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オリンパス PEN EEシリーズの検品方法

コンパクトフィルムカメラの中でも、オリンパス PEN EE シリーズは、軽くて撮影が簡単な為とても人気があります。
「EEとは何ぞや?」というと、シャッタースピードと絞りの調整を自動でやってくれるということです。
レンズ周りのぽつぽつの部分で光を感じ取り、シャッターを切るだけで適切な露出で写真が撮れます。
細かい違いはありますが、Pen EE, EES, EE-2, EES-2, EE 3、またTrip35に共通する動作チェック方法を解説します。


基礎知識

レンズ周りの数字について

レンズ側面には、数字のついたダイヤルがあります。
普通に写真を撮るときは白、フラッシュを使う時はオレンジに合わせます。
白数字の100とか200などの意味はフィルム感度の事です。
たとえば感度100のフィルムを使う時は、ダイヤルを100にするとキレイに写るように設定されています。
オレンジの3.5とか4の意味は絞りの値です。
ペンEEならば、3.5に合わせると絞り羽根は全開、数字を大きくするにつれ絞り羽根が閉まった状態で撮影できます。

補足

EES-2とTrip35は、感度設定と絞り値は別のダイヤルで設定します。
また、絞りを最小の2.8にしてシャッターを切っても絞り羽根は全開にならず少し閉まってます。不具合ではなくそういう仕様ですのでご注意下さい。

焦点距離

Pen EESやEES-2、Trip35は、ピントの調整ができます。
近くは人のマークで、遠くは山のマークに合わせます。
Sがつかないペンにはピントの調整ダイヤルはありません。
「ピントの調整がないってどういうこと?」
と思われる方もいるかと思いますが、いやゆるパンフォーカスというやつで、どの距離にでも焦点が合うのでピントあわせは不要ということです。
*と言っても被写体から1.5m以上は離れないとボケます。

赤ベロ

ペンEEシリーズは、写真を撮るときに明るさが足りないと、シャッターが切れないようにする失敗写真の防止用システムがあります。
暗い場所やレンズキャップを着けたままシャッターを切ると、ファインダーの下に赤い警告マークが出てきます。
この警告マークを”赤ベロ”と呼んでいます。
なお、ダイヤルをオレンジに合わせている場合にはこの赤ベロは作動しません。
これは、EEシリーズ限定の話で、初代ペンやペンS(EESではない)、ペンDにはついていない機能です。

シャッタースピード

ダイヤルが白のときは、暗ければ1/30秒、明るければ1/250秒でシャッター速度を自動で使い分けてくれます。
一眼レフみたいに低速一秒とかバルブはありません。
シャッタースピードは2種類しかありませんが、それに合わせて絞り羽根を開閉させて露出の調整をしています。
オレンジのときは、1/30秒固定です。

検品手順

シャッター→赤ベロ→絞り羽根→ファインダー→露出計の順でチェックします。

シャッター

まずは、シャッターが切れるか確認します。
ボディの後ろの黒い歯車を右に回してとシャッターをチャージして下さい。

レリーズボタンを押してシャッターが切れるか確認します。
ちなみに、オリンパスペンのレリーズボタンはゆっくりと押します。
早く押しちゃうとAE(自動露出)が正しく動作しません。

よくある症状
・歯車が回らない
・歯車を回すとともにシャッターが切れてしまう
・シャッター羽根が開きっぱなしになる
シャッターが切れないときは、たいていシャッター羽根が汚れているのが原因です。

赤ベロの動作チェック

暗いところで赤ベロが出るか確認します。
レンズ周りのダイヤルを白の数字に合わせます。
*オレンジでは赤ベロは出ません。

レンズ周りのぽつぽつ(セレン電池)で光を感じ取っているので、そこに光が入らないようにしつつシャッターを切ります。
赤ベロが出て、シャッターが切れなければOKです。

絞り羽根

絞り羽根の動きをチェックしていきます。
オレンジで一番小さい数字(3.5か2.8)に合わせます。

絞り羽根が全開になっていればOKです。
分かり辛ければ、底板を開けてレンズを裏側から見ながらシャッターを切って下さい。
レンズから漏れる光が丸く見えればOK、四角かったりしたらNGです。

次に、オレンジの数字で一番大きい数に合わせます。

絞り羽根が閉じて、中心だけ小さく開いていればOKです。

絞り羽根の動きが正常であれば、次は白のダイヤルにして、明るさに応じて絞り羽根の開き具合が変化しているかチェックします。
*100でチェックするのが基本です。
底板を外してレンズを透かすようにして見るのが分かりやすいです。

シャッターを切ってみて、レンズから漏れる光の大きさが明るさによって変わっていればOKです。

よくある症状
・なぜか赤ベロがでる
・絞り羽根動かない
・明るくても暗くても常に全開

ファインダー

ファインダーを覗いてみて汚れをチェックします。
たいていクモってます。きれいなものは珍しいです。

露出計のチェック そして分解へ

各部チェックしていきましたが、ヤフオクやメルカリで購入した場合大抵どこかで欠陥が見つかるものです。
ほとんどの場合、トップカバーを外すことになります。
カバーを外し、ファインダー横にある金の針が露出計です。
そとから色々チェックするより、AEが動作しているかは、直接針の動きを見るのが一番です。
これが動いているか動いていないかでお値段が大きく変わります。
参照: Olympus Pen EEの分解

おまけ フィルム室の開け方

ペンEEやEESは、フィルム室の開け方は少し独特です。

底板のレバーを引っ張って立てます。

そこから180°回します。

本体からスライドさせて下に抜きます。

小さくて扱いやすいので、私のやっている修理教室では女性の方におススメすることが多いです。中には性が合うのか、このペンばっかりやってるような人もいます。
個人でやっていると露出計が動いてないと「残念!」ってことになっちゃうんですが、幸い修理で使ったジャンク品が結構あるのでそういう場合は露出計ごと交換して復活させてます。

オリンパスペンEEシリーズの検品方法は以上です。
分解方法と不具合対処は別記事でご紹介します。
参照: Olympus Pen EEの分解


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