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空気を読めない男は嫌われる

先日、仕事関係の忘年会に参加した時のことです。
30人ほど集まって、女性は私ひとり(女性の少ない業界なのです)。
参加者は大半が顔も知らない人でした。
同じテーブルに、同級生の笹田君(仮)という子がいました。
仕事でもプライベートでもちょいちょい顔を合わせる機会があるので、久しぶりというわけではありません。
少し遅れて到着した私に「よお」と手を挙げて挨拶する笹田君。
私は笹田君から一つ置いた席に座り、隣の席のお互い顔だけは知っている(そして挨拶くらいはしたことがある)笹田君の先輩と話し始めます。
話の流れで、

「私、笹田君と同級生なんです」

と言うと、彼は笹田君に向き直り、

「え、そうだったの? お前、そんなこと言ってた?」

そして、再び私の方を見て、

「中学の同級生? 高校?」

と質問する。
私よりも先に、笹田君が先輩の背中に向かって、「保育園から中学校までずっと!」と答える。

最初は「知らない人ばかり、どうしよう」と少し不安でしたが、隣の席と前の席に座っていた笹田君の先輩が人当たりがよく話しやすい人たちだったおかげで、思いのほか楽しい時間を過ごすことができました。

ところが、問題はこのあとです。
隣の席の先輩が笹田君に、

「笹田、どうやって帰るの?」

と聞きました。
すると、笹田君は唐突に私を指さしたのです。

「送ってもらう」

…え?

私はお酒が飲めないので、確かに自分の車で来ていました。
だけど、「送ってもらっていい?」の一言もなく、「送ってもらう」というのは、ちょっとないんじゃないか。
同級生だったら、本人の了承なく「送ってもらう」と決めてもいいの?

笹田君の先輩方が声を揃えて「それはダメだろ」「ダメ、絶対ダメ」と言ってくれたので、

「え、なんで? 別にいいだろ?」

と、了解を求めてくる笹田君に、

「みんなダメって言ってるでしょ」

と、やんわりお断り。

「いいじゃん、ダメ? いいんだろ?」

ああ、しつこい!
いい大人なんだから、少しは空気を読んでほしい。

「奥さんに電話すれば、迎えに来てくれるでしょ?」
「送ってもらって、また迎えに来いって言うのも悪いし」
「同級生の女の人に送ってもらうって言ったら、心配して迎えに来てくれるよ」

すぐに奥さんにLINEを打ち始める笹田君。
すぐに返信が来て、

「同級生に送ってもらうって言ったら、わかったって」

ああ、もう!
さすがにイラッときたものの、

「“女の人”に送ってもらうって言った?」

またしてもLINEを打ち始める。

「わかったって」

ややこしいことに巻き込まれるのはイヤだからねと言ったら、

「LINEしてから1時間も2時間も帰って来なかったら、さすがに怪しまれるだろうけど」

と、笹田君はヘラヘラ笑っている。
ダメだ、この男は。

会がお開きになると、私は笹田君とタイミングをずらして店の外へ出る。
笹田君と一定の距離を置き、他の会社の人と話をしながら、全員が店の外へ出るのを待つ。
あきらめて先に帰ってくれないかな…と思っていたんだけど、幹事から解散の合図が出ると同時にこちらへ近づいて来る。

「いい? 帰れる?」

約束していたような言い方、本当にやめてほしい。
私がちょっと躊躇すると、ニヤニヤしながら、

「え? もしかして、誰かと消える予定?」

いい加減、私のイライラも限界だ。

「それより、あんたと消えたって誰かに誤解されるのがイヤなの!」

ハッキリそう言ったにも関わらず、ヘラヘラして後をついてくる。

結局、家まで送ることになったものの、助手席には座らせたくなかったので、

「前、荷物あるから後ろ乗って」

と、後部座席に座らせる。
走り出してすぐに、笹田君の奥さんの話になる。

「嫁さん、まだ30過ぎたところだし、子供欲しいみたいだけど」
「ああ、子供さんまだなんだ」
「うん、だってしてないし」

……。

いきなりシモの話ですか。
その後も、奥さんにとって自分は初めての彼氏で、男はオレしか知らないだとか。
あまりに鬱陶しいので、

「そのうち浮気されるよ、気を付けて」

とだけ言っておきました。

もう、夜遅く強引に女性に車で送らせ、挙句の果てに2人だけの車内で下ネタとか。
気持ち悪すぎて、同級生とは言え二度と会いたくないと思ってしまいました。
それ以上に腹が立ったのは、キッパリと断らなかった自分に対してですけどね。

控えめな人ならば、むしろ「送りましょうか?」とこちらから声をかけてあげたくなるものですが、一方的な仲良しアピール、所有物的な扱いは本当に不愉快。
女性を尊重できない男は、本当に嫌われますよ。

飲み会の最中にも奥さんのことを「30過ぎたらもう若くない」と言ったり、「もっと若い女が好み」だと言ったり。
精神年齢が実年齢に追いついていないのでしょうね。
あれでは、男性を知らない若い女の子にしか相手にされないのも無理ありません。

ちなみに、笹田君は今回4度目の結婚。
学習能力も足りないようです。

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