべてがモンスターのデッキ)特有の課題としてEM五虹の魔術師が死ぬほど苦手というものがある。これに関しては先攻ワンキルパーツや禁止令、デスサイズのセットで乗り越えることが可能だが、そう都合よく手札に来るものでもない。あとPデッキの課題としてフィールド封鎖や魔封じの芳香、ナチュルビーストのようなカードに弱いという欠点もある。フルモンなのに魔法対策がモロに刺さるのにはどこかしら哀愁を感じる
 超重武者は構築によりけりだが全体的にUR多めだ。新規組のワカU‐4(3枚)、僧兵ビッグベン‐K(2枚)、バイ‐Q(3枚)、マスラ‐O(0~1枚)がURであり、あまり使われないがテツドウ‐Oをはじめとしたシンクロ体複数もURである。そのほか汎用として大量の手札誘発、3枚投入も検討される”キング”レギュラス、バロネス、先攻ワンキル軸なら(レガシーパックから出るとはいえ)ボムフェネクスなど、それなりの数のURを求められる。
 2月に追加された赤き竜により、相手ターンにえん魔竜レッド・デーモン・カラミティをS召喚する型が登場し、ドロール&ロックバードへの耐性がすこぶる上がった。カラミティはそれ1枚でデュエルを実質終わらせることができるくらい強力であり、超重武者にとっては大きな強化であったと言える。ドロールへの耐性が上がったことにより採用率が下がり、結果的に超重武者本来の展開が通りやすくなったのも大きい。
 3月新制限ではイワトオシを準制限カードにされてしまったため、1枚初動と上振れの強さに影響が出ることとなった。とはいえ1枚減少程度で止まるようなデッキではないため、ランクマで見かけることはまだまだ多いだろう。
 4月新制限で初動をもう1枚削られたが、肝心のカラミティが生き残っている関係上まだまだその強さは健在であり、KGカップでもずっと活躍している。とはいえランクマでそこまで見かけることはない。

烙印

最終的にこれが一番強い

 烙印はデスピアやビーステッドを内包した、烙印融合を主軸においた融合展開デッキである。難易度は高く、ちゃんと魔法の効果で融合するデッキとしては頂点に座す優秀なデッキである。融合の手段が豊富でモンスター効果、魔法、罠で融合でき、さらに墓地から素材をもってくるカードもあるなど無駄がない。ここ近年でも特に完成度の高い融合デッキであると思う。このデッキの魅力は大型モンスターを自分・相手ターンに並べていくビートダウンする爽快感と様々な効果の融合体を使いこなし相手を妨害していく楽しさである。
 烙印デッキの強さは烙印融合のパワカっぷりに詰まっていたが、たび重なる強化により烙印融合のみが強みとは言えない強力なデッキとなった。烙印融合はそのターン融合しかできなくなるという軽い制約でデッキ融合ができるおそろしいカードである。そこから出てくるのはフリーチェーンの対象を取らない除外奴もしくはEXモンスターの効果を無効にしモンスターバウンスができるやつであり妨害として優秀だ。烙印融合でアルバスとともに落とすカードにはサーチが可能な悲劇のデスピアンや、あとから除外することでこれまたサーチができる鉄獣鳥メルクーリエなど、融合体が出た後にさらにアドを取れるものがいるため本当に無駄がない。また、ほかにも融合効果を多数持っており自分・相手メインフェイズに融合のできるカルテシアや速攻魔法で墓地の素材を拾い上げながら融合できる赫の烙印、超融合のようなことのできる烙印追放などがある。フリーチェーン破壊ができるヴァレルロードFドラゴンや税金徴収ドラゴン(悪魔族)こと効果を使うたびに800ライフを払わせる赫灼竜マスカレイドなど優秀な融合体を出せるため隙が無い。直近のパックで追加された導きの聖女クエムが特に強力で、烙印の相手ターン展開を大きくサポートし、場合によってはミラジェイドを相手ターンに2度使う無法なことすら可能だ。さらに真炎竜アルビオンの追加により、拮抗勝負が効かなくなった点もうれしい。
 このデッキの弱さは無効効果の少なさと融合への完全なる依存、さらに全体的な灰流うららへの弱さである。このデッキは撃鉄竜リンドヴルムしか融合体の無効持ちがおらず、しかも融合、シンクロ、エクシーズ、リンクモンスターの効果にしか対応していない。故に出てきたモンスターをどっかに飛ばすという対症療法しかできない故の弱みがある。一応メルクーリエとルルワリリスもいるがメルクーリエは確実にサーチできるわけではなく、またルルワリリスは大抵グランギニョルから出てくるため相手依存になってしまうという弱点がある。また烙印融合など様々なキーカードがEXからの特殊召喚を融合に限定してくるため、基本的にEXデッキに融合モンスターしか入れないことが多い。結果として次元障壁が鬼のように刺さるため、該当カードを入れやすい罠ビートに後れを取ることがある。さらに烙印融合のパワーに非常に頼ったデッキであるためこれを無効にされると結構マズイ。失烙印で発動を無効にされはしないようにできるが、灰流うららで簡単に止まってしまうため注意が必要である。またこのことは大抵のプレイヤーにバレているため烙印と分かった状態で他のカードに当てさせるように誘導するのは難しい。烙印融合が無くても展開ができるようにはなったが依然として当該カードのパワーに頼っている部分があり、さらにアルベル、クエム、場合によっては芝刈りなど、うららの当てどころが数多く、手札次第ではそれだけで大ダメージを負うことがあるため注意したい。
 このデッキはぶっちゃけバカ高い。URのうち半分くらいはシークレットパックに入っておらず、また20~30枚のURを要求してくるため非常に組みづらい。一から組むのにはそこそこ覚悟が必要となる。
 1月の制限では全くのノータッチであり、他のデッキが軒並み被害を受ける中独り勝ちの形となった。完全なる一強になると思われたが、手札誘発の枠が少ない点が超重武者と相性が悪く、最悪の場合先攻ワンキルされて全く手も足もでないというシナリオが出てきた。依然として環境の王者ではあるが、このデッキさえ使えれば簡単に勝ち上がれる!というほどではなくなってしまった。
 2月制限ではサロニールを制限にされ、デッキの安定性と烙印の気炎の強みを多少減らされた。なおほぼほぼ無傷なため、普通にまだ環境トップに居座ることが予想される。とはいえ紙の環境で炎王などの台頭で姿を消したことを考えればそんなに寿命は長くないのかもしれない。
 3月制限では烙印開幕を制限にされ、烙印融合へのアクセス手段がまた一つ減ったのと導きの聖女クエムのリクルート方法が減ってしまったことになる。ただ烙印全体のパワーからすれば微々たる弱体化であり、これを超えるパワーデッキが登場するまでもうしばらく活躍が見込める。
 4月新制限で天底の使徒を準制限にされたため、少しだけパワーが下がった。デッキとしてそこまで影響は強くないが、篝火を得たスネークアイやRーACEなどの台頭により環境での立ち位置は少し苦しいものとなってしまった。

斬機

ちょっと枠が青いだけで実質ファイナルシグマ

 斬機は本来はシンクロ・エクシーズメインだが、展開力が高すぎてリンクメインに魔改造されてしまった悲しきサイバース族展開デッキである。というかテーマ内にリンクモンスターが1枚もいないのにリンクデッキになってしまうあたりサイバース族のリンクの呪いは尋常じゃないようだ。このデッキの魅力は安定して展開を叩き出せる初動へのアクセスの良さと先攻後攻どちらをとっても戦える楽しさだろう。まあ後攻での強さは斬機の強さというよりはネオテンペストの強さな気がするがそこは気にしないことにしたい。ついでに言ってしまえば斬機の強さそのものの8割くらいがサーキュラーの単体性能な気もするが気にしない。また展開デッキとしてはかなり簡単なデッキである。
 このデッキの強みはサーキュラーの初動としての太さ、超階乗の妨害としての独特さ、そしてサイバース族の横のつながりの強さになる。サーキュラーはコストとして斬機モンスターをデッキから墓地に送ったうえで自身を特殊召喚できる。しかもそれだけにとどまらず、自身が場にいる状態で他の斬機が場に出た場合に斬機魔法・罠をサーチできる。だいたいサーチ先は超階乗となる。召喚権を使わない展開の起点としても、妨害の確保としても一級品のさすがパワカ・オブ・ジ・エレメンツ出身カードである。超階乗は相手ターンに墓地の斬機を蘇生してシンクロ又はエクシーズを行えるカードである。ここからでてくるのは大抵塊斬機ラプラシアンであり、その素材にはダイヤが入ることが大半である。ラプラシアンは場に出た時相手のモンスター、魔法罠、手札(ランダム)を1枚ずつ墓地に送る効果を持ちダイヤを素材にしていれば特殊召喚したターンに1度なんでも無効を持つ。超階乗1枚から最大4妨害のバケモノが出現するのだ。そしてサイバース族である以上サイバース族汎用リンクにアクセスできるためコード・トーカー系をはじめとした強力なモンスターで相手をぶん殴ることができ楽しい。逆に言えば種族のせいでリンクにガッツリ縛られているような気がするが…前回ファイナルシグマをランクマで目撃してから1年以上経つ。最近では最終盤面がファイアウォール・ドラゴンカードだけになることが多く、何デッキかもはやわからない。
 このデッキの弱みは墓地メタへの圧倒的な弱さである。このデッキは墓地からの特殊召喚を多用するためそこを狙われると即死する。特に妨害の大半を担う超階乗に墓地メタを当てられると先攻を取った意味を失うことすらあり目も当てられない。肝心のダイヤ、サーキュラー、シグマが全員光属性であるがゆえにビーステッドに非常に弱く、ともすればそれだけで負ける可能性すら存在する。ビーステッドに殺されたデッキの代表格といえるだろう。あまりにも痛すぎるので屋敷わらしなどで対策しなければやっていけない。
 斬機はかなり安く組める。必須のテーマ内URがサーキュラー(3枚)と塊斬機ダランベルシアン(1~2枚)のみであり、相性のいいサイバネットマイニングやデコード・トーカー・ヒートソウルはストラクで手に入れることができるため割安である。あとはサイバース・ディセーブルムやリンク・デコーダーといったEXのURと手札誘発を入れれば完成である。ちなみに斬機のシークレットパックからは閃刀姫のパーツも出る。
 11月の新パックにてサイバース族関連が大幅に強化され、斬機も横のつながりのおかげで超強化されることとなった。ネオテンペストから落とせるサイバース・ディセーブルムにより墓穴の指名者に対する耐性が大幅に上がっただけでなく、リンク・デコーダーの追加によりリンク値を伸ばすことがかなり容易になった。更にその前のパックで追加された幸魂により増殖するGへの耐性も大幅に上がった。
 12月からの規制でサイバネット・マイニングが準制限カード、斬機ダイアが制限カードとなってしまった。もとよりマイニングにはそこまで依存していないデッキではあったが、ダイアの制限により先攻展開での誘発受けが大きく弱体化してしまった。また、烙印の大幅強化によりビーステッドが環境に流行ってしまった結果立場はかなり悪くなったと言える。しかしながら先攻展開が通った時のパワーと後攻からの手数はそのままであるため未だTier2にはいるだろうと判断している。
 1月からの新制限では特になにも規制されず、超重武者が登場した影響でビーステッドの数が減ったことと誘発の枠がかなり多く取れる点がかなり相性が良く、環境トップクラスまで這い上がってきた。ファイアウォールカードなどの太い初動のおかげでサーキュラーのみに頼ったデッキではなくなったため、ドロール&ロックバードにもそれなりに耐性がある点も素晴らしい。サーキュラーの寿命がどんどん縮まっている気がする。最近はプロテクトコード・トーカーやV・LANヒドラなどで展開力を上げ、ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティを筆頭に高リンクを並べる構築も注目を集めている。
 3月からの制限改訂でパラレル・エクシードの数を減らされてしまい、初動、上振れ展開、そして後攻捲り全てに影響が出ることとなった。先攻を取られた時に斬機にとってキツイ妨害を敷いてくるデッキが多いこともあり、かなり苦しくなってしまうだろう。

