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半年で稼働率100%のネイルサロンができるまで〜 最初の設計がマジ大事って話

おはこんばんちは。
あらいぐまたくまです。


今回は僕の支援先の事例を書いてみたいと思います。

題して、
「半年で稼働率100%のネイルサロンができるまで」
です。

今回の内容は文字数も多くなりそうです。

あらいぐまは普段、マーケター、コンサルタントとして、
日々、事業構築や調査、企画や実行伴走支援を行なってます。

あらいぐまの自己紹介はこちらから↓


今回のネイルサロンは本当に0→1で作り上げたものです。
せっかくなので、みなさんにその内容を共有しようと思い執筆してます。

今後事業を行う予定の人には、
事業構築の全体像がわかる、いい機会かと思いますので、
是非最後まで見てね欲しいです。


では早速。

流れは以下です。


前提条件

お仕事の依頼を受けたのは、20代の女性。
ネイリストとして6年勤務。
技術力は高く、既に固定客も沢山つくほど。

昔から自分の店を持つことが夢で、
大手ネイルサロンだと、数をこなすことが目的になってしまい、
ゆっくり接客をしながら、お客様と向き合いたい。
そんな想いをもってました。

ビジネスモデルの把握

とはいえ、あらいぐまは雄なので、
もちろんネイルをしたことなんてありません。

とりあえず、自分がネイルをしてみることに。

始めは爪を磨くだけでしたが、
次第にジェルをつけたり、オレンジ色のネイルにしたり、
装飾を施してみるなど、様々試しました。

まずは自分がやらなければ、何もわかりませんから。
基本的には、サービスなんでもサービスは受けるようにしてます。


他に行ったこと

・市内のネイルサロンをとりあえず観察
・全国のネイルサロンをとりあえず観察
・海外のネイルサロンをとりあえず観察
・一人サロンで売上が上がってそうな方を観察
・知人でネイルをしている人にとにかくヒアリング
・ネイルを行う人の属性の把握(職業、収入、住まい 他)

デモグラフィックデータ
サイコグラフィックデータ
ジオグラフィックデータ
ビヘイビアデータ
など取れそうなデータを洗い出します。


観察結果からの仮説構築
・なぜネイルに行くのか?
・ネイルの競合はネイルサロンだけか?
・いつネイルサロンに行くのか?
など

数字面での調査
・1日あたりの接客人数の限界値を把握
・平均客単価の把握
・月当たりの問い合わせ数の把握
・問い合わせルート(CV)の把握
・2回目リピート率の把握
・3回目リピート率の把握
・ランニングコストの把握
・BEP(損益分岐点)の把握
など

他にも、
・Instagramのタグや投稿内容
・MEOの設定状況
・HPやLPの有無
・ネイリストの個人アカウントの特定


これで大体の市場感が掴めます。


数値シミュレーションの構築

見えてきた数字から、一人サロンで作り出せる、
売上の限界値を算出します。

例えば、
1日あたり5人ネイルできるとすると
客単価5,000円の場合、1日の売上は25,000円になります。
20日間稼働すると、50万円ですね。

毎日5人がパンパンに入る可能性は低いので、
80%想定だと、売上は40万円程度になりそうです。


・ここでは一人サロンなので、生活に困らない収入の設定。
・どれだけの利益を出したいのか。
・初期投資でいくらかかるのか。
・毎月いくらかかるのか。(ランニングコスト)

上記も加味して、年間の数字シミュレーションを構築します。



強みの洗い出し

個人でやるからには、大手ネイルサロンに勝てる戦い方が必要です。

小手先で、ネイル商品のセグメント分けをして差別化を図るなど、
すぐに模倣されるので、本質的な独自化が必要になります。

ネイル商品には、
韓国ネイル、中国ネイル、ニュアンスネイル、
ミラーやら、マグネットやら 色々な種類があります。

韓国ネイル専門店 なんて分け方をしたとて、
優れたネイリストは、表現力に長けているため差別化要素になり得ない
ケースが多いです。もちろん立地条件や競合状況にもよりますが。

そこで、あらいぐまは、
ネイリスト本人のバックグラウンドや、たたずまい、
思考パターンや、無意識的な強み を洗い出し、
その強みを商品と掛け算で提供することにしています。

