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“食”から見るジオパークの観光の可能性【日記2022/11/30】

ジオパークは、なかなかマーケティングが個人的に難しいと思う。なぜなら、ジオをテーマにしても興味を示す人の母数が少ないからだ。理系の中でも、地質に興味がある人はなかなか少ないイメージであるし、実際そうであるだろう。

しかし、今受けている糸魚川のワーケーション事業を聞いていて、ジオをスタートにしなくても、”食”をテーマにして引き込むのはとても面白いと思ったと同時に、大きな可能性を秘めていると考えさせられた。

元々人間は1日3食食べる生物だ。狩猟生活から農耕文化という人間独自の文化を創り出し、今では宇宙にまで食べ物を持っていく時代である。そもそも、食に興味を持つ人は少ないだろうし、「おいしいものを食べたい!」という軽い気持ちでも、その地域を知るきっかけになるだけで、ハードルがさがるだろう。

ハタハタ 子持ちはこの時期だけの特別な味らしい
少しの塩味でかなり魚のおいしさを感じることができ、油がしっかりのっているので酒に合う
タマゴは、根花場しているが弾力のある初めての食感

食はその地域の特色が大きく出るものだ。お雑煮を見るだけでも、関東と関西では角餅・丸餅の違いがある。ではなぜ違うのか、それは西日本と東の本で、冬の湿度が違うからという説があるらしい。保存食も、雪が降る地域の方が冬の食糧が取れないため、様々な加工が発達している。自分の地域と何が違うんだろう、と同じ日本でもちょっとした異なる文化を楽しむことも可能だ。

その食文化を形成した歴史を知ることもかなりの学習に繋がるだろ。実際、こんなに特別なんだ!と力説されると、食べるときにその食材への価値がかなり上がるだろう。さらに、その根拠を学術的専門知を持っている人だけでなく、地域の人と一緒に調べることによって、そこでの新しいコミュニケーションも生まれる。

さらに、外から来る人だけでなくその地域住民の活性化へもつながる。どの地域も、その土地特有の地形・地質また様々な要因が重なる気候により、固有のや有名な食材はある。特に、糸魚川のような場所はこれまで知ることはなかったが、今回のプロジェクトを通して一つ一つの食材のポテンシャルが高いことに驚いた。それを地域住民が価値を知り、その根拠を学術的に知り伝えることは、今後のPR活動を個人で行うにも大いに役立つことができる。

上記のように4つの点を挙げたが、実際にはもっと利点があるかもしれない。

ただしこの考えは、ジオパークに対して特に外部から来る一般市民へのハードルを低く考える取り組みである。そのため、学術的な部分を強く求めている地域では、難しいかもしれない。さらに、そもそもジオパークに関わっている地惑関連の研究者にしたら良い顔をしない人もいるかもしれない。(恐らく、今のジオパークの方針を考えればそのような人はいないと思うが、研究者が食の方まで参入してくるとは限らない)

ただし、持続可能なジオパークを目指すならその地域の企業とのタイアップは必ず今後課題としてあがるだろう。“食”を通すだけでも、その土地での企業や個人経営者とかなり密な関係をつくることが可能となるだろう。実際、企業としてジオパークから委託を受けているところはあるのだろうか。気になるところではあるが、自分の研究からは少し外れそうな気がするので、この考えはまた温めておきたい。

が、これこそ科学技術コミュニケーターの求められる部分なのではないだろうか。様々なステークホルダーを繋ぐ役目を担える気がする。“食”のように一見ジオではないみんなが食いつくような部分から人を呼び込み、ジオを少しでも知ってもらうことは、ジオパークの今後の観光としての面白い課題ではあると思う。


糸魚川ジオパークは、学芸員が6名いるらしい。さらに、ジオパーク推進協議会の事務局は5名。そう考えると、やはりユネスコ世界ジオパークの強さを感じる。また学芸員の役割が、ジオパークの学術的な面をかなり支えているのではないかと考える。そう思うと、ここの学術顧問との関係はどうなっているのか気になるところだが、ジオパークに直接関わっている人と会っていないため聞けなかった。ちょっと残念。

今日のひとこと

今日の知ることすべてが面白くて浮かれてたら、
暗闇の中で側溝に落ちてしまい、
ビチョビチョになったのも、
大きな青仁丹つくったのも、
大切な取材のメモリーが入ったデジカメをなくしかけたことも、
良い思い出


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