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利害関係のある相手に恋してしまったら?

上司が部下に好意を持つこと。
顧客が営業担当者に好意を持つこと。

一般的によくあることなのかもしれませんが、なかなか上手くいかないのが現実です。
とくに男性の場合、下手に動けばあっという間にセクハラ認定されてしまいますから、注意したいところです。

かくいう私も、上司やお客様に好意を持たれた経験があります。
いずれも、ほんの数年前の出来事ですが、なんともいえず不快な思いをしました。

まず、直属の上司だったE課長。
私の仕事ぶりだけでなく、人間性や容姿についても躊躇することなく好意的なコメントをする人で、ストレートな発言内容に辟易することもありました。
当時、時短勤務だった私の営業エリアは車で20分圏内に限られていましたが、一社だけ車で1時間のところにある取引先(A社)を担当することになりました。
ある日、「一緒に挨拶行こう」と言われ、E課長の運転でA社へ出向きました。
上司との営業同行はよくあることですが、E課長がわざわざ下調べをして、そのあたりで一番おしゃれなランチのお店をチェックしていたことに、まず違和感。
「部下にも絶対に奢らないケチな上司」で有名なE課長に、その日、私はランチをごちそうになりました。
その帰り道、「ちょっと、こっちから帰ってもいい?」と、わざわざ遠回りして海岸線へ車を走らせるE課長。

「ぼくは、海とかこういうキレイなものを眺めるのが好きでね。…だから、朝霧さんの顔を見るのも好きなんだ」

鳥肌。そのあと何を話したのかは、まったく覚えていません。
その日以来、E課長から「また一緒にA社に行こう」と、頻繁に誘われるようになりました。私にとっては単なる営業同行でも、E課長はドライブデート気分だったのでしょう。
頻繁に「A社に行こう」と誘われるのが苦痛で、女性の先輩に相談し、A社の担当を代わってもらいました。
E課長は「もう、一緒にA社行けないな…」とガッカリしていましたが。

私が転職の意向を告げた時、E課長は大げさでなく泣きそうなのを必死でこらえていたそうです。そして、面談という名目でランチに誘われました。
その日、まだ10時にもならないうちから、E課長は何度も時計をチラチラ盗み見ては、立ち上がってウロウロし、席へ戻ってまた時計を眺め…と、露骨にソワソワ。
(E課長が)待ちに待ったランチの時間、何千円もするサーロインステーキ定食を注文させられそうになった私は、慌ててお断りして日替わりランチを注文。
その時も、何を話したのかはほとんど覚えていません。

退職日が近くなると、

「思い出づくりに食事にでも行こう。ちょっと遠いけど、美味しい店があるんだ」

と誘われましたが、もちろん「夜は出られないので…」とお断り。最終日には、私を引き止められなかったことに対して、

「女の子を口説くのは得意なんだけど、朝霧さんだけは口説けなかったな」

と、気持ちの悪い比喩を使われ、最後の最後まで、最悪の印象を残してくれたE課長です。

そして、これは次に勤めた会社での出来事です。
それまでは法人営業でしたが、今度は慣れない個人相手の営業。顧客のKさんは、前任者から引き継いだお客様。
2回目に訪問した際「お願いしたいことがある」と、仕事とは直接かかわりのない頼み事をされました。
売り上げにはつながらなくても、営業には御用聞きとしての側面もありますから、頼み事をされれば無視はできません。「紹介したい人がいる」といわれれば、営業ですから多少の欲も出ます。

その「頼み事」の件でアポ取りの電話をすると、Kさんは必ず「報告したいこともあるので、お昼を食べながらにしましょう」といいます。
何度目かに会った時、

「初めて朝霧さんに会った時、素敵な人だな~と思って…」

わざと、私に頼み事をしたのだと打ち明けられました。もう、嫌な予感しかしません。
3回目の(仕事を兼ねた)ランチのあと、別れた直後にKさんから電話がかかってきて、「ウチで採れた野菜があるから、もらってくれない?」と。
田舎なので、お客様から野菜をいただくことはよくあります。
「ありがとうございます、あとでご自宅へ寄ります」
と返事をすると、
「畑が家から少し遠いから、〇〇っていう店の駐車場で待ってて。そこなら、ウチの畑からすぐだから」
と、Kさんの自宅から少し離れた喫茶店を指定されました。
1時間後にそこで野菜を受け取り、帰ろうとしたところ、

「ちょっと寄って行こうよ、ね」

と、店を指さし、私の腕を引っ張ります。1時間前に一緒にお昼を食べたところなのに…。
「いえ、もう事務所に戻って仕事しないと」と言っても、

「ちょっとだけ、ね、ちょっとだけ。夜も、一緒に食べてもいいかなと思ってるんだ」

と、食い下がる。

私「夜は出られないので。もう帰ります!」
K「ダメ? じゃあ、年内にもう一度会おうよ」
私「明日大掃除で、明後日から年末休みなので」
K「じゃあ、年明けに…」
私「ほんとにもう帰らないと。それじゃ!」

Kさんの鬼気迫る様子に恐怖を感じ、振り切るようにして帰ったことだけは覚えています。

以降、「頼み事」や「紹介」の話とは関係のないメールがたびたびくるように。ずっと無視を決め込んでいましたが、私のストレスはピークに達し、携帯が鳴るたびに動悸がするようになりました。
我慢の限界と同時に、

“Kさんの担当が交代になりました。また後任の営業が挨拶に伺うと思います”

と、一方的なメールを送りつけ、あとのことは事後報告で先輩の営業マンにすべて託しました。

私だって、なにも最初からE課長やKさんを毛嫌いしていたわけではありません。
男性が部下や営業担当の女性に好意を持つこともあるでしょうし、その気持ちを否定するつもりはありません。

ただ、彼らは明確なミスを犯しました。
その結果、私は動悸がするほど追い詰められ、彼らは好意を持っていた相手から毛嫌いされるまでに落ちたのです。

その「ミス」とは何だったのか?
そして、利害関係のある相手、セクハラ認定される可能性のある相手に好意を持ってしまった男性はどうすべきなのか?
ちょっと長くなってしまったので、次回お話ししたいと思います。

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