VS(ヴァンキッシュ・ソウル)

なんかVS使い必ずこいつ引いてる

 VSは手札を自慢しまくることで展開と妨害を行っていくミッドレンジデッキである。リンク1を擁するデッキではあるがそこから大量リンク召喚を行うデッキではなく、メインデッキモンスターの回転を支えるサポートとして使用するにとどまる。難易度としてはそこそこ高く、妨害の当て方や展開の仕方、そして手札リソースの管理に頭を使うデッキである。手札のモンスターの属性を参照する非常に珍しい効果と全体的にカラフルでかっこいいイラストが魅力のデッキだ。
 VSの強みは安定感と誘発受けの良さである。スモールワールドでデッキの大抵のモンスターに触れる上に、Stake Your Soul!で万能リクルートを行えるため、初動へのアクセスがしっかりしている。手札を減らしたくない場合は強欲で貪欲な壺を採用することによって手札を確保していくこととなる。VSラゼンでVSモンスターを、さらに(手札次第で)VS蛟龍でVSカードをサーチできるため、一度回り始めたらリソースが尽きないのが恐ろしい。横に何体も並ぶデッキではなく、さらに相手ターンにも展開を行えるため、増殖するGと原始生命態ニビルの双方に強いのもうれしい。また、VSヘヴィ・ボーガーとカイザー・ヴァリウスがフリーチェーンで自分フィールドのVSモンスターを手札に戻しつつ自身を特殊召喚できるため、対象のVSをエフェクトヴェーラーや無限泡影から逃がしてやれるのもうれしい。妨害を的確に躱しつつ順当にリソースを溜め、アド差でぶん殴る楽しいデッキである。ちなみに種族がキレイにばらけているため、センサー万別を採用できる強みもある。現状のトップのほとんどは種族統一デッキなため、引けたらイージーウィンレベルで有利を取れるだろう。
 このデッキの弱点はマストカウンターのわかりやすさと手札への依存度である。誘発受けが良くともVSラゼンにうららを当てられると痛いのは変わらず、後攻を取ってしまった場合VSラゼンに妨害を当てられることは必至なためシンプルに辛い。さらにVSは手札のモンスターの属性を参照しつつ戦うデッキなため、手札にモンスターが溜まっていなかったり誘発を使わされたりするとかなりキツイ。特に炎を参照するシナリオが多く、灰流うららはなるべく手札に残しておきたいため、先攻1ターン目や増殖するGで使わされてしまうと展開に一部支障をきたす場合がある。総じてミッドレンジ故の弱点とそれに上乗せで手札の質が他のデッキ以上にダイレクトにかかわってくるところが弱みといえる。
 このデッキのテーマ内URは龍帝ヴァリウス(2枚)、ラゼン(3枚)、Dr.マッドラヴ(3枚)、Stake Your Soul(3枚)の4種合計11枚となっておりそこそこ高価である。ここにセンサー万別(2枚)や汎用EXデッキモンスターを詰め込んでいくとかなりUR率の高いデッキとなってしまうだろう。ジェムの数と相談しつつ検討したい。
 12月制限で全く触れられることがなく、全体的に上の方のデッキがパワーダウンしたためDCでは非常に数の多いデッキとなった。ディメンション・アトラクターを採用できるくらい墓地に依存せず、ゆえにビーステッドもあまり怖くないこのデッキは環境にマッチしており、さらにクシャトリラの対象を取る妨害を躱すことができるため有利対面として幅を利かせることができた。しかしながら環境トップレベルの烙印が対象を取らない妨害を数多く打ってくるため不利対面となっており、そのせいでTier1とは言えない状態である。
 1月新制限では名称カードに規制は入らなかったが、壺系カードの規制とクシャトリラ・フェンリルの制限化により若干の弱体化を受けた。ラゼンへのアクセス手段がそこはかとなく削れてしまったことで安定性が落ちてしまったことは否めないだろう。VSを使う際はラゼンが常に手札に来るようトレーニングするのがいいかもしれない。遊戯王GXによればドローの特訓で初期手札をある程度操作できるようになるらしい。

ラビュリンス

腋にイラストレーターの性癖が込められている

 ラビュリンスは通常罠主体の罠ビートデッキである。罠ビといえば他に蟲惑魔やエルドリッチがいるが、ラビュリンスはホールなどの特定の罠に縛られておらず、また永続罠への依存度が低い。迷宮に住まうミノタウロスがモチーフのデッキであり、コンセプトとして使い捨ての罠で敵を翻弄していくのがメインとなる。罠ビ自体かなり簡単な部類のデッキではあるがラビュリンスは殊更シンプルなため初心者や復帰勢にオススメされやすい。このデッキの魅力は構築段階での自由度の高さとプレイ難度の低さ(=連戦していく場合の再現度の高さ)である。通常罠なら大概入るというのはラビュリンスの特権であり、迷宮城の白銀姫で好きなのを持ってこれるため安定して妨害を撃つことができる。
 ラビュリンスと一言で言ってもかなり種類があり大きく分けて罠型と家具型の二つが存在する。それぞれの強みと弱みを解説する。
 罠型は先攻特化構築と言って差し支えない。潤沢な罠を構え手数で相手を殴るという古き良き罠ビとなる。強みとしては単純な手数の多さによる先攻勝率だろう。下手すれば5枚伏せてターンを渡すことができかなりのプレッシャーを与えることができる。また迷宮城の白銀姫にそこまで比重を置かないため永続罠も採用可能であり群雄割拠やスキルドレイン、御前試合などの嫌われ系永続罠を積みやすく、不快感を底上げすることができる。弱点として他の型以上にバック除去に弱くWCSヨーロッパ予選で羽根箒を撃たれた瞬間サレンダーした試合もあったほどだ。羽根帚だけでなくレッド・リブートも天敵であり、リブートの採用率が上がれば上がるほどきつくなる。また先攻特化ゆえにコイントスに勝率が大きく左右されるのも痛い。しかしながら一発勝負のMDにおいては一番しっかり勝てる試合を勝つ型だろう。
 家具型は現在OCGで主流の下級ラビュリンスを大量に採用した、モンスターと罠の数が大体等しくなる構築となる。ラビュリンス魔法・罠をセットする効果と1ターンに1枚そのターンにセットした通常罠を使えるようにする効果を使いこなし、安定して上級ラビュリンスにつなげる動きが強力だ。下級ラビュリンスは誘発即時効果を持つため後攻を取ってもちゃんと動けるのが強みだ。白銀の城のラビュリンスを使えば先攻から1ハンデスできるため完全な後攻型というわけでもなくバランスがいい型といえる。弱点は絶望的なまでの灰流うらら耐性の低さである。家具で持ってくる通常罠はウェルカム・ラビュリンス及びビッグウェルカム・ラビュリンスだが両方ともうららで沈黙する。火吹炉または竜飾灯でラビュリンス魔法罠をセットする際には手札コストが必要であり狂時計でセットしたターンに発動する場合手札3枚消費となる。うらら1枚で止まるにしては消費が非常に大きく、一気に劣勢になってしまうだろう。この問題はOCGではトランザクション・ロールバックの登場である程度解決したが、MDでは未実装なためうらら耐性の低さはそのままである。
 このデッキはテーマ内URが5種あり合計8~13枚採用されることとなる。アリアスを除き、シークレットパックからすべて出るため割と作りやすいがドラグマ・パニッシュメントを使用する場合EXデッキに旧神ヌトスなどを採用する必要が出てきてしまいURの枚数が多くなる。またカオス・アンヘルも採用するとなるとさらに多くなるだろう。問題としてこのデッキは強欲で金満な壺をしようするため残ってほしいEXデッキのモンスターは3枚採用になりがちであり、割高になる。
 9月環境では天底の使徒を採用した型が流行していたが、このカードがクシャトリラ・アライズハートと致命的に相性が悪いため流行は終わりを迎えるだろう。魔砲戦機ダルマ・カルマが追加されたことにより、対モンスターの妨害の質が劇的に上がったためティアを一つ上げた。ダルマによりクシャトリラの初動をつぶしたり、ピュアリィープの対象をつぶしたりできるため、環境に非常にマッチしていると言える。
 11月制限では強欲で金満な壺を制限にされたためドローソースを1枚失うこととなった。ただし依然として強いことに変わりはない。
 2月制限でシャンドラを規制され、またしても家具を1枚失うこととなった。これにより後攻でできることを少し減らされたほか、誘発型の強みが少し減ってしまった。
 4月にアリアスが追加され、後攻0ターンにダルマカルマを撃つようなテロ行為が可能となった。アリアスの強みは墓地効果にあり、自己蘇生が可能なレベル6としてアリアーヌやアリアンナなどのレベル4とカオスアンヘルを立てることができるのが大きい。3月DCでも1位に輝いたデッキとしてこれからも活躍するだろう。

