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最近の記事

一般市民の李克強への評価はなかったことに

まず訂正から。  前々回(李克強の死去)、核心が亡くなった時に出る『告全党全军全国各族人民书』(全党全軍全国各族人民に告げる書。以下告げる書)、総理、全国人大常務委委員長、全国政協主席経験者の逝去に際して出される訃告(訃報)、それ以外の常務委員経験者以下の逝去時に出される生平(生涯)というランク付けですが、認識が思い切り間違っていました。  今回、李克強の生平に、共産党以外の評価が見当たらないというRFAの記事を受け、読み返したところ告げる書、訃告と生平は別物であること

    • 李克強の葬式

       李克強の葬式が、八宝山革命公墓にて11月2日午前に執り行われた。  なぜか明言されていないが、参列者の予定的に午後だとつじつまがあわないので午前だと断定する。 あくまでも突然死  継続的に治療か療養していれば、使われるのは「抢救期间」(救命活動中)ではなく「病重期间」(重病で入院中)だ。つまり、李克強の死は突然だったということになる。公式では。 夫婦でトップバッター  李鵬の葬式や、鄧小平の寡婦・卓琳の葬式に江沢民が夫婦で参列したことはあった。花も夫婦での連名だっ

      • 李克強の死去

         27日未明、李克強が休暇中の上海で心臓病を発症し亡くなったとの報道があった。「李克強同志逝去」という記事の全文は以下のとおりだ。  訃告は後で出されるとのことなので、簡単な内容になっている。  李克強を含めた総理、全国人大常務委委員長、全国政協主席経験者クラスは、党中央、全国人大常務委員会議、国務院、全国政協名義で訃告が出される。ここ10年だと、李克強以外では万里や喬石がこれに相当する。  鄧小平や江沢民ら核心クラスは、中央軍事委員会が名義に加わり、「告全党全军全国各

        • 習仲勲はもっと偉くなっていた

           10月15日は習仲勲の生誕110周年記念日だった。  1996年に出された『中共中央办公厅、国务院办公厅关于举办已故党和国家领导同志诞辰纪念活动的通知』で、いわゆる党中央の記念行事について、どう催しを開くべきかが規定されている。  同通知の3年前、1993年に生誕100年を迎えた毛沢東は間に合わなかったが、10年ごとに党中央が記念活動を開催すると規定している。110年、120年の際はいずれも当時の総書記が重要講話を行っている。  党大会の冒頭で毛沢東に続いて哀悼の意を

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          秦剛の処分は思ったより重いかもしれない

           外交部長を解任されただけでは、傍証が無さすぎてなんとも判断に困っていた。これが人力資源社会保障部長や民族事務委員会主任、もしくはどこかの省委書記ならここまでの騒ぎにはならなかった。  外交部長は他の閣僚より海外との往来や露出が多い。コロナ期間中も休まず外遊を続けていた3人のうちの1人である外交部長だから、急ぎ首をすげ替えたのだというのはなんとなくわかる。  体面を気にしないのであれば、王毅を外事弁主任のまま外交部長の仕事をさせて、適当な時期に外交部長を交代させるだけでよ

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          河北省は北京の捨て駒

           8月1日、河北省トップの倪岳峰書記は、台風被害を受けた邢台市、保定市、雄安新区を視察した。  保定市を視察時、倪岳峰は「北京と雄安新区に隣接する保定市は、水害防止の負担が非常に大きい激務である」という趣旨の発言をしている。保定市の北部に位置し、北京市南部に隣接する涿州市が、永定河などの河水放出を受けて水没したのは間も無くのことだ。 (涿州市は保定市の一部)  視察時に「坚决当好首都“护城河”」との発言が出たことが話題となった。「断固首都の『周囲の堀』にならなければならな

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          秦剛外交部部長の解任

           6月25日、スリランカとベトナムの外相や、ロシアの副外相と会見したのを最後に、秦剛外交部部長の動向が伝えられなくなった。  7月4日には上海協力機構の元首理事会を欠席している。  過去の元首理事会には、習近平のお供として中央弁公庁主任、中央外事弁主任、外相が揃って同席しているので、この会議には秦剛が出席して当然なのだが、実際に出席したのは蔡奇(中央弁公庁主任)と王毅(中央外事弁主任)のみだった。  勤勉なウォッチャーならこの時点で秦剛に異変ありと気づいたことだろう。

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          習遠平も偉くなっていた

           習遠平をご存じだろうか。  習近平の弟で、自分より二回り若い嫁をもらっているというけしからん男だ。  2014年、深圳特区報へ寄稿した父・習仲勲をテーマにした文章の後半で、「2005年,我和张澜澜恋爱了」(2005年。私は張瀾瀾と恋に落ちた)から始まる、気持ち悪い自分語りでその事実が明るみとなった。  張瀾瀾の現役時代は教養不足で知らないのだが、それなりに顔を知られた芸能人で、2008年の春晩後に突然姿を見せなくなったので当時は騒ぎになったようだ。  遠平は寄稿文で

