イクラに翻弄される
晩御飯はちらし寿司にするぞ!と思い立ち、冷凍庫でカチコチに凍っていたイクラをテーブルに移動させ、解凍していく様をじっと見つめていた。
見つめていることによって解凍時間が短くなるならいざ知らず。「見つめる鍋は煮立たない」と言われるように、なかなか解凍は進まない。
自らに多大な精神的ストレスを与え続け、かつ、いくらを見つめている時間は夕飯を作る手が完全に止まってしまうので肉体的ダメージも与えるというパーフェクトさ。
恐ろしい子。それがイクラ(←
とまぁ、それはさておき。
イクラのツブツブを見ていると、いつもワタシは「この一粒一粒を誰かにぶつけ続けたい…」という気持ちに支配されそうになる。
ひょいっと一粒つかんで投げつける。
想像するだけで楽しい。
豆まきのマメのようにポイポイと投げつける。
絶対に楽しい。
しかし、ひと掴み単位で投げるなんて罰当たりなことはしてはいけない。そんなことをしたら、もったいない婆さんが背後から猛スピードで追いかけてくるに違いないのだ。
テケテケ言いながら(これは別人
でも、実際にイクラ投げをやろうとしてもイクラは仲間同士の結束がかなり強いので、ひとつぶだけ取り出すことがとても難しい。
エコヒイキは許さない。それがイクラ(←
ひとつぶ取り出せたとしても、投げる時に指先に力が入ってしまったら「プチっ」と中身を出し、そこにあったという痕跡だけを残して消えてしまう。
「存在が無かった事には絶対にさせない」という強い意志を持つ。それがイクラ(←
そんなイクラの魔力に支配され続け、しょうもない事を考え続けていたら、どう考えても晩御飯の時間に夕飯が間に合わないことが決定してしまった。
あぁ。
今日もあの呪文を唱える時が来たようだ。
ワタシはおもむろに息を吸い込むと、お腹に力を込めてこう唱えた。
「晩御飯、30分ほど遅れまーす」
_:(´ཀ`」 ∠): 今日は何が書きたかったんだろう……
恐るべし。イクラ(←
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