Tier 3

クシャトリラ

やっぱり許されないのかもしれない汎用札

 クシャトリラはデッキタイプとしてはコントロールデッキだが、エクシーズを絡めた展開ができるため、展開デッキともいえるだろう。ゾーン封鎖があるため、スタンの一種だとする意見もある。相手の選択肢を狭め苦戦している様を眺め愉悦に浸る邪悪な楽しみが醍醐味だ。ディアブロシスが禁止になってくれてよかった…がしかしOCGとTCGに比べれば緩い規制であり、それなりに強力なデッキだ。しかしながらディアブロシスの死は大きな影響があり、10月DCではトップ10に輝くことはなかった。
 このデッキの強みはなんといってもその理不尽な除去力だろう。裏側表示での除外はこのゲームにおいてほぼ再利用を許さない最上位の除去である。そんな裏側除外をかなり緩い条件で連発できるクシャトリラは2022年のパワーを存分に見せつけてくれるだろう。裏側除外だけで終わるかと思いきやゾーン封鎖と場合によってはフィールドのカード1枚破壊まで飛んでくるのだから手に負えない。またマクロコスモス効果を持つアライズハートを擁するため墓地利用デッキに非常に強い。クシャトリラ・ユニコーンのEXデッキ破壊が灰流うららで起動するのもいやらしい。1枚1枚のカードが非常に強力なためどこを切り取っても大体強いのが売りである。
 しかしながら明確な弱点も存在する。パワカは所詮パワカに殺される運命なのだ。無限泡影で初動を止められたり、三戦の才でアライズハートを奪われたりすると結構キツイ。特にアライズハートは強制効果をもつため三戦の号や才の発動条件を満たしてしまいやすく、またその強制効果がX素材かさまし効果であるために奪われてアーゼウスに無理やり乗せられてしまうと普通に6素材アーゼウスのようなバケモノが出現する可能性がある。モンスター効果に異様に強いぶん魔法罠に結構弱いのだ。倶利伽羅天童ががっつり刺さるのも痛い。また、無効系効果をあまり持たないため原始生命態ニビルが致命傷になることがある。上振れ展開ではあるが、バロネスを経由するなどして対策が可能なのでニビルだけで安心してはならない。また、妨害のすべてが対象を取るのも痛いだろう。対象耐性を付与できるデッキやサクリファイスエスケープの得意なデッキであれば容易に妨害を無にしてくるため注意が必要である。
 テーマ内URはフェンリル(制限)、ユニコーン(準制限)、ライズハート、六世壊パライゾス(制限)、六世壊他化自在天、そしてアライズハートの6種である。フル採用するなら15枚であり、幻獣機ドラゴサックや空牙団の懐剣ドナなどの相性のいいURも採用するならかなり高価なデッキとなるだろう。
 11月よりの制限で相性の良かった紅蓮の指名者を禁止にされ、強欲で金満な壺を制限にされたため少しばかりパワーを減らされることとなった。しかしこれで特にティアが下がるほどダメージは受けていないため、これからも環境で見かけ続けることとなるだろう。
 12月の制限ではノーヒットであり、烙印やドラゴンリンクなどの墓地を多用するデッキが大きく活躍しているため墓地メタの権化たるクシャトリラに注目が集まった。しかしながら壺系ドローソースが軒並み規制されたことによる高い事故率とVSという圧倒的な不利対面の存在からDC上位にそこまで分布はしないものと予想される。やっぱり分布しなかった。
 1月制限ではDCで特に活躍しなかったとは思えないほど重い規制がかけられてしまった。フェンリルとバースが制限となったことで先攻の誘発貫通力および後攻捲り能力を大きく削られてしまい、かなり環境での位置が危うくなった。壺系カードの規制にによる事故回避手段の喪失もまた大きく、かなり数を減らした。今後どうなるか見ものである。
 4月新制限では3月DCで活躍しなかったにも関わらず初動を奪われてしまった。ユニコーンは減ってしまったがバースは1枚帰ってきたので貫通力はまあまあ戻ってきた。今活躍しているデッキに対してアトラクターの刺さりがよく、ランクマで使う分にはそこそこ頑張ってくれるだろう。

エクソシスター

過労死枠

 エクソシスターはエクシーズを主体とした罠ビート要素も備えたミッドレンジである。エクソシズムを行うシスターという設定で墓地から蘇った悪魔を祓う、というコンセプトで墓地メタを行う。基本的に除外を主な除去とする。下級エクソシスターはそれぞれ「相手が墓地を触った場合エクシーズ体に進化する」という効果を持ち、変身しながら戦っていく様は少しプリキュアのようでもある。特にエクソシスター・マルファは1枚初動な上に他の下級エクソシスターと違い自分が墓地を触っても進化できる理不尽お姉さんであり、マルファ1枚でかなり強化されたデッキである。デッキとしてそこまで難しくはないが罠の貼り方や撃ち方はエクソシスターではなく相手デッキの知識を要求してくるので簡単というほどではない。面白さとしてはエクソシスターの可愛さに悶えながら相手を的確に妨害していき、ある種シスターたちを罠でサポートしていく感覚が楽しいのだろう。
 このデッキの強みはエクソシスター・マルファである。このカードの単体のパワーはデッキの他のカードをすべてあわせても超えられないほどであり、まさにデッキの核となるカードである。効果は召喚権を使わずに自身とデッキのエリスを特殊召喚するものと、フィールドにいるとき自分・相手が墓地からカードを離したときにエクシーズする効果の二つである。前半の効果はこのデッキ待望の1枚初動でありマストカウンターである。灰流うららを当てて止まる場合が多いがマルファに頼らずにエクシーズを出せる手札であった場合裏目となることがある。またマルファのサーチ手段がかなり豊富でありパークスなりカスピテルなりでアクセスできるため安定性がある。墓地を触らないデッキは今日びあまり存在しないためかなり強力なメタとなる。
 弱みとしてはマストカウンターがバレバレなところである。マルファを全力で妨害された場合かなりキツイ。また墓地を本当に利用しないデッキに対しては非常に弱いため汎用的に強いデッキではないことに留意したい。(カードが揃った状態の)クシャトリラは特に天敵でありエクソシスターの墓地メタが何一つ通用しない上に1枚1枚のカードパワーがダントツで違うため普通に殴られて撃沈する。マルファ以外のパワーが低いため地力勝負に持ち込まれた場合に負けてしまうのが一番の弱点であろう。またマルファや一部の罠が場にエクソシスターのみがいる場合という発動条件があるため出張を受け入れることができないということも痛い。汎用出張となっているクシャトリラ・フェンリルが入らないというだけでパワーは落ちるだろう。
 このデッキのテーマ内URはほぼフル採用前提のマルファ、パークス、ミカエリス、マニフィカの4枚である。現在シークレットパックが存在しないため結構高いデッキとなるが、新たにシークレットパックが追加されたため揃えやすいだろう。ちなみにこのシークレットパックはアーティファクトとシェアしており、デスサイズなどの強力なカードをついでに手に入れられる。

ティアラメンツ

全てを犠牲に禁止を免れたバケモノ

 少し前までの圧倒的トップデッキのティアラメンツは展開型融合デッキでありながらリソースが回復し続けることにより短期戦も長期戦もいけるオールラウンダーである。難易度としてはかなり高く、決まった展開ルート及び最終盤面が存在しないためそれなりの運とアドリブ力を求められる。ティアラメンツ一強環境だった4月~5月においてゴールド帯にすらティアラメンツが出没していたあたり握れば誰でも勝てるデッキでは断じてないことは明白だ。だがこのデッキの面白さは偏にその難易度にあると思う。二度は再現できない手札、妨害、デッキからの落ちから一期一会の盤面を形成していく悦びと難しいデッキをつかいこなしている達成感及び自己満足を面白いと感じるかどうかだろう。
 このデッキの強みは一言でいえば物量である。一つのアドがまた一つのアドを生み出し指数関数的に歯止めの利かなくなるまで暴走するサマは可憐なイラストとは真逆で暴力的ですらある。そんな物量デッキであるにもかかわらず増殖するG受けが非常にいいことも強みである。相手ターンにも展開ができる都合上Gを通したターンはキトカロスで止めておいて次ターンに備えることができるのは非常に強力だ。しかしながらたび重なる規制によりこの強みはだいぶ失われてしまったことには注意したい。
 弱点としては墓地メタが全体的に刺さってしまう点が挙げられる。マクロコスモスのような永続的なものだけでなくDDクロウやビーステッドなどによって融合効果を止められてしまうのは痛い。また良くも悪くもデッキからの落ちに完全に依存するため運にどうしても展開が左右されてしまう点も微妙だ。ただし運要素は構築段階でかなり対策可能である。
 このデッキはシークレットパックが存在しない上URが非常に多いため高価である。テーマ内URだけでもフル採用で11枚ありイシズパーツと合わせると3枚増える。また相性のいい深淵に潜む者、クロノダイバー・リダン、スプライト・エルフなどを加えるととんでもない量になる。よっぽどティアラメンツが組みたいというわけでなくば避けるべきであろう。
 9月からの制限改訂でメイルゥ、アギドが禁止カードに、ケルベクが制限カードに指定されてしまったのでトップデッキからは落ちてしまった。しかしキトカロスは生きたままでティアラメンツ・クシャトリラが実装されるためまだまだ上に返り咲く可能性を残している爆弾デッキである。
 10月制限でケルベクすらも禁止になってしまったためにイシズティアラメンツは事実上構築不可能となってしまった。さらに待望のティアラメンツ・クシャトリラが制限実装となったことで環境トップへの返り咲きの希望も絶たれてしまった。しかしながら新カードによりOCG時代のパワーとまではいかずともクシャトリラティアラメンツの構築が現実的となり、そこそこ戦えるデッキとなった。
 1月の新制限でカオスルーラーが禁止となったことでまたしても墓地肥やし手段を失うことなり、そこそこ打撃を受けた。しかしながらマナドゥム・トリロスークタとヴィサス・アムリターラが追加されたことでマナドゥムのティアラメンツ介護テーマとしてのポテンシャルが完全に開花し、マナドゥムティアラメンツを環境で見かける機会もそこそこ増えた。

御巫

この子の名前で検索すると「赤ちゃん作れそうな体だね」って画像がヒットするのやめてほしい

 御巫は装備魔法を駆使して戦っていく儀式中心のミッドレンジデッキだ。ミッドレンジとはいうが展開がメインでないというだけで普通にワンキルを狙える面白いデッキだ。御巫は装備魔法を装備しているとき戦闘破壊耐性とダメージ反射を得るため貧弱なステータスが逆にアドバンテージとなる。かなり面白い動きをするテーマである上に新規カードもまだ出そうなので将来性のあるテーマといえる。このデッキの魅力はかわいい女の子の活躍する楽しさと一風変わった戦法で相手を倒す独特さにあるだろう。 
 このデッキの強さは盤面の意外な硬さによる安定感である。フゥリと装備魔法が場にあれば御巫カードすべてが対象耐性を得るため対象を取るカードは基本的にこのデッキには無力であり、また共通効果で戦闘にも鬼のように強いため除去手段がかなり限られてくる。また御巫装備魔法もそれぞれバウンスやコントロール奪取などかなりミッドレンジとして優秀な効果を取り揃えておりただの自爆特効デッキにはならないのが上手い調整だ。バウンス効果がかなり多いことから壊獣やラヴァ・ゴーレムなどを使いまわすことができる点も素晴らしい。総じて相手盤面をひっくり返す能力に秀でていると言っていいだろう。
 このデッキの弱点は全体除去への弱さである。たとえ対象に取れなくとも全部ふっとばせば意味はなく、また装備魔法がフィールドに残らないと意味がないことから大打撃を与えることができる。特にブラックローズ・ドラゴンは天敵でありラビュリンスやRーACEなどの全体除去が苦手なデッキへの対策という意味も込めて紙環境での採用が増えたこともあり御巫としては苦しい場面もあった。裏を返せばそのくらい抜本的な除去でなければびくともしないのが強いと言えるだろう。
 テーマ内URはそれぞれ3枚採用のオオヒメの御巫と御巫の水舞踏、そして1枚の御巫の火叢舞のみであり、かなり作りやすい。相性のいい脆刃の剣や宣告者の神巫、パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴンなどを採用する場合まあまあURは多くなるが気にしない気にしない。

