キャンドルが灯る時間だけは
昔から三半規管だけは強いわたしが通勤時間のお供にしている本たち。基本どんなジャンルでも読みたい欲は湧くのだけれど、この時間だけは小説を読みたい欲に駆られる。転職してから通勤ラッシュと疎遠になったわたしは、揺れる公共交通機関の内側でめいっぱい物語の世界に浸ることを喜びとしているのだ。
わたしの読書遍歴には波がある。
幼稚園のときには祖母の読み聞かせが楽しみのひとつだったと記憶している。誕生日に園で用意されるバースデーブックなるものにも《ほんやさん》と将来の夢の欄に先生の綺麗な