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エアラインパイロットのスケジュール

こんにちは、あらいぐま機長です。
今日はパイロットのスケジュールについての話をします。将来パイロットになりたいと考えている人は実際に自分がどんなスケジュールで仕事をすることになるのか、イメージしてみてください。

スケジュールは会社によって、また乗務する機材によっても大きく異なります。
会社によって飛んでいる路線が異なるし、同じ会社内でも大型機と小型機でも路線が異なります。
ボーイングB777やB787、エアバスA350などに乗務しているパイロットは比較的、長距離国際線の割合が高くなるし、エンブラエルという、70人乗りくらいの小さな飛行機では国内の近距離を1日に4本も飛んだりします。

長距離だと時差ボケが辛いし、近距離だと離着陸の回数が多くなり神経を使います。それぞれ一長一短ということですね。

パイロットのスケジュールは、基本的に次の月のスケジュールが前月の20日とか、月末に決まり、個々のパイロットに送られます。それだとギリギリまで次の月のスケジュールがわからず予定を立てづらいのですが、休みたい日には前もって休みのリクエストを出すことができて、会社によって様々ルールはあると思いますが、大抵は好きな日に休むことができます。

2週間程度の休みをとって旅行に行くことだってできるし、意外かもしれませんが育児休暇だって取れます。
しかし、3ヶ月以上休んでしまうとパイロットとしての技量の確認のための審査が必要になってしまうので、長く休みを取る場合も2 - 3ヶ月以内にする人がほとんどだと思います。

ゴタクは置いといて例としてのスケジュールを見てみましょう。

これは僕が適当に作った一般的なスケジュールです。

スケジュールは会社によって、また担当する機材によって大きく異なります。
ここに出しているのは、B777とか、B787とかの比較的大型の機材を担当するパイロットのスケジュールとなります。B737やA320だとアメリカまでは届かないし、短距離の路線がメインとなり、1日に2から3本の本数を飛ぶことになります。

このスケジュールを見ながら説明していきましょう。

1日のスケジュールは羽田から沖縄の往復になっていますが、朝7時出発の便であればパイロットはだいたいその1時間前に空港のオフィスに行って、ディスパッチワークを行います。この辺の具体的な仕事については、パイロットの仕事を読んでください。

つまり朝7時出発の便であれば朝6時には空港にいないといけない。空港まで1時間かかる場所に住んでいる人であれば朝5時に家を出る。朝の準備に1時間必要な人なら朝4時起きということになります。

これはめちゃくちゃきついです。

一方で夕方からのフライトの日には昼まで寝れたりもするし、生活のリズムを作るのが難しい仕事です。

1日と2日は日帰りの2本のフライトで、家に帰れます。3日は休みですね。4日は夕方から韓国へのフライトになりますが、韓国について、そのまま会社が用意してくれているホテルに行って、一泊することになります。このスケジュールでは次の日が午前からのフライトになっていますが、ここの時間、これをインターバルと言いますが、これが長ければ小旅行に行くことができますが、これくらいの時間だと食事に出ておしまい、ということが多いですね。

5日に日本に帰ってきて、家に帰れます。
6日のスケジュールを見てみましょう。これはパイロットに独特のものですが、スタンバイという勤務になっています。

これは文字通り、スタンバイを行うことが仕事で、誰か他のパイロットが急に体調不良などで飛べなくなった時に、代わりに飛んでくれるパイロットが必要になるので、スタンバイという勤務が必要になります。

昔LCCなどのマンニングが厳しい航空会社で、スタンバイ要員が確保できず、パイロットの体調不良でその便が欠航になってしまったなんてことがありましたが、そういう事態を避けるためにもスタンバイは大切な勤務です。

スタイバイ勤務のパイロットは家にいて、いつでも出勤できるようにしていればそれでOKです。
ゆっくりテレビをみていてもいいし、ちょっとコンビニに行くとかもできます。

またスタンバイにも種類があって、朝早い時間のスタンバイであったり、夕方からのスタンバイ、会社に出社してのスタンバイなんかもあります。

いずれにせよスタンバイ中はゆっくり、自由に過ごすことができますが、呼ばれるとバタバタしながら空港へ向かうことになります。

次に10日のスケジュールを見てみましょう。成田からサンフランシスコへのフライトが入っていますね。

これくらい長い路線になるとサンフランシスコ、現地についてから2泊することもあります。現地での時間が長くなるほどそこでできることが増えますが、一方で時差があるので国際線パイロットは辛いと言われています。

海外旅行が好きな人ならよくわかると思いますが、時差ボケは辛いです。疲れてて眠いのに寝れなかったり、昼間でも頭がぼーっとしてしまったり。時差ぼけを最小限にするために、現地でも日本時間で過ごすっていう人もいます。

また基本はパイロットは機長と副操縦士の2人で乗務しますが、長いフライトでは3人ないし4人目のパイロットが乗り込んで交代で寝れるように組まれます。長いフライトをずっと操縦しっぱなしだときついですが、休憩を回せるとかなり楽になります。

次は19日のスケジュールを見てみましょう。ミーティングとありますね。これは会社によって言い方が色々ですが、パイロットが数名集まって、話し合いをします。最近の不具合事象を共有して議論したり、事務的な連絡事項だったり。

基本は出社してミーティングを行っていましたが、最近のコロナ禍ではビデオミーティングになっているところもあります。

このスケジュールでは外泊は5泊と少なめですが、実際は日帰りのフライトとは別に日本国内での泊まりもあるため、10泊前後、家には帰れずホテルで泊まることになったりします。これは会社によっても違います。

またフライトタイムといって、パイロットは月の飛行時間の合計でその月の忙しさをイメージしますが、日本では月に飛べるマックスが100時間まで。これ以上は疲労が大き過ぎるため飛んではいけないことになっています。
多くの会社では60から80時間くらいの飛行時間になっていると思います。しかし会社によってこれもまちまちで、LCCでは多く飛ぶ分給料も高いと言われています。

僕の感覚では60から70時間で普通、80時間飛ぶと忙しい。90時間は死にそうってイメージです。
逆に40時間程度だと暇だなーってとこで、コロナ禍では飛行時間が減って暇な時間を過ごしていました。今ではあの日々が恋しいです。。

他にもここでは出てきませんでしたが、地上業務を兼務して行うパイロットもいて、パイロットのマニュアルを作ったり、日々の運航において不具合があった場合にその対処を行う地上業務を行う人もいて、そんな人は地上業務がある分フライトタイムが短くなります。

実はこのフライトタイムはお給料にも影響してくるんですが、その辺の話はまた別で紹介します。楽しみにしててください。

今日はここまで、次回はこのスケジュールに関連して、パイロットの日常について話したいと思います。


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