ピュアリィ

遊戯王界の600族

 ピュアリィはミッドレンジ型のエクシーズデッキであるが、通常のエクシーズデッキと違い1枚のモンスターに重ねてエクシーズしていき、速攻魔法カードをもガンガン素材に取り込んでいく一風変わったデッキである。「育成」をテーマにしたポケモンのようなデッキであり、与える経験によって効果が変わっていく面白さがある。小動物好きやポケモン好きなら結構オススメできるデッキだろう。ピュアリィの面白さはターン1のないカードを使いまわすアドリブ力を求められる頭を使った育成と育て上げたピュアリィモンスターでポケモンバt…デュエルに勝つ達成感にある。
 このデッキの強みは初動の多さと盤面の硬さにある。メモリーと名の付く速攻魔法はすべて共通効果でレベル1ピュアリィモンスターのリクルートが可能であり、そのサーチとサーチ先そのものを含めば理論上デッキの半分以上を初動にすることが可能だ。とりあえず育成対象が場に出ればいくらでもやりようがあるため初動の太さは他のデッキにはない魅力だろう。そしてエクスピュアリィ・ノアールの硬さは尋常ではなく、素材さえあれば相手の発動した効果を一切受け付けない。さらにデリシャスメモリーを素材にしていればステータスが上がっていき、効果耐性をもっているなら守備力が最低でも4300となる。複数枚デリシャスを抱えていればアクセスコード・トーカーですら突破不可能なバケモノが誕生する。さらにこの手のボスモンスターを持つデッキが抱えがちなフィニッシャーいない問題もこのデッキにはない。エクスピュアリィ・ハピネスは相手の表側表示モンスターの効果を一括で無効にできさらに攻撃宣言時に1500のバーンを与えることができる。ハッピーメモリーを素材にしていれば攻撃回数を増やせるためバーンを含めデュエルを一気に終わらせる火力を出すことができるだろう。
 明確な弱点としてこのデッキは1体のモンスターに大量のリソースをつぎ込むため万が一突破された場合妨害がなくなり、リソース回復に苦戦することがある。壊獣の類が非常に痛く場合によってはそれが致命傷になりうるため厄介である。ピュアリィ・マイフレンドでの尋常ならざるリソース回復で押し切ったり、スリーピィメモリーの大量ドローでリソースを確保したりして対策することとなる。またデッキのピュアリィとリリィがそのまま手数となるためデッキから尽きたら完全に詰みとなる場合がある。ピュアリィープで回収できるとはいえ常に警戒しておくべき事項だろう。総じて考えることが多く、制限時間との戦いになるのが弱点ともいえる。
 URの数は環境トップとしては少なめである。テーマ内URはそれぞれ3枚採用のマイフレンドとスリーピィメモリー、2枚程度採用のエクスピュアリィ・ノアール、そして0~1枚採用のエクスピュアリィ・ハピネスの合計8~9枚である。ここに閃刀姫ーアザレアやLLーアンサンブルーロビンなどを加えるとそこそこになるがティアラメンツを見た後だとかなり安く感じる。ティアラメンツが異常だっただけか?
 10月の新制限でノータッチだったため、ひとまずは環境トップに居座ることとなるだろう。同月のDCではトップ10の半分がピュアリィであり、その強さを見せつけた。特に日本勢のゴーストリック型ピュアリィは好成績を残しており、未来龍皇と2体のノアールを並べる最強の盤面には目を見張るものがある。
 12月の新制限でピュアリィとデリシャスメモリーを準制限カードに指定され、デッキの安定性が大きく下がることとなった。特にデリシャスメモリーがマイフレンドから確定サーチできなくなった影響は大きく、ピュアリィ使いたちはデリシャスメモリーに頼らないでノアールを立てる手段を探さざるを得なくなった。ただKGさん主催のKGカップにて依然として好成績を残しており、難易度は上がっておりながらもちゃんと強力なデッキであるといえる。
 1月の新制限でデリシャスメモリーを制限に、プリティメモリーを準制限カードにされてしまったため、デッキの安定性が壊滅的な被害を受けた。デリシャスの制限それすなわちプランプへのアクセスの大幅な障害であり、ノアールを安定して立てることが困難になってしまった。しかしながら同改訂で無制限カードとなったSRベイゴマックスを使えばゴーストリック・アルカードを立てられることからゴーストリック展開が強化されており、デッキが死んだというほどではないと言える。ちなみにまだ実装されていない強化パーツがあり、エピュアリィ・ノアールが追加されればデッキの安定性が戻ってくるため、今後どうなるかに期待したい。

GP(ゴールド・プライド)

ナナーナナナナナーナーナーナ、 ナーナーナナーナーー

 GPは融合、シンクロ、エクシーズ、リンクをすべて操るミッドレンジデッキである。LPが相手より低くなるとさらなる効果を得るカードが多く、モチーフとなっているレースさながらのハラハラ感を味わいつつユニークな妨害を楽しめることだろう。難易度としては一般的なミッドレンジといったところだが、LPが相手よりも少ないことで真価を発揮する以上無闇に相手のライフを削ると逆に損をするという性質を理解しないといけない部分で通常のデッキよりも考えることが多いだろう。相手ターンに展開と妨害をしていくのが好きな人にオススメだ。
 このデッキの強みは手札誘発に対する受けの良さである。サーチをあまりしないためドロール&ロックバードに対して強く、また自分ターンにほとんど特殊召喚を行わないため増殖するGも大して効かない。そのため誘発が多数積まれる環境ではとことん強く、実質相手がムダな誘発を握っている分だけハンデスできているのと同義となる。原始生命態ニビルがほぼ効かないのもうれしい。妨害に特に利用されるのがGPーPBである。このカードは融合召喚されたとき素材にしたモンスターの数だけ相手のモンスターを装備魔法として吸える。最低でも2体持っていけるのはかなり強力であり、破壊耐性も対象耐性もすり抜けて持っていけるのは大きい。さらに言えば吸われたモンスターはフィールドにとどまることになり、墓地利用すら許されないためデッキによってはかなり手痛い妨害となる。他のEXデッキモンスターも破壊+打点上昇やサーチ、モンスターとその前後左右の破壊などかなり大胆な妨害をすることができ、総じて優秀なモンスター揃いだ。ライフが相手よりも少ないと強化されるため、能動的にライフを減らせるPUNKとはかなり相性がよく、混ぜることでかなりの強化が期待できるのも大きい。
 このデッキの弱点は爆発力が環境トップデッキと比べると低い点にある。ある意味で言えば当たった時の「うわ、このデッキか」という不快感が足りない。たしかに相手ターンでの妨害は魅力的だが、裏を返せば先攻を取らないと本領を発揮できないということであり、後攻での捲りはかなり手札誘発の質に左右される。自由枠が多く、誘発を多く採用できるのが救いか。また、無効妨害系カードをテーマ内に持ち合わせていないので、妨害が刺さらなかった場合にちょっとマズイことが起きる。全員レベル3なのを活かしてゴシップ・シャドーを出すのが一番丸いだろうか。全員レベル3なのでシンクロギミックはあれどバロネスは他のパーツを借りないと出せないのである。しかし3×3でトリシューラが出てくることがあり、ちょっと怖い。また、スタート・エンジンやそれをサーチするキャプテン・キャリー、妨害の起点となる展開効果持ちモンスターなどの妨害を受けるとかなり痛いというのも弱点となる。特に破壊と展開を兼ねるスタート・エンジンにうららを投げられると0妨害になってしまうこともあり、マストカウンターとして知れ渡るとそれなりに苦しくなるかもしれない。PUNKなどのサブプランを盛ることで対策していきたい。全体的に安定していて誘発受けがいい、それすなわち爆発的な展開がないということであるため、上振れがそこまで下振れと変わらず、環境上位デッキの上振れになにもできず轢き殺されることがあるのが残念といったところか。
 GPのテーマ内URはリオン(3枚)、ベター・ラック(3枚)、スター・リオン(1~2枚)と平均的である。PUNKギミックを入れても3枚くらいしかURは増えず、ジェムのコストパフォーマンスはかなり高いといえるだろう。トリシューラやサイコエンドなどのURを入れてみてもいいかもしれない。

ヴァリアンツ

遊戯王の腋巫女枠

 ヴァリアンツはゴリッゴリの展開デッキであるが、最終盤面がメタビートのようなかなりいやらしい盤面を築けるのが特徴のデッキである。ペンデュラムデッキではあるのだがペンデュラム召喚をメインに行うわけではなく基本的にはペンデュラム効果を用いて展開していく面白いデッキだ。このデッキはメインモンスターゾーンの位置を重視した展開を行うため難易度が高い。一応展開例を一通り覚えてさえしまえばアドリブはそこまでないため、極悪な難易度というほどではない。このデッキの魅力は難しいデッキを使いこなす悦びと気持ち悪いレベルの制圧盤面の楽しさだろう。
 このデッキの強みはスタンにも引けをとらない制圧力である。ヴァリアンツは召喚権を全く使わないため、汎用ランク4の御影志士からフォッシル・ダイナ パキケファロをサーチし通常召喚できる。パキケファロは特殊召喚を完全に封じることができるため、現代遊戯王のほとんどのデッキに非常に刺さる。さらに竜剣士マジェスティPを使用すればフィールド魔法をサーチでき、東雲をはじめとした一部ヴァリアンツ及び軌跡の魔術師が魔法使い族であるため魔法族の里でさらなるロックをかけることが可能だ。特殊召喚と魔法を封じた場合壊獣でも冥王結界波でも突破できない鬼畜盤面を作ることができる。許されるのか?こんな盤面が。この盤面が東雲1枚(と手札コスト)から作れるというのだから恐ろしい。ただ東雲へのアクセスの関係で常にこの最強盤面を張れるわけではないことに留意したい。パキケファロへのアクセスは非常に安定しているためそこは強い点だろう。ちなみに妖精伝姫ーシラユキは天敵でありロックを両方いっぺんに外してくるため注意。
 ヴァリアンツの弱点は妨害を喰らった場合かなりキツイ点が挙げられる。東雲というマストカウンターを抱えている以上、そこを無効化されるとコンボがそもそも成立しない。更に御影志士を止めてパキケファロのサーチを止めたり、軌跡の魔術師でのサーチを止めたりすることで盤面の形成を妨害することもできる。またペンデュラムデッキの宿命としてゾーンロックが非常に苦手なのだが、このデッキは特にロックで詰むデッキである。モンスターゾーンの位置を非常に重視する以上1か所でも埋まると非常にコンボがやりづらくなり、特にペンデュラムゾーンの真上を封じられると初動がなくなる。
 テーマ内URは針淵のヴァリアンツ-アルクトスⅩⅡ(1枚)、VV-真羅万象(2枚)、VV-百識公国(2枚)、ヴァリアンツの聚-幻中(1枚)のみでかなり安い。しかしペンデュラムデッキの宿命としてヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム(1枚)と軌跡の魔術師(1~2枚)が必要になってくるためデッキとしてはそこそこだろう。さらに汎用カードを加えていくとかなりURが多くなる。神聖魔皇后セレーネ、召命の神弓-アポロウーサ、アクセスコード・トーカーなどを入れていくとEXデッキの大部分がURになることもあるため環境で戦えるデッキとして組むならかなりの出費になるかもしれない。
 最近のOCG環境において炎王の孤島をテーマ内ギミックで簡単に除去できる(通称「都市開発」)ため注目されている。炎王はMDでも猛威を振るうことが予想されるため、ヴァリアンツが炎王メタとして活躍するかもしれない。これからに期待だ。

Tier 4以降

 ここからは純粋に環境デッキとは呼べなくなってくるがランクマッチでそれなりの数見かけるため一応記しておく。「環境で戦えない」という意味では断じてない。ただ環境で戦うにはかなりの技量と根性を要求されるため、強いやつが使うと強いだけで、強くなるために使うデッキではないという印象が強い、という意味で「純粋に環境デッキとは呼べない」としている。