ここでいう強みとは、
いわば「特性」みたいなもので、
スキル的な強さというより、タイプ、性格みたいなものを指します。

不得意なことは、頑張っても伸びにくいです。
得意なことを商品と掛け合わせることで、
1の力で10の成果が出せたりします。


繰り返しの言語化

ここには相当力を入れました。

・本人にとってネイルとはなにか?
・なぜネイルをやりたいのか
・なぜネイリストをやっているのか
・どんなお店にしたいのか
・なぜ一人でネイルをやるのか
・独立する意味とはなにか
・お店はどんな感じにしたいか?
・そこにどんな想いを込めたいか
などなど

人間は頭で思っていることを、
適切に表現することが苦手です。

日本人は特にハイコンテクストな文化で育っています。
空気を読む力を養った結果、
思ったことを素直に言語に落とす力を低下させてきました。
しかも日本語は抽象度が高く、ある言葉に対して、
自分の認識と他人の認識がずれてしまうことが多くあります。

今日言葉にしたことが、
次の打ち合わせでは違う言葉で表現されるなんてザラです。
それは決して悪いことではなく、ズレてしまうからこそ、
ズレないように、何度もすり合わせていきます。

だからこそ、
自信を持って、ブレないサービス提供が可能になるのです。
これは受けてである消費者に、適切に想いを伝えるためでもあり、
構築したブランドを、間違って解釈されないためでもあります。


MVV-Cの構築

幾度となく繰り返した言語化により、
最終的に以下をまとめていきます。

mission(存在意義)
vision(将来像)
value(提供価値)
concept(概念)

