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そこまで感染したくないか

 19日、エリザベス女王の国葬が営まれた。中国からは王岐山国家副主席が列席した。

 他の参列者がマスクをしないまま、中国代表団がマスクをしていることに焦点が集まっているが、私は人選に注目した。

 次の総書記候補が兼任するかどうかで、国家副主席の役割は変わる。胡錦濤や習近平が国家副主席を兼任した場合、国家副主席は文字通り国家主席の名代となった。

 一方、先代の李源潮は組織部部長から副主席専任というこれ以上無いくらいの閑職ムーブだった。お焼香係が板につくのもそう時間を要さなかった。

 図らずも王岐山も同じような役割をやらされている。王岐山は米中外交に関わるのではと目されていた。これは我々外部の人間が勝手に想像していただけとはいえ、まさかキャリアの最後がお焼香係とはわからないものだ。

 国内にこれといって仕事を持っていない王岐山なら、万が一感染しても党務や政務には影響しないし、10月1日の国慶節や10月16日の党大会を欠席しても問題ない。

 中央委員ではないから党大会直前に開かれる七中全会にも出る必要はないので、大事な党員を危険に晒す必要もなくゆっくり静養できるのだ。うまい人選だと思った。

 国葬に随行したのは現大使の鄭澤光ではなく、離任して1年近く経つ前大使の劉暁明だった。

 劉暁明に似ているなあとは思いつつも、前の大使がいるはずないという思い込みで可能性を排除してしまっていたのだが、@lihaokt先生のご指摘でやっぱりそうかと納得してしまった。

 現役の大使を差し置いて、わざわざ前任者を連れてくるとか変だなとは思いつつ、これだけなら鄭澤光は体調不良かなんかかなと考えることもできたが、新聞聯播の映像を目にして、それは無いことに気がついてしまった。

左が鄭澤光大使

 鄭澤光が王岐山を空港まで迎えに行ったのが確認された。鄭澤光は体調不良でも、ましてや国葬を超える大事な用事があるわけでもなかった。

 国葬は参列者がマスクを外すことは事前に知らされていたのであれば、感染してもいい人を選んだのだろう。劉暁明は朝鮮半島事務特別代表だが、特に緊急を要する役割でもないし、いざとなれば劉より高位の人間を送り込めばいいのだ。

 そういえば、先だって上海協力機構の寄合に参加した習近平も、参加者全員ノーマスクの夕食会を欠席している。丁薛祥と大使館で康師傅をすすっているかと思うと、涙ぐましいまでの努力だなという気はしないでもないが、中国以外の場所でマスクを外すという行為に相当神経を使っていることがわかる。

 ということは、視察に集まる民衆も素人ではないなと察しがついてしまうのだ。まあ、彼らは以前から素人ではないか。

==参考消息==
https://www.rfi.fr/cn/%E4%B8%AD%E5%9B%BD/20220920-%E8%8B%B1%E5%A5%B3%E7%8E%8B%E5%9B%BD%E8%91%AC-%E7%8E%8B%E5%B2%90%E5%B1%B1%E5%8F%8A%E9%9A%8F%E4%BB%8E%E6%88%B4%E5%8F%A3%E7%BD%A9%E6%83%B9%E8%AE%AE
https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/junshiwaijiao/al-09192022140846.html
https://tv.cctv.com/2022/09/20/VIDEhO81zAH93rik8yCsm1mY220920.shtml

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