スプライト

もはや汎用リンク2扱い

 スプライトはかなり厳しく規制を受けてしまったがいまだ戦えるパワーを秘めたデッキである。種別としてはエクシーズ・リンクを使用する展開デッキであり、出来上がる強固な盤面はなかなか崩せない。しかし展開デッキとしては易しい部類であり、難易度の面で初心者・復帰勢にオススメできる環境デッキとして真っ先に名前が上がるほどの非常にまっすぐなデッキである。デッキの面白さとしてはレベル2という今まであまり日の目を見なかったカード群が活躍し、制圧盤面を手軽に作って勝てる快感が挙げられる。しかしながら展開が単調で飽きやすいという意見もある。
 このデッキの強みは再現性の高い強力無比な妨害盤面だ。モンスター効果無効、魔法罠無効、対象を取らない除外を並べたうえでI:Pマスカレーナからのリンクや虹光の宣告者を相手ターンに出すことができる。世界大会決勝戦でナチュル神碑を完全封殺したのも記憶に新しい。事故率が非常に低く、素早いビーバーが1枚初動になるなど絶対に制圧盤面を出したるという執念を感じる。弱点としては先攻番長寄りのデッキであり、手札によっては着地狩りで完全に詰んでしまう点が挙げられる。ギガンティック・スプライトにつなげるか、場にレベル2がいる場合に手札から特殊召喚できる召喚条件を駆使していくデッキであるので召喚権を使わないと初動にならないことが多く除去されるとキツイ場合がある。またレベルを変更してくる捕食植物、特に環境でよくみられるドラゴスタぺリアは天敵だ。スプライト側もスターターやE-HERO ヘル・ブラットなどで対策はできるため致命傷にならないこともある。
 テーマ内URは準制限のブルー及びスターター、そしてEXデッキのギガンティック、エルフ、スプリンドの5枚である。採用枚数を考えると9枚が普通だろうか。ここにI:Pマスカレーナ、森のメルフィーズ、双穹の騎士アストラムなどの相性のいいURを加えるとシークレットパックが存在しない割には結構URの多いテーマになると言える。
 9月からの制限改訂においてジェット及び鬼ガエルが制限カードに指定されてしまったためデッキパワーは割と落ちてしまった。ただエルフは生き残っているので鉄獣戦線などとの混成デッキとしてまだまだ生き残っており、純構築もまだまだやれていた。
 10月からの規制で素早いギミックをつぶされてしまい、純構築で戦うのはさすがに厳しくなった。現在ではリチュアスプライトが流行しており、未だ頑張ってはいるが、ほぼリチュアのデッキに申し訳程度にスプライトが入っているだけのデッキが結構見られるため、スプライトと呼んでいいものかは少し疑問である。ちなみにエルフが禁止になった瞬間この構築からスプライトが消えるため風前の灯なのかもしれない。

蟲惑魔

リンク1の性能としてはかなりぶっ飛んでいる

 蟲惑魔はホールまたは落とし穴と名のついた通常罠を主体としたロリ罠ビートデッキである。最近来た強化パーツにより展開も行える特殊な罠ビになっている。サポートの範囲はラビュリンスと比べると狭いがホール・落とし穴には墓穴ホールや奈落の落とし穴など優秀な罠が多くそこまで問題にはならない。また、デッキから好きなホール・落とし穴を発動できる昔数千円したフレシアの蟲惑魔が存在するためラビュリンスよりもサポートの手厚さは上といえる。このデッキの魅力はロリコンホイホイラビュリンス以上にとがった罠の使いこなしと昔ながらの罠ビートの良さを楽しめるところである。あと紙のストラクのパッケージがどう見てもいろいろアウト寄りのアダルトグッズ
 このデッキの強さは先攻での制圧力と後攻でもある程度戦えなくはない展開力である。半分罠ビート、半分昆虫・植物族展開デッキとしてやろうと思えば後攻ワンキルも可能な強みがある。以前はリンク1を出すだけのデッキだったのがリンク値を3まで伸ばせるようになりかなりやれることの幅が大きくなった。基本的に召喚・特殊召喚に反応する罠が多い影響で着地狩りに弱いデッキに非常に強く出ることができる。RRは泣いていい。またセラやシトリスなど罠が効かないモンスターがいるため無限泡影や罠デッキに強く出られるのも魅力か。基本ラビュリンスで蟲惑魔には勝てないだろう。またシトリスの墓地・除外メタは環境と非常にかみ合っておりなかなか強力な効果である。
 このデッキの弱みは単純なデッキのパワーの低さと妨害の質の偏りである。残念ながら現状の環境トップと純粋なパワー比べになってしまった場合全く歯が立たずまた墓穴ホール以外の妨害は大体召喚・特殊召喚に対応するものであり効果無効系のものはあまり存在しない。よって召喚時効果を通されてしまい展開を止めきれない場合もある。またホールティアの蟲惑魔を使う場合展開のために1枚妨害罠を切り捨てることになってしまいせっかく展開したモンスターが役に立たなかった場合損することとなる。無論天龍雪獄や拮抗勝負などの汎用罠を採用しても良いがホール名称でない以上サポートが手薄になる。
 このデッキはメインデッキは非常に安いがEXデッキがかなり高い。フレシアの蟲惑魔(1枚)、セラの蟲惑魔(2枚)、クラリアの蟲惑魔(1枚)、アロメルスの蟲惑魔(1枚)、アティプスの蟲惑魔(1枚)、シトリスの蟲惑魔(1枚)はすべてURである。半分はシークレットパックから、半分はセレクションパック(あと少しで終了のドレッド・コンスピラシー)から排出されるため集めるのには骨が折れるだろう。またアロマセラフィ-ジャスミンなどの植物族汎用URを混ぜ始めるとEXデッキすべてがURなんてことになりかねない。

ブラックフェザー

ブラックフェザー・チクチク・ドラゴン

 BFは2009年の世界大会での優勝経験もある由緒正しいシンクロ展開デッキである。しかし時の流れとは残酷なもので2009年時点で使われていたカードはあまり現在のBFには採用されていない。逆に言えば今も使える黒の旋風が当時どれだけオーバースペックだったかと恐ろしくなる。現在のBFはバーンダメージをメインとしたデッキであり自身にもライフコストを強いるカードが多い。それらをブラックフェザー・ドラゴンで軽減しつつ相手にバーンを与えていき最後に打点勝負でゲームエンドまでもっていくデッキだ。このデッキの魅力はクロウのファンデッキを使う楽しさとビートバーンという遊戯王ではそこそこ珍しいデッキタイプであることの特殊さだろうか。
 このデッキの強みはアサルトドラゴンが刺さる相手にドヤ顔できる点とそれにアクセスする手段の豊富さにある。アサルトドラゴンは相手がモンスター効果を発動するたびに700のバーンを飛ばす効果を持ち複数体並べたら重複してダメージが増える。例えば3体並ぼうものならモンスター効果一つ使うのに2100ダメージを受けることとなり、3回以内のモンスター効果で3200打点を処理する手段がなければそのまま死ぬこととなる。これはティアラメンツのように展開にモンスター効果を連打するようなデッキにはかなりの圧力となりともすれば相手に不十分な展開のままバトルフェイズに移行させることでワンターンキルを防ぐこともできる。またなぜかデッキシンクロできるイカレたカードがいるため元祖ブラックフェザー・ドラゴンへのアクセスが異様に良く、そいつがレベル2チューナーであるため一瞬でアサルトドラゴンに持っていけるのが面白いほど強力である。
 このデッキの弱点は着地狩りと強みがアサルトドラゴンくらいしかないところである。黒の旋風は召喚されたモンスターの攻撃力を参照するため効果処理時に参照元のモンスターが場にいない場合サーチをつぶされる。またBFは場にBFがいると特殊召喚できるため場に誰もいないと悲しいことになる。この問題は毒風のシムーンの追加でだいぶ軽減されてはいるがシムーン引けていなかったときはフリーチェーンの破壊一撃で死ぬことがあるのは痛いだろう。BFの最終盤面はアサルトドラゴンに力入れすぎていて無効効果持ちをあまり出せないため貫通されるときはあっさり貫通されてしまう。無頼のヴァータを使った後はバロネスを出せず、レッドデーモン・アビスくらいしか無効効果持ちを出せない。レモンアビスは強力なカードではあるがフィールドのカードしか止められない上対象を取るため墓地効果にはそもそも使えず撃ててもサクリファイス・エスケープされるケースが多いため唯一の無効妨害としては少し不安が残る。またアサルトドラゴンに一切の耐性もないゆえにサンダーボルト一発で瓦解する可能性があるのはいただけない。
 BFはストラクが存在するため非常に安上がりである。ストラクに入っていないURは星影のノートゥング、驟雨のライキリ、神立のオニマルあたりでありそこに追加でレッドデーモン・アビス、フルール・ド・バロネス、天威の龍鬼神も採用されるだろうか。ストラクシリーズでは一番強いためこのリストでは一番コスパが高いかもしれない。

HERO

こいつは普通に倒せる。10年間制限だったカード

 HEROは17年の歴史を誇る伝統的なテーマであり基本は融合テーマであるがリンクもできる展開デッキである。E・HEROがアニメ主人公デッキであった上にDーHERO使いがGXとARC-Vで二度のアニメ出演を果たしたために人気とサポートカードの量が尋常ではなく、しかもHEROカテゴリ自体が六つのカテゴリの複合であるため凄まじいカードプールとなっている。このデッキの魅力は十代のファンデッキだから…と言いたいが現代HEROはかなりE・HEROが少ない構築が主流になっておりEXデッキに1~2枚しか入っていないなんてことがザラにある。どちらかといえばHEROそのもののファンが使っている印象だ。V・HERO誰やねん感は否めないが昔からずっといるデッキが今も頑張っているのはうれしいところである。
 このデッキの強さはメタビートに近い妨害を含めた最終盤面である。相手にだけマクロコスモスを押し付けるM・HEROダーク・ロウ(サーチメタつき)と相手にだけスキルドレインを押し付けるD-HERO Bloo-Dがおいてあるだけで刺さるデッキにはとにかく刺さる。また少し前まで汎用出張としてブイブイ言わせていたデストロイフェニックスガイを一番強く使えるデッキであり素材が手札に来ても腐らない点で出張採用を大きく上回る取り回しができる。またオネスティ・ネオスの存在から戦闘にも結構強いのは魅力だろう。ただのコンバットトリックで終わらずデストロイフェニックスガイの素材にもなるあたり優秀である。
 このデッキの弱点は妨害の数そのものの少なさと墓地メタへの弱さだろう。無論上振れた場合のダークロウとBloo-Dが横並びの盤面にフリーチェーン破壊が並んでいればそうそう突破されることはないが数としてみると3妨害(ダークロウのサーチメタ含めれば4)となる。墓地メタが効かない相手やフィールドのモンスターに頼り切らずに展開できるデッキ相手だと突破されやすいだろう。というかバキバキに墓地メタが効くシャドールで普通に突破できるのだから妨害がどれだけ刺さるかは相手次第と言わざるを得ない。そしてダークロウで墓地メタするくせに自分はめちゃくちゃ墓地利用するものだから墓地メタが鬼のように刺さる。ビーステッドをデストロイフェニックスガイに当てられるだけでも結構痛い。シャドーミスト、ディアボリックガイをはじめとして墓地効果持ちが結構いるためダークロウ出されたらつらいデッキともいえる。
 このデッキは信じられないくらいバカ高い。デッキの半分くらいURになることを覚悟しなければならない上にヒーローだけで3種類くらいシークレットパックがあるせいで一括で揃えることすら許されない悲しきデッキとなっている。一部シークレットパックにそもそもいないカードもあるためかなり愛がないかぎり作れないデッキである

