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秦剛の処分は思ったより重いかもしれない

 外交部長を解任されただけでは、傍証が無さすぎてなんとも判断に困っていた。これが人力資源社会保障部長や民族事務委員会主任、もしくはどこかの省委書記ならここまでの騒ぎにはならなかった。

 外交部長は他の閣僚より海外との往来や露出が多い。コロナ期間中も休まず外遊を続けていた3人のうちの1人である外交部長だから、急ぎ首をすげ替えたのだというのはなんとなくわかる。

 体面を気にしないのであれば、王毅を外事弁主任のまま外交部長の仕事をさせて、適当な時期に外交部長を交代させるだけでよかった。内向きのポストである国務委員はそのままにして、外交部長をいち早く交代させたのは、外交部長が不在という状況を打破したかったのではないか。などと考えてみた。

 秦剛が8月16日の国務院全体会議を欠席した。国務院全体会議は、総理、副総理、国務委員、各部長、主任、人民銀行行長、審計長、秘書長が出席すると規定されている。

 今回の第二回全体会議は、ベラルーシとロシアへの訪問期間と重なるので、李尚福国務委員が欠席するのはわかっていた。出席するとは思っていなかったが、秦剛もいなかった。

 今回の席次は以下の通りだ(かっこ内の数字は序列を表す)。本来なら、呉政隆の向かって左側に着座しているはずの秦剛は姿を現していない。

8月16日の国務院総理全体会議。昆明滞在中の王毅もいなかった

 呉政隆(8)=劉国中(5)=何立峰(3)=李強(1)=丁薛祥(2)=張国清(4)=王小洪(7)=諶貽琴(9)

 当初、外交部が使っていた言い訳が真実だとして、健康問題で欠席しているのなら話は別だが、2ヶ月近く姿を現さず、また会議に出席しないというのは、会議に出席できないステータス異常状態になっていると考える方が自然ではないか。

 国務委員で同じような例が過去になかったかと探してみると、第18期中央委員、中央書記処書記、国務委員だった楊晶がいた。

 楊晶は64歳で2017年10月の第19回党大会を迎えた。中央委員留任なら全国人大常務委副委員長か、全国政協副主席に横滑りも考えられたが、中央委員には再任されなかった楊晶は、色々噂はあるがこのまま引退だろうと考えられていた。

 ところが、国務院の人事が一新される2018年3月の第13期全国人大第1回会議を前にした2月24日、中央紀律検査委員会から楊晶の紀律違反と、副国級から正部級への降級が発表された。

 また、同日に開催された第12回全国人大常務委員会は張徳江委員長の提案により、楊晶を国務委員、国務院秘書長から解任すると決定されている。

右から3人目が楊晶さん

 楊晶は処分内容が軽微だったこともあるのだろうが、処分発表まで国務委員でありつづけたし、処分発表の1ヶ月前に開催された国務院全体会議にも出席している。

 処分発表を前に外交業務に差し障りがあるとはいえ外交部部長を解任され、国務院全体会議に出させてもらえない秦剛は、楊晶より厳しい判決が下るのではないか。

 という文章を書こうとしていたら、国務委員から2人目が出そうな展開になってきたので、慌ててまとめた次第。外交部もデマ認定せずに知らないと答えるものだから、余計に真実味が増してしまうのだが、なんとかならんのか。

==参考消息==
http://www.news.cn/politics/leaders/2023-08/16/c_1129806618.htm
https://www.gov.cn/zhengce/content/2023-03/24/content_5748128.htm
https://www.gov.cn/guowuyuan/quantihui.htm
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/24/c_1122448544.htm
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/24/c_1122448701.htm
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/24/c_1122448797.htm
https://www.gov.cn/guowuyuan/2018-01/22/content_5259453.htm
http://politics.cntv.cn/leaders/person/yangjing/
https://note.com/aquarelliste/n/n44e5982b5de4

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