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TeamLab★ Borderless ~全てのものに境界はない~

第一に

人間はカメラのように世界を見ていない / People Don’t See the World as through a Camera
写真を文字認識するiPhone

文脈/テーマがめちゃ伝わってきた!

この施設がアートか否かについては、いろいろ言われているけど、どっちでもいい(個人的にはアートと言い切りたい)。
商業的にもデカいから、エンタメの展示に見えるけど、アートの良さをたくさん内包していると思う。

観て考えたことをいろいろメモっておきます。

【文脈❶:ボーダーレス】

Untitled

施設名にもある「Borderless」そのまま。

全てのものに境界はない。

人類補完計画を進める、碇ゲンドウの理想と似てる??
ただ、人↔︎人ってよりかは、自己↔︎外界(環境も含めて)の境界の無さみたいなのを言いたいように見えた。

エヴァンゲリオン

①時間的な境界

Bubble Universe: Physical Light, Bubbles of Light, Wobbling Light, and Environmental Light - One Stroke

人間は、歴史の中で時間という概念を創り出し、使っている。
地球からしてみれば、そんな概念は知ったこっちゃない。
太陽は「今昼だなー」って回ってないし、桜が咲くのは「今春だから!」ってわけでもない。

朝昼晩は連続的に変わっていくし、春夏秋冬の区切りもあいまい。
「ここまでは晴れ!ここから曇り!」みたいにくっきりと分けられるものでもない。 

時計が展示内になかったり、景色がスムーズに変わって行ったり、天気が変わったり。時間は連続だという意識をさせられた。

②生死の境界

境界のない群蝶 / Flutter of Butterflies Beyond Borders

生と死についても一緒で、連続的なものだと言える。

展示全体を飛ぶ蝶は、1つの部屋から生まれる。
部屋にいる人に投影されたスクリーンで蝶が生まれ、各作品に飛んでいく。
なので、部屋に人がいないと蝶は展示全体で存在できない。
そして、飛散する蝶を手で触ると死んで落ちてしまう。

人から生まれて人によって死んでいく、この構成も、輪廻転生の思想を感じました。

③空間的な境界

The Way of the Sea in the Crystal World(クリスタルワールド) / The Way of the Sea in the Crystal World

各部屋は扉で区切らず、順路を設定しない。
合わせ鏡を用した、無限に続く空間の表現。
展示空間にも、境界をつくらない工夫があった。

上下左右前後の壁に映るスクリーン、それぞれの壁面の映像がシームレスにつながるようプログラムされていた。システム構築するのめちゃくちゃ大変だと思う。どういうシステム構成なんだろうか。

スクリーン投影される環境は、
海、滝、空、森、花畑、火、風など、、、
自然のテーマを繋げたものが気づかずスムーズに移ろっていて、アハ体験みたいだった。

④知覚間の境界

小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々 / Flowers Bloom in an Infinite Universe inside a Teacup

知覚↔︎知覚が同期されるよう作品を作ってた。

スクリーンを触ると花びらは散るし(触覚と視覚)
部屋を移動すれば違う香りがするし(触覚と嗅覚)
味わおうと器を持てば水面で花が散るし(味覚と視覚)
波が立てば水の音が聴こえる(視覚と聴覚)。

現実で花を触ると揺れたり、散ったりするのは当たり前だけど、そんな当然の現象をアートに持ち込んでいた。体験型と言われる所以はここだと思う。

⑤アートの境界

Walk, Walk, Walk: 探し、遠ざかり、また出会う / Walk, Walk, Walk: Search, Deviate, Reunite

作品↔︎作品の境界があいまい。

各作品間でモチーフが縦断して影響を与え合う。
曲間がなく、場所を移動しても絶えず聞こえるアンビエント音楽。

額に入れる絵画やアルバムの曲間の無音の様に、
作品を区切る考え方とは真逆のアート感を持ってる?っぽい。

⑥自己と環境の境界

Bubble Universe: Physical Light, Bubbles of Light, Wobbling Light, and Environmental Light - One Stroke

撮影OKにしたり、鏡に自分が映るようにしたり、自分で描いた絵がアートに反映されたり。
アートと自己の区別が明確にできない。
「自分がアートの中にいるみたい、一緒に映りたい」という感想は道理にかなっていると思う。

作品の作者を匿名化してるのも、境界を無くす手助けをしているのかも。
チームラボのアーティスト欄にある名前には、個人名はなく会社名だけ。
展示全体のコンセプトを決める会社代表の作品とも言えるけど、会社は集団でもあるので、その点でも作者は1人には絞れない。

【文脈❷:テクノロジー】

①バタフライエフェクト

ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは
テキサスで竜巻を引き起こすか?

全ての事象が互いに影響し合うなら、正確に気象をシュミレートすることは不可能?的なノリの考え方。

そんな自然をアートで表現するためにチームラボはテクノロジーを使っている。   

人の動きを感知するためのカメラセンサー。
AIによってリアルタイム生成された花。
音像と光を同期するためのプログラム。

これらの技術を使って、同じ光景は二度とない、再現不可能な自然を創っていることに惹かれた。

②思ったこと

テクノロジーは有限。コンピュータも物理的なもので限界がある。
どこまで画素数を上げて綺麗な写真を作っても、本物にはならないし、100%の模倣には到達できないと思う。そこにはチームラボは自覚的なのだろうか。

【見つけたモチーフ】

①鳥獣戯画

各作品を廻る行進。

②円相・禅

作品のキャプションにも、禅の考え方が反映されていた。

③葛飾北斎・神奈川沖浪裏

景色にあった。まさにこの絵をプログラムで表現した平面的な波の描写。流体を粒の集合と捉えて、物理エンジンで作ってるらしい。

④陰翳礼讃

暗い部屋で見ることを想定して作られている日本の美。お茶が飲める場所では、この考えを反映してた。

⑤茶

お茶の水面に映る花を見ていれば、自然に「刻限は早めに(ゆとりをもとう)」の精神になる。

⑥書

カラスが飛んだ痕跡が、筆の力強い表現になってました。

⑦群蝶図

蝶が生まれる部屋。

⑧曼荼羅

⑨水墨画

⑩アラベスク

⑪八咫烏

番外:村上隆、スーパーフラット

ほとんどは壁面に投影するスタイルなので、必然的に平面的な表現になる。ただ、そこに映す景色は3DCGで作ったものを平面化しているらしい。

日本画の特徴である平面的表現に挑戦していて、村上隆との共通点を感じました。

【まとめ】

もっと早く行っとけばよかった、、、🏃‍♂️


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