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ふりぃらんす にっき2

違いがわからない男

音楽制作の中で「音色の違い」に気付けない事があります。私が持っているピアノ音源は4種類ありますが、どれもこれも「ピアノ」です。素人が聞けばそれは間違いなく「ピアノの音」です。その微妙な違いをどれを選択するべきか、という事に時間を割いていたらキリがありません。

とはいえ、楽曲によって向いている音というものはあるものです。豊かな響きのピアノが向いている曲もあれば、できるだけ輪郭線だけが聞こえて、響き自体はそれほど無い方が良い曲もあります。まだ曲がどう組み立てられるかわからない時点でサウンドを固定してしまうことは、その後のアレンジに大きく影響してしまいます。豊かな響きのピアノを最初から使っていれば、その音前提のアレンジになります。

最近珍しく、歌ものを手がけていますが、歌ものは当然「歌」がメインです。歌手の声を前提とした曲作りになりますが、それを考慮に入れないまま曲を作ってしまうと、しまった、ちぐはぐだ、ということになります。

人間の声とは不思議なもので、例えば楽器そのものの存在感が強いと、声が埋もれます。声を全面に出す場合、楽器数が少なくシンプルにまとめるか、もしくは、存在感が強くない音色でまとめるか、の二択になります。

最近の音源は目覚ましい進化を遂げており、ピアノは現実のピアノから忠実にサンプリングしたものが多く広く出回っています。私もそのいくつかを所持しているわけですが、歌モノの場合には「本物に近いから正解」などという甘い考えはしないほうが良いのだと再認識しました。

偽物の方が合う

本物と偽物。偽物、とはここでは「似せたもの」という意味で使います。本物のピアノを弾いて録音したもの、とシンセのピアノを弾いたもの、とを比較して、本物の方が良いに決まってる、という結論は大変危険です。

野菜の話をしましょう。

無農薬で栽培した有機野菜。手間暇かけて、愛情を注がれて作られている「体に良さそうな野菜」です。価格は通常のものよりも倍以上します。良いもの、であることは皆さん知っているはずです。しかし、買いますか?

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