閃刀姫

かわいい強欲な壺

 閃刀姫は一人の女の子がサポート武装を駆使し適切な装備にフォームチェンジしながら戦っていくリンク召喚メインのミッドレンジデッキである。魔法カードを大量に使い戦っていくデッキであり、ほぼすべての魔法に「メインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合」という条件があるためEXモンスターゾーンにリンクモンスターを一機のみ配備し戦うことを強いられるデッキである。ミッドレンジの定義そのもののようなデッキであり難易度は高め。このデッキの魅力は横展開を捨て一騎当千の覚悟を決めた美少女で相手を圧倒していく楽しさと適切な妨害を適切な部分に当てていかないと即死するスリルだ。WCSでも活躍した優秀なデッキでありTier4としているのは現状の環境と相性が悪いだけでクシャトリラが制限で死ぬところまでいけばまた浮上するデッキである。
 このデッキの強さは魔法カード一枚一枚のパワーの高さにある。閃刀魔法はだいたい墓地に魔法が3枚以上あるとき追加効果を得るのだが墓地さえ肥えれば1枚1枚の得るアドバンテージがえげつないことになる。単純に1枚が2枚になるエンゲージをはじめとして効果無効にしたあとなぜかコントロールを奪えるウィドウアンカー、モンスターとバックを同時に除去できるアフターバーナーなど平均してカードパワーが高い。モンスターもかなりスペックが高いのだが魔法カードの強さがあるからこそだろう。また長期戦に強いデッキなのにWCSでも後攻ワンキルを魅せるなどパワカぶん回すだけで勝てるデッキではないが上手い人が使えばなんでもできるデッキである。
 弱点は墓地メタと魔法メタである。墓地に魔法が溜まっていないとどうしようもない上に墓地からレイとロゼが復活するからこそ後続がつながるためそこをやられるとかなり勝ち筋が細くなる。レイロゼが光闇なせいでビーステッドが天敵であり斬機に続き深淵に殺されたデッキといえる。また魔法をメタられるとかなりきつく禁止前の王宮の勅命は死刑宣告に等しかった。現在でも魔封じの芳香やNo.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー、封魔の呪印などを使われると辛いだろう。
 組む場合は安めでシークレットパック一つから出てくるカードが多いので良心的である。テーマ内URはエンゲージ(2枚)、リンケージ(3枚)、カガリ(3枚)のみであり純正の動きをする分にはそれだけで済む。しかし強化していくとなると成金ゴブリンを採用する場合やチキンレースを入れる場合、エフェクトヴェーラーから神聖魔皇后セレーネ、アクセスコード・トーカーへとつなげる動きなどでそこそこURを使うこととなる。ジェムの数と応相談だ。

エンディミオン

ドヤ顔魔法おじさん

 エンディミオンは魔力カウンターを中心に立ち回るペンデュラム展開テーマである。魔法を使うことで魔力カウンターが溜まっていきそれを消費して展開なり妨害なりを行っていくかなり先攻番長のデッキである。展開がクソ長く妨害数も多いため人によっては誘発持ってないから即サレンダーを選択してしまうためコンボの練習にならないと嘆くエンディミオン使いも多い。このデッキは最終盤面を構想するときにカウンターの数も計算に入れないといけないため難易度がバカ高い。一枚初動なんてオシャレなものも持っていないため頑張って妨害盤面をひねり出す必要がある。このデッキの魅力は先攻を取った場合の安心感と頭を使って盤面を組んでいくライブ感だろう。
 エンディミオンの強みは妨害の数に尽きる。妨害カードに軒並み同名ターン1がないためモンスターを展開すればそれだけ妨害数が伸びていくため相手からしたらたまったものではない。制限をかけているのが個々のターン1と魔力カウンターの数だけというのだから手に負えない。また魔力カウンターおばさんこと神聖魔皇后セレーネがバカ大量のカウンターを生成し、さらにフリーチェーンで手札・墓地の魔法使い族を特殊召喚できるため妨害を増やすことだってできる。さらにPテーマであるためオッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンの妨害を使え、こいつがオッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンから簡単にでてくるため手軽になんでも無効を利用できる。全体的に絶対妨害を構えてやるという力強い姿勢を見せるデッキだ。
 このデッキの弱点はPデッキであるということと魔法メインのくせして妨害がすべてモンスターに依存している点である。Pデッキは基本的に1枚初動なんてなくかなりの部分をヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムと軌跡の魔術師に依存している。特にこのデッキは魔力カウンターがないと仕事をしないカードが多く、魔法カードが足りずに死ぬ場面もちょこちょこ見かける。そして最終盤面には基本的に魔法カードはなくモンスター効果のみで迎え撃つ形となる。P効果はすべて魔力カウンターを置くものと展開効果しかなく妨害にはならない。つまり冥王結界波や禁じられた一滴がクリティカルに刺さってしまいともすればそれが致命傷となりかねない。盤面を覆された場合戻せるほど器用なデッキではないため注意したい。
 このデッキは素直に高い。紙だとストラクで安く組めたのになんでだ。テーマ内URが3種あり全員3枚採用必須である。さらにPデッキの宿命のアストログラフ・マジシャン、エレクトラム、ビヨンドの三点セットにこのデッキでは成金ゴブリンとチキンレースも必要だろう。EXデッキを拡充するならさらに大変なことになり大変である。シークレットパックは存在する。

サンダー・ドラゴン

出張で出てくる謎のやつ

 サンダードラゴンは2019年に環境トップにいた融合メインのミッドレンジデッキである。2000年に登場した元祖サンダードラゴンよろしく関連カードは自身を手札から捨てることでサーチができその効果が超雷龍召喚のトリガーにもなる。また除外された場合に効果を持つものが多くそのため墓地メタに強い利点もある。このデッキの魅力は場持ちのいい制圧モンスターでドヤ顔できる点と墓地メタ環境でもストレスなしで立ち回れる快適さだろう。
 このデッキの強い点は超雷龍の制圧力と出しやすさだろう。超雷龍は手札の雷族モンスターの効果を発動さえすれば場の雷族モンスター1枚で出せてしまう恐ろしくお手柄なモンスターである。下手すればネメシス・コリドー1枚から出てくるこのカードだがえげつない効果を持っており、相手のサーチ効果を完封することができる。現代遊戯王はコンボの必要パーツをサーチで揃えてから展開することが多くこのカード1枚で完全に沈黙するデッキも多い。また超雷龍は場持ちもかなりよく戦闘・効果で破壊される代わりに墓地の雷族モンスターを除外し身代わりとすることができる。そのためサーチなしで展開するかこのカードを破壊以外の手段で処す手段を持っていなければならないというキツさがある。またこいつの添え物として出てくる雷神龍もなかなかの性能でありターン1のない破壊効果を持つ。一癖ある効果だが超雷龍のオトモに出てきていい性能ではない。また現在の主流構築はビーステッド混合型であり光闇デッキにかなり強く出られるのもうれしい。
 このデッキの弱点は超雷龍に頼りすぎている点である。無論他のカードで妨害を構えられるが妨害の中心はどうあがいても超雷龍になってしまいこれを超えられてしまった場合かなり後がなくなる。幸いリサイクル手段はいくらでもあるため後続の確保に問題はないが無効系妨害を立てるのが苦手なため安定して超雷龍をつぶせるデッキに弱いのが痛い。つまりシャドールで倒せる。
 このデッキはかなり安くテーマ内URが超雷龍と雷神龍の2種しかなく、前者が制限カードなため3枚くらいで済む。無論ビーステッドを混ぜたりEXデッキを分厚くしたりするとそれなりのUR数にはなるがそれでもかなり安い。逆にSRが結構多いデッキである。3積みするサンドラ名称のすべてがSRなためSRが余っていなければそれなりにパックを向く必要は出てくるかもしれない。

魔術師ペンデュラム

サーチサジェストに「おかしい」が入るのでやっぱりおかしい

 魔術師は9期末に出たストラクで本格的にデッキとなった遊矢・ズァークファンデッキを装った割と戦えるペンデュラム展開デッキである。ちなみにズァーク本人は出てこない。前まで覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを悪用しまくっていたため制限にぶち込まれる結果となった。P効果でPゾーンのカードをバンバン割りながらカードをかき集め盤面を形成していくデッキである。このデッキの魅力はアニメデッキを使う楽しみでかなりちゃんとした正統派なペンデュラム召喚デッキが好きな人は刺さるだろう。
 魔術師の強みはペンデュラムのあと特に制限がつかないため自由に展開し妨害を構えられるところである。アポロウーサやヴァレルロードSなどの汎用無効をバンバン構えていくのが基本だ。魔術師要素としては時空のペンデュラムグラフを妨害として構えられる点が大きい。このカードは魔術師なら簡単に貼れるため安定感が大きい。さらに対象を取る破壊ではあるがサクリファイス・エスケープなどで逃げられても絶対にぶち殺すと言わんばかりに「この効果でカードを2枚破壊できなかった場合、フィールドのカード1枚を選んで墓地へ送る事ができる」とか書いてあるためうちどころを間違えなければ必ず被害を与えられる点が偉い。さらに自分の魔術師1体を犠牲にするが魔術師は紫毒の魔術師など破壊された場合に効果を持つものが多く、紫毒ならもう1枚破壊できるため妨害数が伸びる。
 魔術師の弱みはPデッキの弱点をすべてしっかり残してしまっているところである。初動にカードをたくさん使う上盤面をぶち壊されると回帰が難しい。ゾーンロックに弱いのも将来的に厳しくなっていくだろう。またアストログラフが制限なためエレクトラムに非常に依存しておりここを止められると結構厳しい。マストカウンターがガッツリさらされているのはデッキとして致命的になりうるだろう。
 魔術師デッキは安いのが魅力だが罠もある。ストラクでカードの大部分が揃い、アストログラフマジシャンを生成すればメインデッキは完全に揃う。しかしながらEXデッキはかなり高級になりがちであるのもまた事実。エレクトラムとビヨンドのいつものPデッキセットに爆竜剣士イグニスターP、召命の神弓-アポロウーサ、神聖魔皇后セレーネ、ヴァレルロード・S・ドラゴンなどのURが入ってくるためキチンと全部揃えるとなるとほぼすべて別々のパックから1枚ずつ狙うこととなり手痛い出費となるだろう。しかし汎用が揃っているなら安いだろう。

