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マニュアルレンズの検品方法

ペンタックス SMC タクマー 50mm F/1.4を使って検品の方法を説明します。
流れとしては、動作確認→レンズ光学系の確認→焦点確認の順番で行います。

ヘリコイド

ヘリコイド(フォーカスリング)を動かして、適当な重さでリングが回るかチェックします。

∞無限から最短距離まで何回か回して下さい。

よくある不具合
・動きが硬い。
・動きが軽すぎる。
・ジャリジャリ音がする。

絞りリング

絞り羽根を開閉させている絞りリングを回し、動作に不良がないかチェックします。

開放から最小絞り(もっとも絞った状態)まで、何回か回して下さい。

よくある不具合
・動きが硬い。
・クリック感がない。(通常は、絞りの値ごとにコリコリ動作た感触があります。)
・途中で止まってしまう。

絞り羽根

絞りの切り替えレバーをマニュアル(MAN.)にして、絞りを閉めていき、絞り羽根が汚れていないか確認します。

よくある症状
・油じみ(羽根に液状の汚れがついている。)
・サビ
・金属のスレ
・そもそも羽根が出てこない!

補足: 切り替えレバーの動かし方

マウント部の小さなピンを押しながら、レバーを横から押すとオート(AUTO)からマニュアルに変更できます。マニュアルからオートの場合は不要です。
ちなみに、スーパータクマーにはこのピンはなくレバーだけの操作で変更可能です。

絞り羽根の動作確認

汚れていなくても動作不良の場合もあるので、引き続き動作確認をします。
①絞りの切り替えレバーをAUTOに合わせる。
②最小絞りにする。

③絞りのピンを強く何回か押して羽根の開閉がスムーズか確認する。
④ピンをゆっくり押してゆっくり離してしっかり羽根が動いているか確認する。
*マニュアルだけで確認してもチェックしたことにはなりません。

よくある症状
・戻るのがゆっくり
・ピンをゆっくり離したときに絞り羽根が開放に戻らず途中で止まる。

レンズの光学系の確認

動作チェックが終わったら、レンズのコンディションがどのような状態か確認します。
強めの光に、レンズをかざして内面がどうなっているか確認します。

レンズ両面から確認します。
また、光の当たり方によって見え方が違ってきます。
光を透かしつつ、レンズが光に当たる角度を変えて確認します。
特に端にあるカビや汚れなどは見落とし易いので、レンズを回転させてチェックしてください。
よくある症状
チリ、カビ、クモリ、キズ、バルサム切れ
カビ跡 、コーティング荒れ、よごれ、黄変、コバ落ち
割れ、欠け

参照: レンズ光学系コンディション詳細

無限の確認

上記の検品だけで、レンズ分解してしまう方いますけど、私的にはちょっとNGかなと思います。
最後に必ず無限チェックをして、レンズの焦点距離があっているかを確認します。
確認の手順
①レンズをカメラにセットして窓際とか外に行く。
②フォーカスを無限、絞りを全開にして遠くを見てピントが合っているかチェック。
③無限になる手前から始めて、無限になったとき(絞りを回し切ったとき)丁度ピントがあうかをチェック。

よくある症状
無限に回しきる前で焦点あって無限だとぼやける。(オーバーインフ)
後少しでピントが合いそうなのに無限でリングが停止(アンダーインフ)
そもそも全然ピントあってない!

以上が検品の手順です。
検品し終わったら、外観の清掃だけで事足りるもの、または分解が必要なものとその後の対応をしていって下さい。

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