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          陳希は良き同志なり

           陳希は第19期政治局委員、中央書記処書記、組織部部長、中央党校校長だ。  中央党校校長は共産党党員中堅幹部の養成機関であると同時に、2018年に「深化党和国家机构改革」の一環で、公務員の養成機関である国家行政学院を事実上吸収している。  两块牌子というやつで、党と国家機関の看板が1つずつかかっているが、実際は党の機関になっているのだ。  また、組織部は同改革で国家公務員局を吸収し、党員のみならず政府機関の人事も掌握するようになった。  1993年以降、実際の業務は常

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          国家機構人事のできるまで

           昨年10月に開催された第20回党大会の人事決定後にも出てきた『领导人员产生纪实』。  国務院、全国人大と全国政協といった国家機構の指導部人事が決定した今回も、どのように構成されたかを説明する文章が出てきた。  便宜上、今回出てきた纪实を2023年版、前回のを2018年版とした。原文と翻訳との併記なので、間違いがあればご指摘ください。 胡春華政協副主席は半年前に決まっていた  当たり前といえば当たり前だが、党人事と政府人事はリンクしていて、中央委員が決まってから政府人

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          政協副主席にならなかった人の話

           第14期全国人大、全国政協が閉幕し、習近平3期目の陣容が固まった。特に驚いた人事はなく、事前に予想できたり、漏れ伝わってきた通りの人選だった。  第20期は全国政協副主席を兼任する閣僚級はいなくなった。替わりに、全国政協常務委員を兼任する閣僚が複数誕生した。宋濤、易鋼、李小鵬の3人だ。  いずれも、政協委員に選出された時点では副主席を兼任するものと考えていたが、そうはならなかった。  共通するのは、3人とも第20期の中央委員に選出されなかったところだ。中央委員は正部級

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          胡春華政協副主席誕生祝賀会場

           18日、第14期全国政協会議の委員名簿が発表された。常務委員序列第4位の王滬寧が委員に選出されており、全国政協主席に就任するのはこれで確定となった。  その他で目を引いた人選を、人事の方向性で4種類に分けて紹介する。 A:上がり人事  Aは従来からある副国級の上がり人事で珍しいことではない。王勇は国務委員を二期務め、今年67歳なのでおかしい人事ではない。  おかしいのは、総理、副総理が全交代となった国務院の方だ。国務委員にしても、肖捷以外は交代が確定している。  

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          党大会後の人事で見えてきたこと

           8日、政治局委員が兼任している地方自治体トップの書記が全員入れ替わり、残った政治局委員の行き先も見えてきた。まずこれで確定だろう。  中央書記処書紀を兼任している李干傑の組織部部長は確定だが、なぜさっさと組織部部長に就任しないのかわからない。同じ党直属部門の長である、宣伝部部長や統一戦線部部長は、党大会後すぐに交代しているのにだ。  政治局委員が絡むトップの交代には、組織部部長が現場で宣言するのがしきたりになっている。今期は北京、上海、広東、福建、陝西、遼寧、浙江、重慶

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          胡錦濤、江沢民の告別式に現れる

           5日午前、江沢民の告別式が北京市内にある人民解放軍総医院内で行われた。  10月22日の党大会最終日に主席台から半ば連れ去られるようにして姿を消した胡錦濤も参列し、引き続き政治的に問題ないことがわかった。  引き続き、というのは、胡錦濤は江沢民の死去当日に発足した葬儀委員会の委員に名前が出ており、この時点で政治的に問題があれば名前が出てこないと考えられるからだ。  なお、胡錦濤は総医院での告別式にのみ参列し、遺体が火葬される八宝山には同行していない。  胡錦濤の体力

          胡錦濤、江沢民の告別式に現れる

          江沢民同志葬儀委員会名簿の順番

           を考えてみたい。  以前は単に先任順だった常務委員の序列は、国務院総理、全国人大常務委常務委員長、全国政協主席を普通の常務委員より上位に、常務副総理をその次に位置付けている。  李強、趙楽際、王滬寧は翌年3月にならないと就任しないが、まあそういうことだろう。  国家副主席は19期では常務委員の次位に位置づけられていたのでこの位置。  総書記経験者はそれまで総書記の次位に置かれていた。16期なら胡錦濤、江沢民、その他の16期常務委員という並びになる。  胡錦濤退任が

          江沢民同志葬儀委員会名簿の順番

          中央委員の顔ぶれを考える

           某工作室代表にがぶり寄られてからはや5年。時の経つのは早いもので、次の中央委員会が始まってしまった。 胡春華の格下げ  政治局常務委員、政治局委員から中央委員への格下げというのはそう滅多に起こるわけではない。1987年以降で胡春華を含めて4例しかない。  楊汝岱、李鉄映はともに66歳で政治局委員を退任して、政協副主席、人大副委員長に就任しており、いわゆる降格とは違うので除外した。  胡耀邦は学生運動への対応が甘かったことがきっかけで、長老たちの猛攻撃に遭い総書記を解

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