お久しぶりです&米中対立について、雑感

お久しぶりです。
もう体調は十分再開可能な程度には回復しているのですが、回復期間中の世界情勢の変転が激しかったこと、その間に私の興味の対象や研究を続けていくにあたっての価値観がだいぶ変化してしまったことにより、観察対象、観察の着眼点などについて考え込むことが多く、なかなか再開にまでこぎつけないでいます。
ただ、だいぶ煮詰まっては来ていること、昨年春ごろより見始めていたアジア方面の知識も蓄積され、それなりに知見も育まれてきたことなど、大まかなヴィジョンはすでにできている状態です。
さしあたって、欧州観察は中断前の観察対象を見ることとしつつも、それは西側・中露の対立というコンテキストの中で行うことにし、中国の欧州進出と言う着眼点から、例えば中国と関係の深いセルビアやハンガリー、さらに権威主義的傾向が強いポーランドなどEUに「反抗的」な諸国、さらに、昨年末で明らかになったドイツの宥和的な対中政策が今後欧州の進路にどのような影響を及ぼすかなどについて見ていきたいと思います。
さらに、東南アジアは主に私は島嶼部を見ているのですが、例えば中国が南シナ海と南太平洋に進出している状況から中国と米国にとってフィリピンが地政戦略的に重要になるのではないか、などという、私が欧州を見ているときに常に念頭にある「地政学的角逐」という観点をアジアでも行うこととします。加えて同様に中国の地政戦略にとって重要なメコン川流域についても見ることにします。ただ、東南アジアについてまともに書くのはだいぶ先になります。
ずっとこういうことを考えていてもなかなか始まらないので、こうしてしばらくは慣らし運転で簡単なことを書いていくことにしました、何卒お付き合いのほどを。ちなみに、この文章は一般の方々にもわかりやすく書いているつもりだったのですが、「難しい」と知人に言われましたので、難易度を落としていく方向で考えていきます。


米中対立について、大枠の雑感

米国バイデン政権がトランプ前政権の対中政策を引き継ぎ中国とのイデオロギー対立のスタンスを基本路線としているが、こうしたアプローチはバイデン政権の外交政策を縛ってしまうことでもあろう。バイデン民主党政権は民主主義陣営をまとめるとともに対中国戦略で重要な国々を今後自陣営に引き込む努力をすることになるが、その際バイデン政権は対象国の内政に無関心なスタンスでいることは、イデオロギー対立である以上論理的にできなくなっている。例えばミャンマーの軍事クーデターについてだが、このままミャンマーを非難し制裁を行ったらインド洋沿岸において地政戦略的に重要なミャンマーを中国側に押しやってしまうことは避けられないであろう。アジアに限定すればそれは他の「民主主義の途上」にある諸国にも同じである。こうした国々を米中が競って自陣営に組み込もうとするのであるが、米国のこうしたアプローチは、実際不利であろう。そして米国はそういうアプローチを引っ込められない以上、この状況を甘受し、それを前提として対中戦略を練らなければならないであろう。

さらに、もう一つ考えていることがある。これはあくまでも推測どころか想像でしかないし、なんの厳密さもないのだが、とりあえず今後を見ていく指針として私が念頭に置いていることを書いていきたいと思う。
私が考えているのは、欧米が(少なくとも見かけ上は)コロナ対策や経済で中国に「勝てない」ことを見せつけられている現状で、アジア・アフリカ諸国はこうした欧米とどう見ているであろう。これら諸国は欧米思想が「正しいから」導入したのではなくあくまでも「発展したいから」行ったのである。その発展が実は覚束ないことを欧米諸国は彼らの前で見せてしまった、中国が逆に独裁制でそれを達成してしまった以上、欧米の思想、わけても政治思想にこれ以上従っていようと考えるであろうか。さらにはそうした諸国には過去の欧米諸国による植民地支配に対する悪感情がある。欧米諸国の中国に対する劣位(少なくとも見かけ上の)をアジア・アフリカ諸国に見せつけていることは、実はかなり欧米のソフトパワーを毀損するものではないのか。こうしたことは、米中対立が長期化すればするほど、米国が先にはじめたにもかかわらず「攻めきれない」という状態を非欧米諸国にみせつけるものになれば、さらに増幅されるであろう。それに加え、昨年末にEUが中国との投資協定合意を強行してしまったことはかなりインパクトがあったのではないか。

この件では、私はあのEUの決断は現在のEUのパワーの実態を表しているのではないかという観点から調べている。今回の中国との対立でEUは、ロシアとの対峙状況もあるし、対中ではあまりこちらの期待するようなスタンスには身を置かないのではないかと推測されよう。

以上、駆け足で書いてみました。今後しばらくならし運転です。何卒宜しくお願いします。


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