10歳以上若く見えるとか、40歳を超えてるのに20代に見えるとか、そんな人はまずいないと思ってます。

確かに、パッと見の印象で若く見える人はいます。
だけど、よく見るとやっぱり20代の子とは違う。肌のハリとか質感とかね。

なかでも、とくに40代という年齢を感じさせるのが、顎のライン。決して太っていない人でも、年をとると顎のラインってなんとなくぼやけてくるんですよね。
だから、横から見た時、油断している時、実年齢がハッキリ出てしまうんです。

ただ、第一印象で若く見える人は、当然ながら、

「若く見えますね」

と、言われる機会が多いです。
もしかすると、あとになって「よく見ると年相応だな」「やっぱり本物の20代とは違うな」と思われているのかもしれないけど、わざわざ本人に「そうでもなかったです」「よく見たら年相応でした」とは言いませんからね。
結果として、若く見られた実績が1つ増えるわけです。

あと、若く見えるか否かは、見る側の主観によるところがかなり大きい。
「○○さん、若く見えるよね」「え～そうかな～」なんて会話、あなたも交わしたことがあるのでは？

この場合、若く見えると感じた人は、

「若く見えますね」

と、口に出して言ったりもしますが、そう感じなかった人は、わざわざ本人に向かって、

「老けて見えますね」
「年相応ですね」

とは言いません。

このようにして、第一印象や主観によって「若く見られやすい」人の中では、“自分は若く見える”という情報だけが蓄積されていき、そうは思わない人もいるということには、思い至らなくなってしまうのです。

さらに、“自分は若く見える”という自信を持ってしまった人は、無意識のうちに「若く見えますね」という言葉を要求するようになります。
あるでしょ？

「若く見えますね」

って言ってほしいんだな～…という空気感。
すると、こちらはやはり「若く見えますね」って言ってあげなければと思いますから、相手はさらに自信を深めていくという悪循環…。

補足しておくと、頻繁に「若く見えますね」と言われる人は、実際に若く見えます。
だけど、せいぜいマイナス5歳くらい。
40歳が35歳に見えることはあっても、20代にはまず見えません。

これは、もう10年以上も前のことになりますが、当時勤めていた職場に、若く見えることに絶大な自信を持った50代半ばの女性がいました。
仮に、小宮さんとします。

ある日、小宮さんは客先から帰って来ると、

「『小宮さんはおいくつですか？』って聞かれたから、『いくつに見えますか？』って聞き返したの。そうしたら、『45歳くらいですか？』ですって。10歳も若く見られちゃった」

と、それは嬉しそうに報告してくれました。
すると、彼女と付き合いの長い男性上司が、

「いくつに見えるって聞かれたら、普通は思ってるより5歳くらい若く言うだろ。だから、実際は50歳くらいに見えたってことだな」

それでも若く見られたことに変わりはないのに、小宮さんは明らかにムッとして、

「そんなことない。本当に45歳に見えたんだから」

と、不貞腐れる始末。

この時、私は思いましたね。
若く見えることに執念を燃やしてる人って、怖いし見苦しい。
これから40代、50代になっても、若さに固執するような生き方だけはしたくないと。

小宮さんにまつわる逸話はいろいろあります。
たとえば、転職してきた西山さんという40代の女性と話していた時のこと。
小宮さんが、聞かれもしないのに例の質問をしたのです。

「私、いくつだと思う？」

次の瞬間、

「55歳くらい」

黙り込む小宮さん。空気が凍りついた瞬間でした。
西山さんはあとから、

「ああいう質問する人、嫌いなの。若く見えるって言ってほしいんだろうなと思ったから、正直に言ってあげた」

と、笑ってました。

実際、小宮さんは若々しく、小ぎれいにしていた方だと思います。
それでも、「小宮さんって、まだそんな年齢なの？　もう60過ぎてるかと思った」と言う人もいましたね。
人によって、見え方はこれだけ違うのです。

ちなみに、私が会うたびに「素敵だな」と思う50代女性が2人います。
彼女らは本当にお美しいし、とてもモテる。だけど、特別若くは見えません。
アラフォー美女として名高い女優さん、井川遥さんや篠原涼子さん、吉瀬美智子さんだって、さすがに20代には見えませんよね。

ちなみに私も、若く見えると言われることはあります。
30代後半にして、「まだ20代くらいのお嬢さんかと思った」と言われたことも何度かあります。
でも、そういう人は単純に、本物の20代女性との接点がないだけなんだと思っています。
本物の20代を知っていたら、アラフォーの私が20代に見えるはずがない。比べてみれば一目瞭然です。
実際のところは年相応か、誤差の範囲で5歳くらいは上にも下にも見えるかな、といったところでしょう。
元々が老け顔だし、私はそれで十分満足です。