中野サンプラザが来年2023年の7月2日をもって閉館することが発表された。

中野サンプラザといえば、まなみのりさが来年4月1日にラストライブを行う場所。それからわずか3か月で閉館する、ということが決まった訳だ。

もっとも、中野サンプラザの建て替えはそれこそずっと前から言われていた話。こちらによれば、2016年の時点では「2022年頃に閉館予定」と言われていたのだから、予定通りだったら今頃はひょっとすると閉館した後だったかもしれない。4月にラストライブの会場として発表された時も閉館に関する情報がなかったので「まさか閉館が前倒しになって会場変更なんてことは…さすがにないよなぁ？」と思っていただけに、閉館時期が決まって逆にちょっとホッとした気持ちはある。

個人的な話だが、中野サンプラザといえば初めて行ったのはそれこそ35年前に遡る。当時お熱を上げていた島田奈美のコンサートで行ったのが初めてで、最後に訪れた1988年9月は当時の新曲「MOONLIGHT WHISPER」が発売されて、ランキング反映される直後の木曜日。前作「NO!」が10位にランクインしていたので、もしランクインすれば「ザ・ベストテン」の中継があるんじゃないか、とちょっとwktkしてた思い出がある(結局ランクインしなかったのだが(笑))。

それから35年もの間、なんだかんだで中野サンプラザホールを訪れることはなかった訳だが、何の因果かまなみのりさのラストライブで35年ぶりに訪れることになろうとは。そしておそらく、自分にとってはこれが「最後の中野サンプラザ」になるだろう。

思えばまなみのりさが東京初ワンマンを行った原宿アストロホール、2ndワンマンの地である代官山LOOP、3rdワンマンの地である六本木morph-tokyoも今はなくなってしまった。東京だけではない、広島初ワンマンを始め、まなみのりさとは縁の深かった広島バックビートも今はない。

ライブハウスだけではない、「ポラリス」MVを取った広島西飛行場も今はない。DMM.yellの企画で「νポラリスAb」のMVを初披露した新橋駅前「エスタディオ大型ビジョン」も今はない。

そして解散してわずか3か月で、その「最後の地」もなくなってしまう。兵どもが夢のあと。諸行無常を感じずにはいられない。

そう考えると、敢えて「近いうちになくなることが分かっている場所」を選んだのかもしれないな、とも思ったりして。忘れるわけなんてない。でも消えていくことには抗えない。むしろそうやって跡形もなく消えていく美学、みたいなものを選んだんじゃないか、という深読みさえしてしまう。「立つ鳥後を濁さず」というが、場所を残さずとも心の中に消えない爪痕を残す、という覚悟なのかも、とも思ったり。

そしてさらにいうと、そうやって消えていったものの中には、また新しく生まれ変わるものもある。先に挙げた東京3rdワンマンの地である六本木morph-tokyoが良い例だ。unravel tokyoと名前を変えてリニューアルしたこのライブハウスで、去る6/20にかつてのmorph-tokyoの店長だった遊佐さんの主催ライブ「ハピコレ!!vol.0」が行われた。

リニューアルされて全体的にキレイになったし、変わったところもところどころあるけど、高くて観易いステージと音響の良さは相変わらず。そしてこのイベントのトリを務めたのがまなみのりさだった訳だが、まさかこのステージでパフォーマンスするまみりが再び観れるとは思わなかったから、最初のintroduction3で踊ってるのを観ただけでちょっと泣いたよね(´；ω；`)。

消えていくものもあれば、新しく生まれるものもある。そういったことが複雑に入り乱れながらも、それを紐解いていけばこんなことだってあるんだなぁ、とちょっとエモい気持ちになった。

「unravel」の意味は「ほどく」。morphが閉店して跡地に名前の違うライブハウスが入って何となく乗っ取りとか敵対関係みたいなイメージがあったけど、そんな誤解がほどけた気がする。ハピコレに続いてユサソニ、さらには遊佐さんの手がける新しいバンドであるラストランプのワンマンもここで行われることが発表された。良い関係なんだな…って事がわかったから。そしてmorphの意味は「変身する」。名前も姿形も変わってもそのスピリッツは受け継がれていく、っていうことだろう。

昨年発表された再開発事業の内容によると、中野サンプラザは現施設を解体の上、最大7000人収容のホールやホテルなどを複合した新施設を整備するという。そんなリニューアルされた中野サンプラザのホールで、何年後かにまなみのりさXX周年一夜限りの復活、なんてことがあったらエモくないか？などと考えてしまうのですよ（想像するだけなら勝手ですから(笑)）。