(雑文)少女漫画の目はなぜ大きい?

一時期、少女雑誌 ちゃおの「学園クライシス」(五十嵐かおる著)
の目が大きいと話題になりました。確かにすごいけど、これくらい
インパクトあった方がいいんですかね。

海外の漫画ファンでもたびたび話題になるこの問題、ルーツは何
か少し調べて、拙者なりに考えてみました。

以下私見ですが、拙者は今のところ日本の少女漫画(と目)は以下
のような流れで定着したと考えています。

画像1

①「美人画」大正時代

竹久夢二が「夢二式美人画」で人気を博す。
竹久夢二は児童雑誌の挿絵も書いていた模様。
黒目がちな美人。

②「ぬり絵」戦後(1947~)

蔦谷喜一が「きいちのぬりえ」で大人気。

ここで、(まだ目は小さめだが)輪郭はいわゆる少女漫
画風の目ではある。
(これ、ベティさんの目の影響もあるのかな?)

ついでにぬり絵を買った女の子は絵をマネして英才教育
↑ここ、とても重要

③戦後少女漫画(1953~)

1953年手塚治虫による初のストーリー少女漫画
「リボンの騎士」を連載。
実はリボンの騎士の時点ですでに目はかなり大きい。
こうしてみると、少女漫画の目が大きくなる最初の流れを
作ったのは天才、手塚治虫という事になる。


この後、少女漫画というジャンルが発展していくが、実は
「少女漫画」専用の女性漫画家というのは最初、存在して
いなかった。少女用の漫画も男性漫画家が描いていた。

例えば石ノ森章太郎だが、やはり目が大きい。

純粋に女性で少女漫画家というのは有名なトキワ荘出身の
少女漫画家 水野英子(1955年デビュー)あたりからだが、
すでに、「ガラスの仮面」に負けない目の大きさ。

(石ノ森、水野両氏はトキワ荘出身なので手塚治虫の影響を
受けている)


④「少女誌・幼女誌」戦後(1957~)

高橋真琴が目が大きな絵で人気を博す。
「③」の少女漫画の流行を取り入れたと思われるが、絵柄で
特に気になるのが目の大きさだけでなく、星がマシマシ状態。
(追記:もちろん②からの影響もあると思いますが)

「少女誌・幼女誌の表紙・挿絵を中心に、文房具・衣服に至
るまで絶大な人気を博し、一世を風靡した。」
WIKIPEDIAより

少女誌、幼女誌を買った女の子は、絵をマネして英才教育
↑ここ、激しく重要

画像2

以上のような流れから、拙者は、あの目の大きさの秘密は
次のような恐ろしいコンボの中で、異常に発達していった
結果ではないか?と思うわけです。

少女漫画→少女誌、幼女誌、ぬり絵
→エリート育成された層がマンガ家デビュー
→少女漫画→少女誌、幼女誌、ぬり絵・・

ただし、顔からはみ出るわけにもいかないので、大きさは
顔の1/2くらいで限界が来て収まったと。
(でも目の星はどんどん増えてすごい状態に)

まあ、上記の発達の流れもせいぜい80年代くらいまでかも
しれませんが、目の大きさはある程度定着して今に至ると。

こんな流れで、やっぱり、いきなり発生したわけではないの
で当時の世間にはわりと?すんなり巨大キラキラ瞳が受け入
れられた、ということではないでしょうか。

逆に外人が何の準備もなしに「学園クライシス」をみたら、
「Oh!No!」かもしれません・・。
(この漫画はさすがに、日本人でもびっくりだけど)


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