炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.14
俺の前に、立ちはだかった男。そう、その名はK!
俺がスカウトを始めてから事あるごとに俺をディスってた男だ。
喫茶店でサボってるとか、マブイ女を逃してブスにばかり声をかけてるとか、ね。
俺のやってる事を監視しながらネチネチボスに報告してたんだよね。
多分、俺の事は半ばバカにしてたんだと思うよ。どう考えてもスカウトとしては思えない風采だったし、落ちこぼれなやり方だったからね。
こんな野郎すぐに自滅するはずとたかをくくってたんだろうと思う。
そんな俺が結果を残し始めたから面白くない。半年くらいで数字的に言えば自分と並ぶくらいの実績をあげだしたんだからさ。
Kからしたらプライドを傷つけられたに違いない。
Kにとってはプライドこそ命。おそらく我慢出来なくなったんだろうと思うよ。
今までは遠くから俺を監視して嫌味を言うくらいだったけど、面と向かってライバル視し始めたわけだ。
公言してたらしいよ。
「アラケンを潰す!」
って。
俺って喧嘩好きじゃないけど、脅しにビビるタイプでもないからね。
「潰す!」
って言われたら、
「どうぞ」
てなもんで逆に武者震いしたくらいだよ。
Kってさ、確かに新宿のスカウトマンの象徴みたいな奴でさ。
長身でスマート、上から下までキメキメなわけよ。細面の顔にブランドのサングラス、少し遊び心を感じさせるラフな上下にバーバリーの黒いロングコートを羽織ってて。 なんていうか隙がない。
一声かけたら、そりゃ上玉が集まってくるはずだよ。
Kに憧れてるスカウトマンを何人か配下に置いて、新宿のスカウト業界を仕切ってたんだよ、長い間ね。
ボスからの信任も厚かったしさ。
俺には奴みたいなやり方は出来ない。自己勝手でスカウトするしかなかったんだ。
俺のやり方。
美醜で女の子を区別せず彼女たちの本音を聞いてあげる。その上でその子に一番合ってるお店を紹介し、ケアもする。そのやり方で実績を積み上げてきた。
Kは策略家でもあった。
配下を使っていろいろ画策し始めたよ。
そのひとつが「風評作戦」だった。
この業界、評判が第一なんだよね。悪い噂がたったら止めようがない。ということは、意図的に「悪い噂」を流せば人を追い詰めることが出来る。
アラケンは、紹介料の上前をはねてる……、そんな噂が業界に流れ出したんだ。
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