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スペインで「諸聖人の日」を過ごす

個人的に、今年は母の逝去で5ヶ月日本に滞在したせいか、
一年がとても早く終わりそうな気がしています。

そして、気がつけばもう11月。

以前にアラゴン州サラゴサのピラール祭について書きましたが、
それから間も無く再び祭日が来ます。

諸聖人の日

です。

カトリックの国であるスペインでは、
宗教に殉じ命を捧げ、聖人と見なされた人々の日、ということで、
亡くなられた家族のお墓参りをする日があります。

毎年11月1日、この日はスペイン全国が祭日で、
お墓参りをするとともに、家族揃ってご馳走を食べる習慣があります。

今年は、週末と離れ連休、飛び石連休にならなかったので、
遠方に住んでいてご実家に行くのを断念された方もいらっしゃるかもしれません。

私たちは、主人の実家の近郊に住んでいた際も、
一族のお墓参りはしたことがありませんでしたが、

その後義父母の家を訪れ、彼らが作ってくれたご馳走を食べ、
この日に食べるたくさんのお菓子を囲んで従姉妹たちとおしゃべりをするのが常でした。

お墓にお供えをする花はそれはそれは豪華で、
年に一回お墓が華やかになります。

そのため、街の花屋さんは大繁盛。
この季節に色とりどり綺麗な花を入手するのは難しそうですが、
年に一度ですものね、お客さんもご先祖様のために奮発します。




スペイン人の死生観、というものは極めてドライで、
大切な人々をなくすことの悲しさはあれど、
自分の生活が続けられなくなるほどの悲壮感はあまりない気がします。

とはいえ、

年一回のこの日は、「故人を思い出す唯一の日」に見えます。
ワイワイと家族が揃って食事をするときも、自然と祖父母、曽祖父母の思い出や、誰が誰に一番似ているか、などの会話に盛り上がるのもこの日だけです。

日本のお盆やご命日の粛々さはあまりありません。
けれども、
とても家族愛に溢れる1日となります。

この諸成人の日の前日がハロウィーンです。
これは日本の迎え盆と同じで、夜にご先祖様たちが家に帰ってくる日です。
そこから、家のない亡霊が彷徨い人々に悪戯する、などという話に
繋がったのかな、と思います。

スペインには本来ハロウィーンと称する習慣はありませんが、
最近では子供達の仮装パーティーを開く学校やご家庭が増えたようです。


ハロウィーンの代わりに、カスタニャーダというお楽しみがあります。
昔はこの日の夜に諸聖人の日を迎える教会の鐘を鳴らすため、
それを待ちながら栗やいもをたき火や暖炉で焼いた習慣がありました。

このように、ヨーロッパではカトリックにちなんだお祭りや祝日がとても多いです。
その度に地域ごとに振る舞われるお菓子があります。

諸聖人の日に欠かせないのが、
カタルーニャではパナジェッツ、他の地域ではマサパン、
と呼ばれるお菓子

アーモンドペーストを固め、いろんな形やトッピングをして綺麗に飾ったお菓子です。
小さい可愛いお菓子ですが、アーモンドとお砂糖がメインの材料なので、
カロリーはボンバー級w。

時には白いマサパンが売られていて、
これは聖人の骨、と呼ばれています。

下段の棒状のが聖人の骨です。

また、ブニュエロスと呼ばれる揚げ菓子もあります。
クロワッサンやパイの生地に近いものをいろんな形に仕上げて油で揚げます。
それに砂糖を塗すのがスタンダードですが、お店ではカスタードやチョコクリームを入れたものもあります。

写真拝借。ちょっとイメージ違いますがこんな感じ。



揚げ菓子は南スペインに多いイメージがあります。
南スペイン出身の私たちの叔父は、これを作るのの名人で、
おまけに彼はこれにたっぷり洋酒を染み込ませます。

家庭それぞれにご先祖様から受け継いだレシピでお菓子や料理を作って
家族や友人たちと楽しく過ごすのも良い供養かもしれませんね。

今回もお付き合いくださってありがとうございました。
みなさん、楽しいハロウィーンをお過ごしください。





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