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胡春華政協副主席誕生祝賀会場

 18日、第14期全国政協会議の委員名簿が発表された。常務委員序列第4位の王滬寧が委員に選出されており、全国政協主席に就任するのはこれで確定となった。

 その他で目を引いた人選を、人事の方向性で4種類に分けて紹介する。

A:上がり人事


 Aは従来からある副国級の上がり人事で珍しいことではない。王勇は国務委員を二期務め、今年67歳なのでおかしい人事ではない。

 おかしいのは、総理、副総理が全交代となった国務院の方だ。国務委員にしても、肖捷以外は交代が確定している。

 唯一行き先が未定の肖捷は中央委員に再選されているとはいえ、国務院から離れることも考えられる。国務院の上層部が(ほぼ)入れ替えというのは今までなかった。

B:統戦強化を感じる人事


 候補委員→政治局委員の王剛という例外もあるが、Bは今までになかった中央委員から政治局委員に昇格したパターンだ。石泰峰がこれに当てはまる。政治局委員が統一戦線部部長を兼任することはこれまでなく、丁関根が政治局候補委員だったことがあるのみ。

 その丁関根は鉄道事故で鉄道部部長を引責辞任しており、中央政界に復活する足がかりにしていたり、同じく中央弁公庁主任から福建省省長という3ランクダウンくらいの左遷を食らった王兆国が、これまた中央政界復活の第一歩となったのが統一戦線部部長で、とりあえずの腰かけ感があった。

 最近では失脚を控えていた令計画が務めていたりと、扱いが悪い。
 
 悪かったが、政治局委員兼任となった今期は、統一戦線部門への予算増加が見込まれる。台湾だけでなく、日本への浸透も強化されるかもしれない。

C:共青団出身者がまとめて葬り去られる


 Cは上がりポストには違いないが早期引退だ。厳密に言えば、政協送りは引退ではなく「第二線に退く」である。胡春華がこれに当てはまる。

 第19期の張春賢や劉奇葆など、政治局委員から中央委員に格下げとなりながら副国級を維持した前例はあるし、おそらく序列3位くらいの全国人大常務委副委員長に落ち着くのだろうとは思っていたが、こうして現実を見せられると驚く。それにしても、全国政協か。

 中央紀律検査委の全体会議の出席者で、「二十届中央委员的其他党和国家领导同志」という表現が出た。第20期の中央委員で、現時点で党と国家の領導同志を兼任しているのは、もちろん胡春華同志のことに他ならない。

 「(其他常務委員)和国家副主席」みたいに、状況を正確に描写しているだけとはいえ、なんかもうコケにされるだけされている感がある。

 二期続けて全国人大常務委副委員長だった沈躍躍は、三期続けられないので、政協に鞍替えとなった。

 組織部副部長からの全国人大、政協という華麗なステップ。中央委員歴も五期目に入り、現役単独トップに躍り出た。

 二期連続で最高人民法院院長の周強や、第20期は中央委員を落選した李小鵬も政協委員に選出されており、前者は副主席、後者は常務委員になるとみられる。それでも楊晶みたいに格下げされないだけマシなのかもしれない。

 李小鵬はともかく、これで政界に残っていた目ぼしい共青団出身者は一掃されてしまった。

D:大事な人の延命措置

 Dは習近平が使い始めた人事のやり方だ。習近平時代になってから、政協→一線に復活というパターンが増えているので、油断がならない。

 中央委員を外れても閣僚級ポストを任期満了まで務めさせるため、副国級の政協副主席を兼任させるのが狙いだ。第18期の周小川や、中央委員は外れていないが第19期の何立峰、王毅などが該当する。

 対外連絡部部長解任、政協委員就任、中央委員落選のわかりやすい三連コンボで一線からの引退と思いきや、国務院台湾事務弁公室主任に就任した宋濤がこれに当てはまる。

 宋濤は新しく閣僚級ポスト就任→政協委員選出の順番だったので確定だが、易鋼は央行行長を殷か誰かに取られる可能性は残っており、まだ余談を許さない。

 今回のDに限定していえば、普通に中央委員に選出すればいいはずなので、中央委員をこれ以上増やしたくない理由があるのかもしれない。

 注目というほどではないが、初代香港特区行政長官の董建華、退任したばかりの林鄭月娥の名前がなかった。前者は高齢で最近姿を見せていないというので残当。

 後者は689以下の貢献度という判断だろう。思ったより買われていないのだった。

==参考消息==
http://www.news.cn/politics/2023-01/18/c_1129294899.htm
https://tv.cctv.com/2023/01/09/VIDERyqgn7nBZxu10QXuNrde230109.shtml


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