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安倍への弔電を読む

 津上先生からリプが飛んでいた。ご趣旨としては安倍への評価が低いのではないか、ということだと理解している。

 差し当たり、安倍を含めた各国の政治家9人の弔電を比較してみた。いずれも大統領か総理、あるいはそれに相当するポジションを務めた面々ばかりだ。

 他の政治家は、対中関係の発展以外に内政や外交についても言及がある。安倍が対中関係以外の分野で、政治家としての手腕について全く触れられていないのとは対照的だ。

 ここら辺は評価していないというより、評価するとすればプラス方向にしか評価できないため、いろいろ差し障りがあるから避けたと考える方がいいだろう。

 そんな理由で安倍の功績は日中関係の改善・発展のみに費やされているわけだが、その評価は「有益な貢献」止まりで、他の8人が「突出した貢献」であったり、「積極的に貢献」であることを考えると、それほど評価しているとは思えない。

 安倍は日中関係改善以外に何もしていないかのような書き方なのに、それすら他と比べると評価されていない。

 これは李克強の弔電も同じで、李克強も安倍は日中関係の改善と発展についてしか評価していない。李克強は「積極的な貢献」と評価しているので、習近平よりは評価は甘めだが。

 今年の1月に海部さんが亡くなった際は、習近平ではなくて李克強が弔電を送っている。安倍のカウンターパートではない習近平が送ったことに意味があると考えてもいいが、

「海部先生是日本資深政治家,曾為推動中日關係改善發展作出重要貢獻」
(海部氏はキャリアの長い日本の政治家であり、これまで中日関係の改善と発展に、重要な貢献を果たした)

 という評価は明らかに安倍より上だ。安倍の唯一の功績である中日関係の改善と発展には重要な貢献をしているし、安倍には無かった「資深政治家」(キャリアの長い政治家)との評価もある。

 超党派議員団に使われる以外に「資深政治家」を見ないのでこれが評価なのかという気もするが、それすらない安倍、ということになる。

 「中國人民的老朋友」(中国人民の古い友人)ではないのは良い。村山富市クラスでないと、日本人でこの称号を勝ち取るのは無理だし、鳩山、菅、2Fといった他のメンツを見るともらわないほうが賢明だろう。

 「中国人民の古い友人」は、中国に対して友好的な首脳に与えられる称号である。安倍は第一次内閣前の「小泉よりさらに小泉」評価に比べれば良化はしたものの、友好的との評価を受けるまでには至らなかった。

 死去については「深切的哀悼」で、北京五輪招致に功績があったとするロゲや、同じ共産圏であるベトナム首脳が「沈痛(的)哀悼」であることを考えると、一歩遅れをとっている。遺族への態度は「慰問」のみで、「誠摯」(誠実)や、「沈痛」が無い。なかなかの塩対応だ。

 彭麗媛が昭恵に弔電を送っていることを除けば、かなり評価が低いと言わざるを得ない。


博物館は1、安倍は3

 国家博物館の専門家への返信より扱いが低い時点でダメだと思う。

==参考消息==
http://aqurelliste.seesaa.net/article/454339597.html

https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202201/t20220119_10630418.shtml

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