ブランドがそのブランドであるために、
ブレない設計を行います。

ブランドの意味に基づいた、
価値の提供と、商品の提供。
プロモーションの提供が必要です。

情報に溢れた社会で、
ブランドを覚えてもらうには、
全てにおいて一貫性がなければ、
覚えてもらえません。


ターゲットの設定

次にターゲットの設定です。
自社商品を買ってくれる人は一体誰なのか?
これを明確にしておく必要があります。

よくあるターゲット設定に
「20代女性」といった設定があります。

では30代女性はターゲット外なのか?
そんなことはないはずです。

不必要にターゲットを狭めては、
自社の不利益になるだけだということですね。

今回は、
戦略的ターゲットとして、
「ネイルをしたい人」
コアターゲットとして、
「自分に向き合ってネイルをして欲しい人」

のように設定しました。


価値の設定

ネイリストの強みを洗い出した時に、

「圧倒的奉仕の精神」
「傾聴力」
「確かな技術力」

がありました。
これは、過去お客様に言われたことなども洗い出し、
私が客観的に感じたことも含めています。

「私の話を聞いてくれる」
「娘みたい」
「話に来るのが楽しみ」

など。

全てを受け入れてくれるかのような雰囲気を持ってます、笑

・お客様が求める適切なネイル
・お客様の印象を汲み取り表現するネイル
・ネイルをしに来ることがもはや至福となるサービス提供

ネイルサロンがここまでやるのか!
と言われるほどに、おもてなしを極める。

大手では体感できない、他のサロンでは体感できない、
最高のおもてなしを一番の価値に置くこと。

コアターゲットの設定で、
「自分に向き合ってネイルをして欲しい人」は、
業界平均よりも単価が高くても、サービスに対価を支払う分けです。


立地選定

「なんとくここがいい」は負ける要因です。

立地選定を行う際に行なったのは以下です。

・乗降客数の洗い出し
・競合店舗の調査(対象商圏内)
・年齢別,男女別人口の洗い出し
・想定できる集客数のシミュレーション
など

競合調査を行う際は、
少なくとも以下はやりましょう。

・HPの確認
・ホットペッパーの確認
・Googleマップの確認
・Instagramの確認
・公式LINEの確認

どれくらい予約が埋まっているか?
その競合に勝てそうか?
口コミも確認しました。

場合によっては、
設計していた価値を、
ポジションずらす形で再設計します。

プロダクト制作


次にサービス設計。

・カテゴリの洗い出し
・オプションの洗い出し
・得意デザインの領域確認
・過去客の声の洗い出し
・競合のサービス内容

これらに基づいて、
・コースの設計
・単品の設計
・オプションの構築

を行います。

他に、

内装の装飾品設計
香りの設計
少々の物販準備
カルテの設計
トークの設計
なども行います。


サービスは、ネイルの提供だけでは
ありません。

あくまでも、
どのような価値を提供するか?
に基づいて、それに紐づくものであれば、
全てを設計する必要があります。


価格設定

ここでよくあるミスは、
価格を下げてしまうこと。

必ず価格は業界よりも高く設計します。

低価格になれば、
より沢山のお客様を受け入れなければ
なりません。

大手ほど資本もない中で、
販促費も捻出できません。

より良いサービスを提供するために、
個人で運営するわけですから、
その分の対価として業界よりも価格を
上げるのは当然です。

ここは、フリーランスや小規模事業者が、
最も誤った判断をしてしまうところです。

仮に、価格を下げなければお客様が入らない
のであれば、それはそもそも独立すべきでは、
ありません。

あらいぐまはそう感じます。


業種によっては低単価でも戦えるケースは
ありますよ。


導線設計

導線は主に以下のフレームで考えました。

認知

興味

検討

問い合わせ(予約)

当日

リピート


・認知-興味
ホットペッパーはなし。
知人とInstagramの運用。
Googleマップの運用。

これは、販促費用の捻出ができず、
無料でできることから始めたからです。
ホットペッパーを使える余裕があるなら、
もちろん使うに越したことはありません。


・検討
これは他社ではなく、自社が選択される
その確率を上げることですね。

そもそもネイルの業界で、
MVV-Cの設計も行った上で、
SNS等の下流設計をしている事業所が少ないので、
運用し、認知された時点で選択確率が上がります。

いかに、設計した上流のMVV-Cを体現する
SNS等の運用ができるかが鍵です。


・問い合わせ
お客様と向き合うことが目的なので、
システム導入は一切行いません。
都度公式ラインでやり取りを行い、
予約管理を行なっています。

これはサービス設計の話とも通じます。
なぜシステムを入れないかも理由があるのです。

手間ですが、それもサービスと捉えると、
LINEで予約をとる意味が変わってきます。


・当日
これは割愛しますね。


・リピート施策
「また来たい」と思ってもらえるほどの
サービス提供をした上で、

→Instagramでのメンション活用
→LINEで本日のご報告など
→お手紙の送付

を実施。

ポイントは、Instagramにアップしたくなる、
そもそもの商品サービス設計です。

拡散性をどう持たせるか?

メンションしてくださいとは、
一切こちらから言わずにメンションが起こる
そのような構造を設計しておきます。


管理フォーマットの整備

定期的に、現状を把握するために、
以下のフォーマットを作成します。

・顧客リスト
・FRM分析紐付け
・日々の売上
・月の売上/原価/利益
・平均単価や着地延数などKPI管理

定例の会議で施策を検討

この辺りも、
システムを入れたら良いかもしれませんが、
一人サロンだと、スプレッドシートで十分です。

できるだけお金をかけないようにしておく。

サロンがデカくなると検討したら良いですね。


結果

1ヶ月目から安定した売上確保ができ、
開所半年には稼働率100%になりました。

2月は閑散期で80%後半くらいに落ちましたが、
それは、リストが増えると問題ないですね。
来年には対処可能です。

毎月定期的にInstagramから3件問い合わせ。
紹介が3件。
60%ほどで固定客になってますので、
業界平均の2倍くらいの定着率です。

個人で運営して、
単価も上げてるにも関わらず、
定着率が高いわけです。

一人サロンも悪くないですね。
なにより喜んでくれているネイリストさんを見て、
僕も嬉しい気持ちになります。笑


以上です。


いかがでしたでしょう?

分析した内容や、実際の事業計画、
作成した調査資料や、
管理フォーマットなども添付しようと
思いましたが、めんどくさくてやめました。

もし詳しく聞きたかったら連絡くだささい。笑


最後までお読みいただきありがとうございました。
「なんかよかったわ」と思った方、
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