神碑

やばい

 ルーンは速攻魔法とそれをサポートする融合モンスターとフィールド魔法でガンガン相手のデッキを除外していくデッキ破壊がたミッドレンジである。本体自体はミッドレンジだが構築によってはメタビート、ともすればスタンまで行くこともありエンジンとしての適応力の高さが見て取れる。ルーンには型が大量に存在するため一言では言い表せない。パッと思いつくだけでも永続罠、スプライト、空牙団、ナチュルなどが存在し、特にナチュルはWCSで活躍していたのが記憶に新しい。しかし全ての型に共通することとしてデッキをちまちま削ってる間にぶち殺されないように無効を構えるなり行動を制限するなりして耐えるための相方としてなんらかを採用している点が挙げられる。このデッキの魅力は初めてテーマとしてデッキ破壊を行う特殊さだろう。普段とは違った勝利条件で戦っていく、自分だけ違うゲームをプレイして相手に理不尽を押し付けていく面白さがある。
 ルーンの強さは神碑の泉の恐ろしいほどのアド回収力である。どの相方と組ませるにしても相方のほうが求めているのはそのドロー力であり、自分・相手ターンに最大3枚ドローすることでルーンそのもののギミックを回していくだけでなく相方に必要なパーツもそろえていくことができる。また泉へのアクセスが非常にいいのも特徴であり、テーマカードなんでもサーチの神碑の穂先と神碑の翼フギンで簡単に持ってこれる。フギンは手札コストこそ必要になるもののすべてのルーン速攻魔法から出せるため実質ルーン速攻魔法さえ握っていれば泉にアクセスできるものと考えてよい。しかもフギンは自分の魔法・罠が破壊されるときに身代わりになれる効果をもつため泉の場もちを非常に良くすることもできる。なぜか泉以外も守れる。やめろ。そして泉にターン1もないため張り替えればさらなるドローを狙うことができ、さらに言えば墓地に落ちた泉は神碑の牙ゲーリで回収することができるため無駄がない。はよ制限になってほしい。また泉はルーン速攻魔法を墓地から回収しながらドローするためリソースが尽きず、相方が展開していってデッキからなくなるとともにルーン純度が上がっていきエンジンとしての性能が上がっていく。故にルーンは長期戦に非常に強いテーマである。
 ルーンの弱点はルーン本体の性能がそこまで強くない部分である。相方の種類が豊富なのは裏を返せば相方がいないと環境では戦えないということである。それぞれの速攻魔法はサイクロンだのエフェクトヴェーラーだのと大体同じ性能しかなく閃刀姫カードのパワーと比べると少し控えめである。無論泉の効果で手札から発動できるというアドバンテージがありデッキからの除外も含まれるためサイクロンと同じではないがそれでも2022年カードの性能と比べるとかわいいものである。泉が心臓部であり弱点であるためそこをたたかれるとマズイ。フギンでは破壊以外からは守れないため除外効果が天敵である。永続罠以外を相方にしている場合は無効効果持ちをだして守ることになるだろう。ガッチガチに相手の邪魔をしないとルーンは環境で戦うには悠長すぎるのだ。
 ルーンはぶっちゃけクソ高い。シークレットパックが存在しないのにURが4種もあり、相方の分のURも考えるとかなりのものになる。現状最強の相方のナチュルを選択した場合これまたシークレットパックから出ないモルクリケット3枚がそもそも壁となるだろう。さらに言えば氷結界の龍 トリシューラなどのそこまで汎用とは言えないURがゴロゴロEXデッキに入ってくるため高級品となる。作るときは覚悟すべし
 1月制限でロック系カード、泉、そして破壊の神碑を規制され、かなり立ち位置が危うくなった。あまりにも嫌われていたためかなりガッツリメスを入れられており、環境ではそこまで見る機会がなくなった。しかしながら先攻でロックを決めた時の不快感になんら変化はなく、これからも一定数環境に出没するものと思われる。

ドラゴンリンク

ヴァレル召喚演出無いど・ドラゴン

 ドラゴンリンクは正確にはアーキタイプ名ではなくリンク召喚を絡めた【ドラゴン族】デッキの一種であり、ある種のドラゴン族GSデッキと呼ぶこともできる。2019年に環境トップで大暴れしていた時は守護竜を利用した大量展開を主軸としていたが、星杯の神子イヴ、守護竜アガーペイン、守護竜エルピィの禁止指定により構築の大幅な変更を余儀なくされた。しかしながらリンク軸のドラゴンデッキというアイデアは健在であり、現在ではヴァレットモンスターを主軸にしたリボルバーのファンデッキとして運用することもできる型が主流である。海外では(なぜか)絶大な人気を誇り、WCS2023においてはOCG部門で優勝を果たし、MD部門の優勝チームも使用していたデッキである。種別としては完全なる展開デッキであり先攻制圧も後攻ワンキルもできるドラゴン族の裾野の広さが売りだ。展開デッキの中でもやや難しい部類に入り、マスターするにはそれなりの習熟を必要とする。腕次第でなんでもできるスキル天井の高さと最終盤面に並ぶ巨大なドラゴンのカッコよさが面白い。
 このデッキの強みは召喚権に頼り切らない展開力であり、妨害を踏み越えて盤面を形成できる暴力である。特にビーステッドが登場して以来手札からいくらでもドラゴンを補給できるようになったことでかなり妨害耐性が上がっており、かなりの数妨害を当てないと完全には停止しない。下手なミッドレンジでは全く手に負えないだろう。またこのデッキのマストカウンターと呼べるストライカードラゴンとドラグニティナイトーロムルスはいずれも止めた場合の裏目が存在し烙印融合などと違い「ここさえ止めれば止まる!」というようなカードがないのが特徴である。毎回無限泡影当てるたびにちょっとしたギャンブルをしている気分だ。さらに言えば現在ビーステッドがかなり採用されているため光・闇デッキにかなり強く、ティアラメンツや斬機などのこのリストにも載っているデッキ群に対しかなり大きく出ることができる。
 しかし当然ながら弱みも存在する。まず展開デッキの宿命であるが増殖するGに非常に弱い。このデッキが妨害持ちモンスターにたどり着くまでかなり特殊召喚を挟むため、止められなかった場合致命傷になりうることがかなりある。ただし場合によってはビーステッドで相手ターンに展開できるにはできるため増殖するGを喰らった瞬間サレンダーするほどG受けが絶望的ではない。またドラゴン族統一なうえ最終盤面に闇属性が非常に多いため超融合で一気に2妨害持っていかれることがあり下手すればトリフィオヴェルトゥムで3枚持っていかれることがあるのが痛い。バロネスを出すなど致命傷にならないようにすることはできるがそれでも結構重い。超融合が使われやすい環境では息苦しいだろう。また、種族と属性がほぼ均一なためセンサー万別などの永続が重く刺さってしまう点も痛い。
 このデッキは「テーマ内UR」のようなものはないがよく使われるものとして深淵の獣ルべリオン(3枚)およびマグナムート(1枚)、混源龍レヴィオニア(1枚)、竜の渓谷(1枚)、ヴァレルロード・S・ドラゴン(1枚)、混沌魔龍 カオス・ルーラー(1枚)、フルール・ド・バロネス(1枚)、天球の星刻印(1枚、ストラクで入手可能)、ヴァレルエンド・ドラゴン(1枚)などが挙げられる。これらのパックはバラバラなうえ、深淵の獣に至っては現在シークレットパックが存在しないため集めるのは骨だろう。またSRが非常に多いデッキでもある(25枚前後)ためその面でも高い。
 9月からの制限改訂で全く何の規制も受けなかったためピュアリィがくるまでは環境トップにせまる勢いを見せたデッキだった。今でも強力なことに変わりはないので使用者は依然として多いことが予想される。
 10月制限改訂でも何の規制も受けなかったが、ビーステッドをはじめかなり墓地に触るテーマであるため、クシャトリラ相手は分が悪い。しかしながら先攻でヴァレルエンドさえ立てればそのまま戦えるため、依然として使用者はそれなりの数いると予想される。
 12月制限改訂にて混沌領域およびクイック・リボルブが準制限となり、パワーが一瞬さがったものの、深淵の神獣ディス・パテルの登場により大幅に強化された。ディスパテルはレベル4チューナーおよびレベル6ビーステッドを採用するこのデッキに非常に入れやすく、また展開と妨害を兼ねる効果によってドラゴンリンクを新たなステージへと持っていくこととなった。ただしこのデッキもまたビーステッドにそこそこ弱く、墓地メタが刺さってしまうため、Tier1には行けていない印象だ。
 1月改訂にて混沌魔龍カオスルーラーと輝白竜ワイバースターを禁止送りにされてしまったため、大きく弱体化してしまった。一部では「デッキとして死んだ」とまでいわれるほどの影響を受けてしまっており、先攻でのビーステッド関連の強さと後攻での着地狩りへの耐性を大きく削られてしまった形といえる。しかしながら昔守護竜を根こそぎ奪われてなお、何年も後の2023世界大会で優勝するほどの生命力を見てきているため、これで死んだとは到底思えない。忘れたタイミングでまた這い上がってくることと思われる。

ダイノルフィア

恐竜族か?本当に…

 ダイノルフィアは融合と罠による妨害をメインとしたコントロールデッキである。LPが減れば減るほど強力になっていくモンスター陣とライフコストのある罠を組み合わせることでライフチキンレースを制していくのが戦略の肝だ。コントロールに重きを置く罠デッキでも特に効果無効やパーミッション(相手の行動を無効にするカウンター罠系カードのこと)を駆使してスタンのごとき行動制限を行っていくのがゲームプランとなる。ライフが減れば減るほど生を実感する人におすすめだ。
 ダイノルフィアの強みは罠カードとレクスタームの制圧力、そして恐竜族サポートを受けられる点にある。ダイノルフィアにはデッキのモンスターを使用した融合召喚を行える罠が2枚もあり、そのうちの一枚はEXデッキのモンスターすら素材にできる。罠カードで発動が遅いからとはいえ、制限カードの烙印融合やブリリアント・フュージョンと似たようなことを平気でやってくるのはかなり恐ろしい。融合召喚で出てくるケントレギナとレクスタームがそれぞれ強力なのもその恐ろしさに拍車をかけている。ケントレギナは自分のLPの数値だけ攻撃力の下がる4000打点であり、LP1000以下なら打点要員として活躍が見込める。さらに墓地のダイノルフィア通常罠の効果をコピーする効果もあり、これの発動条件としてLPを半分払うため自身の打点も上がる。これは効果のコピーであるため名称ターン1の制約を無視して疑似的に同じ罠を2枚使うことができるため、ケントレギナの融合からもう一回融合を使えるというかなりのお得カードとなる。レクスタームは分のLPの数値以上の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターの効果の発動を封じる効果を持つ。さらに1ターンに1度相手フィールドのモンスターの攻撃力を自分のLPと同じにするという効果を持ち、制圧範囲を広げつつ自分モンスターを戦闘破壊から守ることができる。効果無効系のカウンター罠を多く持ち、神の宣告などのパーミッション罠とも相性がいいのも制圧力に拍車をかけている。また、筆者の経験上ダイノルフィア使っているひとはコイントスが異様に強いため、先攻からその制圧力を存分に発揮できる。
 このデッキの弱点は制圧が刺さらない相手に対してはただただLP減らしているだけの、緩やかな自滅デッキとなってしまうところである。カウンター罠は汎用的に大体のデッキに刺さるが、フィールドのモンスター効果に依存しないデッキに対してとことん弱い。有名どころで言えば深淵の獣ドルイドヴルムや天威龍ヴィシュダなどの墓地効果で狩られることが多い。さらに言えば「発動を封じる」ために永続効果は封じられず、御巫のダメージ押し付け効果やスケアクロー・クシャトリラの攻撃時効果などにやられることは覚えておかねばならない。また、展開と妨害のすべてを罠カードに頼りきっているため後攻からの捲りが難しく、かなりの先攻特化デッキとなっている。なお筆者はダイノルフィア相手にコイントス勝ったことないのでこの点は心配なさそうだ。
 ダイノルフィアのテーマ内URはテリジア(3枚)、ドメイン(3枚)、ケントレギナ(3枚)、レクスターム(2~3枚)とかなり多い。つい最近までシクパすら存在しなかった割高デッキである。ここにさらに相性のいい神の宣告や覇王龍の魂(とそれを使うためのズァーク)を含めるとかなり驚きのURの多さとなってしまう。ティアラメンツレベルで高い。

