習仲勲はもっと偉くなっていた

2023年10月17日 21:09

　10月15日は習仲勲の生誕110周年記念日だった。

　1996年に出された『中共中央办公厅、国务院办公厅关于举办已故党和国家领导同志诞辰纪念活动的通知』で、いわゆる党中央の記念行事について、どう催しを開くべきかが規定されている。

　同通知の3年前、1993年に生誕100年を迎えた毛沢東は間に合わなかったが、10年ごとに党中央が記念活動を開催すると規定している。110年、120年の際はいずれも当時の総書記が重要講話を行っている。

　党大会の冒頭で毛沢東に続いて哀悼の意を表される周恩来、劉少奇、朱徳、鄧小平、陳雲といった、正国級の中でもぶっち切りの元老クラスは、10年ごとに記念の文章が発表され、党中央の名義で座談会が開催されることになっている。

　座談会は常務委員が出席して講話を行い、また生誕を祝われる対象の故郷でも座談会を開催すると規定されている。

　習仲勲は通知の二に相当する元老級はおろか、通知の三に当たる総理や全国人大常務委員長など正国級よりさらに格下の副国級だ。通知だと四になる。

　今回は110年なので、規定通りなら記念イベントは開催されないことになっている。しかし、この規定を無視して、陝西省が大々的に習仲勲の記念イベントを開催した。もちろん無視しているわけではなく、党中央の許可は得ているだろう。

　10月15日、習仲勲の生まれ故郷である、渭南市富平県に陝西省委書記をはじめ、主だった省幹部、広東省委副書記などが出席している。

　一族代表として出席した習近平の弟、遠平も確実に偉くなっている。参加者の紹介順は趙一徳省委書記→習遠平→曲青山中央党史・文献研究院院長となっている。趙一徳も曲青山も中央委員なので、習遠平は中央委員クラスの扱いをうけているということになる。

　10年前に党中央名義で開催された100周年は、習近平は出席こそしたものの発言はなかったが、今回は普通に遠平が講話をかましている。爸爸说などとは言わないので一線を引いている感じはあるが、毎回父親の武勲を話すその様は毛新宇と変わりない。

　前出の座談会に省委副書記を送り込んだ広東省は、10月8日に香港深圳サイエンスパーク建設に関する学習会を開催。宣伝部長から都落ちした黄坤明省委書記は、習仲勲に4回言及し「優良な革命の伝統を継承しなければならない」、「習仲勲同志の信仰、信念、覚悟を学ぶべきだ」と持ち上げている。

　習近平の重要講話や中央委員会精神ならこういう言及は珍しくないが、個人をここまで持ち上げるのはなかなか見られない。

　15日には陝西省委機関紙の『陝西日報』が、一面を全て習仲勲特集に振っている。習近平が一面に全く掲載されないというのは流石に見たことがない。

　広東省委機関紙の『南方日報』は、一面こそ通常の報道に譲ったが、二面を全て使って習仲勲特集で潰すという力の入りよう。ええんかこれ。

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