広告がつまらくなった大きな要因
おはようございます。
株式会社ホワイトナイトの新井です。
中小企業、地方企業を中心に経営・マーケティングのコンサルティングを行なっております。
今日のテーマは「広告がつまらくなった要因」です。
CMで広告業界に入ったものの、CMに興味がなくなった私
広告は、消費だけでなく、人の心も動かす影響力があった時代もあります。1990年代前後は、テレビではCM大賞のようなもの、世界のおもしろCMのようなものが頻繁に放映されていました。
しかし、今や広告は人々に見向きもされなくなりました(ここで言う広告は、テレビ・新聞・雑誌・ラジオの広告を指します。直接購買促していくようなネット広告は一旦別扱いとさせていただきます)。
その背景には、ネットの出現によって、ネットに面白いコンテンツが増えたこともあります。YouTube、インスタグラム、TikTokなどのSNS、NetFlixやAmazon Prime Videoなどが代表的でしょう。
ただ、原因はそれだけではありません。そもそも広告とくにCMを見たいと思わなくなる原因があるのです。
私は新卒で大手広告会社に入社しました。1990年代前後、何本か心を動かされるCMに出会ったことがきっかけです。そのCMでその商品・サービスを買うだけでなく、CM自体に感動すらしました。こうした原体験もあり、広告に携わりたいと考え、広告業界に入ったのです。
そんな私が感じているのは、「売る」という意味では優れた広告もありますが、心を動かされたというCMをはじめとする広告、もう一度見たいと思わせてくれる広告が最近はないのです。
なぜ広告がつまらなくなってしまったのか?
マーケティング戦略を構築するなかでは、内部環境・外部環境など調査・分析を行い、商品特長・競合差別化などを整理し、KPIやROIを設定するなど、比較的理詰めで物事を考える作業が多くあります。
それは大事なことで、決して手を抜くべきことではありませんが、戦略や数字のことを考えすぎて、偏ってしまっていないかと思う面もあります。
広告主のこと、商品のことを考えるあまり、消費者視点が薄くなっているのではないかと感じるのです。もちろん、消費者のベネフィットはどんなマーケッターも考えていると思いますが、それはあくまで「広告主の商品を売るために必要な作業」です。そうではなく、広告に触れた消費者に喜んでもらいたいという視点が少し弱くなっているのではないかと感じるのです。
消費者の「楽しい」「嬉しい」「感動した」というような根本的な感情が動かない広告があまりに多いので、広告はつまらないものになり、広告が注目されないものになってしまっている面はあります。
人の心がオープンかどうか。人間同士の対話でも同じですが、相手の心がオープンな状況と、心が閉ざされた状況では、話の伝わり方がまったく異なります。
広告の作り手自身が、もっと人を喜ばせたいと思った方が良いのではないか
誤解されないように言いますが、戦略・戦術は大事です。また広告は企業の業績向上に寄与しなければいけません。その大前提を踏まえたうえで、広告の作り手には、今一度「広告で人を楽しませたい、感動させたい」という広告そのものを見ても良いと思ってもらう視点が必要だと思っています。一見、数字や効率に関係ないこの要素を考えることにより、結果的には数字や効率にプラスの効果が徐々にあらわれていくと考えています。
こうした話をすると、かつてのように長尺のCMが出来ないとか、企業が設定したROIがあるため難しいということも聞きます。しかし、広告は昔から多くの条件があった上で、作られるものです。条件そのものは過去と現在で異なるでしょうが、先人ができたのですから、今のクリエイターもできるはずです。
SNSでショート動画が普及していますが、そもそもCMは15秒・30秒で考えられて作られてきています。もっと広告に携わる人たち自身が、人を楽しませたい、感動させたいという視点を持つだけで、広告はまた変わることができるのではないかと思います。
株式会社ホワイトナイト
新井 庸支
https://www.whiteknight-jp.com/
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