相剣

なんか他のデッキでよく見るカード

 相剣はチューナーのトークンを生成しシンクロをしていく幻竜族と深いかかわりを持つ展開デッキである。ただのシンクロデッキにとどまらず、テーマの充実した幻竜族サポートを利用して天威の召喚権を使わない出張を受け入れ、さらに竜星やアークネメシス・プロートスなどの強力なパーツを取り込み、制圧力に磨きをかけた完成度の高いデッキだ。安く組めて強いデッキとして真っ先に名前があがり、正統派な強さのこのデッキは非常に人気が高く、WCSのOCG部門の決勝戦まで上り詰めたのも記憶に新しい。また環境トップだったにもかかわらず龍淵の準制限以外の規制を受けず、未だ環境に居座っているバランスの良さも魅力だ。デッキの面白さとしては安定して妨害を出せる安心感と後攻からでもしっかり戦える地力の高さによる捲った時の爽快感だろう。
 相剣の強みはなんといってもチューナーを自ら用意してくれるところにある。通常のシンクロデッキはチューナーと非チューナーを出してからレベルを合わせていくのに対しこのデッキは非チューナーがそれぞれチューナーを生み出してくれるため安定性が高い。また相剣トークンをそれを生み出したモンスターと合わせる必要はなく天威モンスターあたりと合わせてもいいので自由度も高い。またシンクロ先に全く指定がないため、例えば龍淵から七星龍淵を選んでもいいしバロネスを選んでもいいという面でも自由度がうれしいところだ。また幻竜星-チョウホウでニビルケアしつつアークネメシス・プロートスで特定の属性の特殊召喚を完全に封じることが可能なので制圧力はかなり高い。この2枚は上振れ展開なのだがそれでもかなり強力である。
 このデッキの弱点はトークンの生成に限りがある点である。相剣デッキには基本的にトークンを生み出せるモンスターが3体しか採用されておらず、1枚でも無効になった際に後続を確保できていなかった場合かなりきついことになる。龍淵を初動にすればだいぶ解決する問題ではあるが龍淵は準制限なので素引きしづらいという問題がある。天威ギミックの採用でだいぶ軽減される問題ではある。弱点が少ないのも魅力であるか。
 このデッキはかなり作りやすい。テーマ内URが莫邪(3枚)、赤霄(2~3枚)、承影(1枚)、七星龍淵(1枚)であり同じシークレットパックからチョウホウ(1枚)も入手可能だ。ハズレURがほぼないシークレットパックというのはかなりうれしい。テーマ外のURで作りたいのはバロネス、プロートス、天威の龍鬼神それぞれ1枚ずつとなる。またサイコエンド・パニッシャーも採用候補となる。

P.U.N.K

なんかあまり見ないけど出されるとそれなりに厄介なドラゴン(海竜族)

 PUNKはいろんなことができる展開系デッキである。投げやりに聞こえるかもしれないができることが多彩すぎて出張性能が高いのが売りの一つなので仕方ない。その多彩っぷりがまさにPUNKの魅力であり融合、シンクロ、エクシーズ、墓地肥やし、相手ターンシンクロなど多岐にわたる効果で相手を翻弄できる。展開系でもかなり展開できる方でありWCSでのGツッパ先攻ワンキルをもたらしてくれた素晴らしいデッキだ(尤もあれはイシズの墓地肥やしも込みの結果ではあるが)。PUNKの混ぜ物適性は正直気持ち悪いレベルでありティアラメンツ、クシャトリラ、サンダードラゴンなど何にでも混ざっていき結果を残している。それこそ隣の芝刈りを主体とした60GSデッキの根幹にもなるレベルでグッドスタッフ性が高い。デッキの魅力としてはあらゆる手段を用いて相手を倒していく快感と出張性能による便利さ、そしてセアミンのかわいさによる癒しだろう。世界一のPUNK使いもそう言ってるんだから間違いない
 このデッキの強みは先述のとおり展開力と出張性能である。特に混沌魔龍 カオス・ルーラーに非常に簡単にアクセスでき、そこからいくらでもランク8を作れるのはかなり強い動きだろう。ランク8には優秀なカードが多く特に真血公ヴァンパイアでさらに墓地肥やしができるのは大きなアドバンテージといえる。また持っておくだけでいろんなデッキに入れてしまえるというのはかなりお得だろう。純粋なPUNKの動きとしてはフィールド魔法による2枚ドローからサーチ可能な効果無効罠を伏せたり相手ターンシンクロでアメイジング・ドラゴンを出し一気に複数枚バウンスしたりとかなりいやらしいことができる。同期が頭おかしい性能しているだけでこのデッキもやってることは大概である。
 このデッキの弱みとしてはマストカウンターがわかりやすいところである。Uk-P.U.N.K.カープ・ライジングに灰流うららを当てられた瞬間すべてが終わることが多々あり、実際にWCSでもそういう場面が存在した。そこに灰流うららを使用させて本命を通す動きができなくもないが純正の動きとしてはそこが弱点となるだろう。
 このデッキは混ぜ物次第ではあるがかなり安く作れる。テーマ内URがディア・ノート(1~3枚)、カープライジング(1~2枚)、アメイジング・ドラゴン(1~2枚)、そしてサイコエンド・パニッシャー(1枚)のみなのはうれしい。ただしかなりの量の汎用URを要求される場合もあるため本当に構築によりけりといえるだろう。

六花

なんか召喚演出がエロい

 六花は植物族をメインとしたゴリゴリの大量展開デッキである。基本的に六花自体はエクシーズデッキなのだが環境でみられる構築はサンアバロンとセリオンズを混ぜたリンクメインのものが多い。リリースされた場合に発動する効果を駆使して戦っていくデッキだが六花来々があれば相手モンスターをもリリースできる強力な除去にもなる。このデッキの魅力は先攻からの完全制圧とティアドロップの美しさの二点にあるだろう。アダマシア並みの過剰制圧に相手モンスターを除去しながらアドを取っていく狡さで差をつけていくデッキだ。六花のストーリーが見られる上に一部カードを入手できるソロモードは是非やっておきたい。ちなみに海外にサンアバロン六花ガチ勢ネキがおり、海外人気はだいたいその選手から来ているものと思われる。
 このデッキの強さは先述のとおり過剰ともいえる制圧盤面である。下手すれば6~7妨害くらい普通に並べてくる展開力には目を見張るものがある。ぶっちゃけやめてほしいくらい展開してくる。このデッキの盤面の強さは単なる妨害の数だけでなく、植物族に耐性を付与できるため非常に捲りづらいところにある。また妨害には墓地のカードおよびバックも含まれるため冥王結界波で即死はしないところもいい。ただ展開デッキならではの弱みが当然付きまとい、特にこのデッキは完全なる先攻番長なため、後攻を引いた場合結構つらい。逆にそれくらい振り切ったデッキのほうが一本勝負のMDでは強いのだが。またサンアバロン型の場合どうしても通常モンスターを採用することになるため偶にびっくりするくらい事故るリスクをはらんだデッキでもある。
 このデッキは安く組もうとすれば結構割安であり、テーマ内URは2枚、合計3枚採用で事足りる。また相性のいいアロマセラピィ・ジャスミン2枚と森羅の舞踏娘 ピオネを1枚採用すると6枚となる。ただし環境で戦うにはもう少し入れねばならない。サンアバロン採用するなら1枚(ワン・フォー・ワン採用なら+1)、セリオンズを採用するなら2枚増える。最大10枚ならそれでも割安ではあるがシークレットパック3種にばらけているためまあまあジェムは要るだろう。また森羅の舞踏娘 ピオネは現在シークレットパックからは出ず生成する必要がある。

ふわんだりぃず

リンク殺しの鬼畜ペンギン

 ふわんだりぃずは効果による召喚とアドバンス召喚をメインとしたミッドレンジデッキである。北極圏から南極に旅をする害鳥渡り鳥がテーマで、旅路で出会った友達どもが次々と召喚されてくる激熱演出デッキだったりする。また召喚のためリリースしてお別れした奴らが(なぜか)手札に舞い戻ってくるため次のターンにまた会える(絶望)というモチーフに忠実な姿勢には感動(と憤懣)すら覚える。またお友達との別れは永遠でないということなのか異様に墓地を忌み嫌う除外利用デッキでもある。なんだこいつ。このデッキの魅力は増殖するGを完全に無視できやがる快適さと自分・相手ターンに動いてリソースを動かしつつ相手を妨害できる部分だろう。ちなみにプレイ難度は飽きるのが早いと言われることがあるくらいバカ簡単である。
 ふわんの強さは増殖するGへの完全耐性、墓地メタの採用、そしてリソースの循環である。ふわんだりぃずはどう見ても特殊召喚なものを召喚と言い張って展開するため増殖するGを撃ったところでまるで効果がない。そのため相手が増殖するGを引いていた場合完全に腐らせることが可能で実質ハンデスとなる。そも採用率が90%を超えていて基本3枚採用のカードに無敵というのはアドバンテージだろう。そのくせ自分はフルに採用できるあたり汚い。またふわん自体全く墓地を利用しないため、ディメンション・アトラクターをはじめとした墓地殺しカードを採用しても自身には全く影響がない。墓地のカードを触りに行ける烈風帝ライザーを容易にサーチ・召喚できるのも偉い。少し話はそれるがライザーや霧の谷の巨神鳥などの強力な鳥獣族モンスターを採用できそれらがサーチに対応するのも強みといえる。ふわんだりぃず下級モンスターはそれぞれ場から離れると除外され、除外状態で場に鳥獣族が召喚されると手札に戻る。つまりリリース要因として使った鳥が全員コンボ終了時には手札に戻っているため、同じコンボを次ターンに再度展開することが可能だ。(なぜ刷られたのかが)謎の地図または(悪)夢の町を使えば相手ターンに展開できるため毎ターン途切れない展開で相手をゆっくり押しつぶすことができる。というかすぐに殺しきれないあたりやっぱり性格の悪さを感じる。
 このデッキの弱点は事故率の高さと1妨害で即死する危険である。まずふわんはろびーなが展開の肝でありいぐるんとすとりー・とっかんで展開できなくはないがやはりろびーなの初動に比べると苦しい。そのろびーなのサーチ手段が旅じたくくらいしか存在せず、ゴードン以外の壺フル投入によるドローに頼るしかないため事故るときはかわいそうなくらい事故る。世界大会でも使われたデッキであるが、あまりにも大事故を起こし何もせずに撃沈させられた。今までの所業のせいで安定感を上げるカードを軒並み制限にされてしまったため特に安定感のないデッキとなっている。また回避手段があるとはいえあまりにも誘発や無効に弱すぎるのも問題だろう。展開ルートが一つしか存在しない以上それを止められた瞬間すべてが終わる。サーチと展開がセットなため灰流うららが死ぬほどささり、無限泡影などでターンが終わる。一応前者はチェーンの順番などで、後者は旅じたくや月の書などで回避できるが急所なのに変わりはない。特にうららケアができるカードは大体制限なので安定しないのは問題である。
 このデッキは非常に安い。テーマ内URが2種しかなくそのうち1種はそもそも採用されないことが多い。またEXデッキをほぼ使用しないデッキなので下手すれば旅じたく3枚でURがすべて揃う。一応それにプラスで霞の谷の巨神鳥とディメンション・アトラクターも入るがそれでも合計6枚のURでデッキ一つ作れるのは大きい。シークレットパックは無いが生成ですぐ作れるだろう。

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