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119番通報📱〜市民と消防の認識のギャップ②

119通報は、火災や救急、救助等の対応を要請するため、市民が消防機関に通報する際の緊急用電話番号です。

救急車の出動件数は年々増加する一方、「不要」「不急」の通報が絶えない現状に頭を抱えています。

ここで活躍するのは、119通報を受信する役割を担う通信指令員です。彼らの技術向上は不可欠です。その上で、市民が状況に応じて適切に119通報を行うことができれば、119番通報の効率が飛躍的に高まり、救命率の向上が期待できる可能性があります。

119番通報における市民の心理的要因に関する探索的検討 木村昌紀 他

X(Twitter)で、119通報の問題を投稿しました。666名の方に回答いただきましたので、今回は4問目から6問目までを答え合わせしていきます👩‍🚒👍


1問目から3問目はこちらをぞうぞ。

第4問 家族が倒れて意識がない。助けてほしい。

答えは、「119通報 する」です!
これは簡単ですね。迷うことは少ないと思います。意識がないという状況は緊急性が高いと言えます。ましてや家族。普段の様子もよくわかっていることでしょう。家族が倒れて意識がない。助けてほしい。という内容であれば、119番通報の出番です。

第5問 マンションのベランダから落ちそうな子供がいる。助けてあげてほしい。

答えは「119番通報 する」です。

”落ちそうな”という状況ですから、これから危険な状況になる可能性が高いと言えます。「まだ事故が行なっていない」という理由で答えに迷われた方もいらっしゃると思いますが、「マンション・ベランダ・子供・落ちそう」という内容は、119番通報の出番となります。

マンションのベランダにはエアコンの室外機もあったりして、簡単にベランダから乗り越えてしまいそうですよね。非常に危険です。
マンションのベランダから落ちそうな子供がいる。という場合は119番通報しましょう。

第6問 ペットの犬の調子がおかしい。病院に連れて行ってほしい。

答えは、「119番通報 しない」です。
前回お伝えしましたが、消防は人命救助を対象にしてます。犬(ペット)については対応することはできません。

2004年にバイクに跳ねられた犬を搬送するように強要した男が逮捕されたというニュースがありました。

飼い主の男は救急隊員に対して「人ばかり診とらんで、犬のケガも診ろ」などと怒鳴り、男性の処置を続ける隊員に対し、頭を小突くなどの暴行を加えるなどした。

また、知人の男は救急車近くで搬送の準備をしていた別の隊員に対して「人間と犬を区別する気か。犬もケガしているだろうが、こっちも病院に運ばんかい」と怒鳴りながら体当たりし、頭を数回に渡って殴打した。

https://response.jp/article/2004/12/03/66122.html

無茶苦茶ですね!この事案に対して救急隊の対応は・・・。

本来、救急車では衛生上の問題から負傷した動物を運ぶことはできないが、2人の救急隊員は「拒否すると男たちが大暴れするとともに、本来必要な負傷男性への救命処置が遅れたり、救急車そのものを破壊される恐れがある」と判断。男性と一緒に犬も乗せて病院に運んだ。

https://response.jp/article/2004/12/03/66122.html

救急隊の”安全”を重視して、病院に運んだとあります。
これを見て、「なんだ。無茶すれば運んでもらえるのか?」と思ってもらっては困りますが、結果的にこの男性は逮捕されていますのでね・・・。
違法ですよ。

まとめ

実際には適切な通報理由を市民が不適切と認識してしまうと、通報を控えてしまい、本来助けられる命を助けられず、最小限に止められたはずの被害が大きくなる可能性があります。

反対に、実際は不適切な通報理由を市民が適切だと認識してしまうと、適用外の通報をすることにつながり、通信指令員が余計な対応に追われ、現場の負担が増えることになります。

それでは次回、第7問目から解説していきますね👩‍🚒📱!


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