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BUMP OF CHICKEN「ハルジオン」のこと

年末に今年の振り返りをする中で、5月くらいに書いておいたけど特にどこにもアップしていなかったテキストが発見された。この機会にnoteに載せようと思う。

元々、「自分にとって、平成を代表する1曲は?」というお題に対して綴ったものだった。アニメ「機獣新世紀ZOIDS」のオープニングだったRAMAR「Wild Flowers」やTRF「EZ DO DANCE」と迷ったけど、2001年10月にリリースされたBUMP OF CHICKEN「ハルジオン」に決めて書いた。

まだ聴いたことがない人にオススメするとかではなく、この曲が自分に訴えかけてくる要素ってなんなんだろうというのを咀嚼しようとした結果である。

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この歌と出会ったのは中学1年の時だった。ちょうどその時期に理科の授業で習ったのだけど、ハルジオンの茎は中空で、真ん中にぽっかりと穴が空いている。だからこの曲の歌詞に出てくる「折れることのない信念」というよりもむしろ、満たされない心の空虚さを抱えたまま揺らいでばかりの人間観を投影できる花としてハルジオンを捉えてきたように思う。


就職活動していた時期にもこの曲をよく聴いていて、自分自身も中空で、芯なんてなくて、夢や希望なんて無くす前からそもそも持っていなかったのだろうという諦観をもたらしてくれることで、悲しいけど満たされている冷静な感覚にさせてくれた気がする。


しかし間奏で鳴らされる、遠く彼方へ突き抜けるように伸びやかなギターのハモリ (※)を聴いていると、頭の奥が焼けるくらいに何かを必死で思い出そうとしているような焦燥感が喚起され、大事な何かが自分の中にもあるはずだと信じたい、信じていなくてはならないという気持ちになる。


確かなもの/信じられる希望が無いという感覚は、最早一部の個人だけのものではなく、先行き不透明感として国全体を覆い尽くしつつある気がする。それでも、たとえ自分も時代も空っぽでも、夢や希望を信じていたい。ふとそんな気にさせてくれる歌だと思う。


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※ハルジオンの間奏の「ユニゾンチョーキング状態でのトレモロピッキングを16小節間キープする」プレイはめちゃめちゃ高度だと思うのだけど、高校の軽音部の先輩はそれがさらっと出来ていて、聞けばアコギで練習していたという。恐るべし。

高校の時にBUMPの曲をコピーした記憶がいろいろ蘇ってきて、「天体観測はギターとベースとドラムが全然違うリズムで動いていくので、2番のサビでベースがルートを刻み始めた瞬間にやっと合う気がする」とか、ラフ・メイカーとアルエはベースがめちゃくちゃ気持ちいいとか、経験者あるあるかもしれない。

今年はあと4日ほどだけど、年間ベスト○○系記事も書かなくては。



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