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なかなか見つからない“Best Friend”

お店の有線で可愛らしい曲がかかっていた。舌足らずの少女のような声とメロディセンスからスチュワート・マードック(ベル&セバスチャン)の作曲したものではないかという気がした。しかもこの曲の入ったCDをたぶん私は持っている…。きっとあれだ、スチュワートが手がけた青春映画『God Help The Girl』のサントラに入っているやつだ。

そう思って早速がさ入れ(!?!)を行なった。曲の最後に “Best Friend” と聴こえたから、そういうタイトルがあるか探してみたけれど、当のサントラ盤には入っておらず。でもあの手の(どの手の?)曲が入っているとしたらこれしかないと思って、ショートカットで全曲聴いてみたけど、どれも違う。う〜ん……それじゃないとしたら……とベルセバの企画もののアルバム『Third  Eye Centre』や『Late Night Tales vol.2』はたまた映画サントラの前身盤・元祖『God Help The Girl』に目を通してみるけれど、“Best Friend” らしきものは見つからず、捜査は難航する。

例の曲が、絶対にスチュワートの曲であるはずだ!という思いは2日経っても揺らぐことはなかった。だけどベルセバのフルアルバムに収録されている曲とシングルコレクションは全て知っているという自負があったために、それらを捜査の対象から外してしまっていた。ここで自分自身に疑いの目を向けてみる。《本当に全曲憶えているのか? あ、そういえば最新のアルバム『How to Solve Our Human Problems』(2017年)はあまり熱心には聴いておらず、全部は知らないな…。》
えー? でもなぁ…。これに女性ゲストボーカルの曲なんてあったっけ?
半信半疑で『How to〜』を引っ張り出して裏ジャケを確認するとそこには “Best Friend” の文字が!!!  待てよ、ぬか喜びは禁物だ。これであって欲しい気持ちと、自分のベルセバ愛の浅はかさが暴かれるような気恥ずかしさが一時葛藤したが、とにかく聴いて確かめてみなければ。

Belle and Sebastian/Best Friend

そうでしたー! これでしたー! やっぱりでしたー! 最初からこれも調べてみるべきでしたー! 思い込み激しくてゴメンナサイ(反省)。

歌っているのはCarla Eastonというグラスゴーのシンガーソングライターだそう。この曲の主人公は恋に発展しないよう慎重にお隣さんと付き合いを続けている。親友にならなれそうな気がするのに、いろいろ思わせぶりになったりしないかと案じている。
親友という関係を築くにはお互いの自制心と敬意が必要だと思う。その上で心を通わすことができるのが親友だ、と私は考える。「腹心の友」という言葉もあって、憧れはするけれど、やはりその腹に抱えていることすべてをさらけ出すのはちょっと苦しいし、恥ずかしい。そういう心情も含めて理解してもらえるのが一番理想的なんじゃないかと。


男女のはかない友情を歌った、ノラ・ジョーンズとのデュエット曲も思い起こされる。

Belle and Sebastian/Little Lou, Ugly Jack, Prophet John

今の季節にぴったりなムーディな曲。頬にあたる木枯らしも少し暖かく感じられる、かな。

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